フリーランスで働く人が最近、増えています。そして、フリーランスで働きたいと思う人の移住先として沖縄の人気が高いとの調査結果がこのほど、発表されました。

「沖縄移住」という言葉のひびきに心躍らせる人は多いでしょう。会社勤めにとってはハードルの高い夢ですが、フリーランスならそのハードルは一気に下がります。ここでは、沖縄在住の筆者が、フリーランスや現在会社勤めの人が沖縄移住を実現させる上で、ヒントとなる情報をいくつか紹介します。

フリーランスの移住先として人気の沖縄

クラウドソーシング運営会社のLancersは2016年4月に発表したリリースによると、日本における広義のフリーランス数が1064万人に達し、昨年度対比で17%増加していたそうです。

参考: ランサーズ、フリーランス実態調査2016年版を発表

さらに、最近、フリーランス地域活性化事業などを行う 株式会社ふろしきや の調査によると、大都市圏在住で、かつ移住を考慮しているフリーランスの多くは移住先に求める条件として「生活しやすい穏やかな気候」を挙げています。その移住先としては沖縄が人気で、首都圏在住のフリーランスの移住考慮先の1位、関西圏在住フリーランスの3位に沖縄の名が挙がっています。

参考: 【最新調査】移住を考えるフリーランスの心の内は?

大都市圏を離れ、南国・沖縄へ移住することは多くの人が憧れるところですが、比較的自由の効くフリーランスであっても、やはり仕事の不安はつきまとうようで、同調査では「現在の仕事のみで生計を立てる」と回答している人は16.1%にとどまります。

これは、ネットの普及した現在にあってなお、実際に顔を合わせての打ち合わせが求められたり、取材先が大都市圏に集中していたりするためでしょう。出社の必要のないフリーランスとはいえ、現状では大都市圏でないと仕事がしづらいのです。

クラウドソーシングの活用で地方暮らしを実現する

ただ現在は、ライターやウェブデザイナーなどのフリーランスがネットを介して仕事を探せる、 クラウドワークス <3900>や ランサーズ などのクラウドソーシングの普及により、事情が変わりつつあります。

クラウドソーシングで紹介される仕事の多くは、クライアント側とフリーランス側が直接会うことを前提としておらず、打ち合わせもメールやSkypeで済まされることが多いので、沖縄など遠隔地でも仕事をすることが可能です。

クラウドソーシングには単価の非常に安い案件も多いのですが、よく探すと生計を立てられる単価の仕事もあるので、移住を考えているフリーランスは現在の仕事と並行して、クラウドソーシングを介して、クライアントと直接顔を合わせる必要のない仕事を増やしていくというのも一つの手でしょう。

またクラウドソーシングには、特にライターなどで未経験者OKの仕事もたくさんあるので、「現在は会社員だけど将来は沖縄など地方への移住を」と考えている人は、そういった仕事で経験を積んで徐々に高単価の仕事へシフトしていき、フリーランスとして独り立ちできる段階で移住を実行することもできます。

また、フリーランスにとっては、沖縄ならではの仕事を新たに得られる可能性も出てきます。たとえば、ライターやカメラマンであれば観光関係の取材案件を期待できるでしょう。また、フリーランスだけで生計を立てられない場合、観光関係の仕事を並行して行うという選択肢もあります。実際、沖縄の観光業界には、本土から移住してきた人がたくさん従事しています。

沖縄の人々の気持ちに配慮することが必要

ただ、沖縄で働くときに心掛けておきたいのは、地元の人と真に打ち解けるのは時間がかかるということです。沖縄は人情にあつい人が多い反面、自分たちを「 うちなんちゅ 」、本土の人を「 ないちゃー 」(内地=本土の人という意味)と呼んで明確に区別しています。

これは決して、差別意識というわけではありません。しかし、歴史的な経緯から、沖縄の人の多くは本土の人に対して複雑な心理を抱いているのは事実で、沖縄に移住した人の一部はそこのところでつまづき、結果的に沖縄を離れることになります。

沖縄で長く暮らしていくには、そんな沖縄の人々の気持ちに配慮しつつ、沖縄とか本土とかいった枠を超えて、つきあえるような人間関係を作っていくことが望ましいといえます。

沖縄で働くということの現実もしっかり認識して

美しい海に囲まれた沖縄は冬も温かく、食事はおいしく、街並みには南国特有の情緒が溢れています。しかし一方で、1人あたり県民所得の統計では沖縄県は最下位に位置し、そこには、この地で仕事を得て生活していくことの難しさが示されています。

沖縄への移住を考えている人はその現実を踏まえ、移住準備の段階で、自らの生活の糧についてしっかりプランニングしておくべきでしょう。