大家参加型はコミュニティー型賃貸経営も活発化する

今の個人投資家は、所有者として物件を見守り、すべきことをしっかりとやっている。購入した賃貸物件で家賃を得られないなら何をすればいいのかをちゃんと考えている。広告費を言われるがままに払うのではない。

仲介業者の誘致だけを待っていても、空室は一向に埋まらない。いろんな知恵を絞りだして、試すうちに大家参加型のコミュニティー賃貸物件が人気を集めているのも納得がいく。

数戸あるうちの一室を、敢えて入居者が共同で利用できるコミュニティー用の部屋にしたり、一室を教室やイベント用に利用したり……。各部屋にお風呂がない物件で、一室を共同浴室にしたら満室になったという例もある。

入居者が共有するスペースがあると、大家も管理などに参加する機会が増える。入居者のひとりにその部分の管理を任せても、その経過を確認し合い、問題があれば一緒に対処をする。広告費の増加やリフォーム費用より費用対効果は絶大だと考える。

最近では賃貸経営をあまり「不労所得」と呼ばなくなったように感じる。「大家の顏が見える」賃貸経営は、空室が減るだけでなく、家賃滞納やトラブルも激変する。人と関わることが苦手な日本人になってきたというが、借りている側も貸し手の顏が見えると安心している証拠である。通帳を眺めながらしぶしぶ追加の広告費を振り込むよりも、大家業を楽しんだほうが「勝ち」なのは間違いないだろう。

片岡美穂
不動産関連、外国人雇用・ビザ等を扱う行政書士。元土地家屋調査士。