リテール銀行顧客には飛び火しない?

窮地に迫られた銀行側は、その負担を消費者に投げるという手段にでた。

ライファイゼン銀行の役員、ジョセフ・ポール氏は「我々が行動に移さなければ、何も変わらない」と、懲罰金利制度の導入をECBによる圧力への反発表明である点を主張。

「低金利、マイナス金利が、結局は国民の負担となって跳ね返る」ということを示唆している。

ユーロ圏で懲罰金利を打ちだした銀行はライファイゼン銀行が初めてではなく、ここ2年間ほどで一部の法人顧客や機関投資家などが、懲罰金利を課されている。

また昨年は同じくドイツのスカート銀行(Skatbank)が、預金額50万ユーロ(約5650万円)以上の顧客から利子を回収している。

大口預金者にとっては勿論、一般消費者からも決して歓迎される動きではない。中央銀行、金融機関による低利率がますます悪化した場合、小口預金者に飛び火しないという保証はどこにもない。

ドイツの金融機関は、リテール銀行の顧客にマイナス金利が課され可能性を否定しているが、長期化する経済の低迷に加えて、Brexitが引き金となって露見したEU自体の崩壊の可能性という巨大な不安要素を抱え、今後どのような展開が待ちうけているのかは、予測困難な状態だ。

ライファイゼン銀行やスカート銀行が緊急事態に備えて、消費者の預金から「貯蓄」を始めたのも、まったく不自然な流れではない。(ZUU online 編集部)