世界的な低金利は投資家にとっては悩みの種だが、社債を発行する企業にとってはありがたい話だ。近頃は海外企業が豪ドル建てで起債する「カンガルー債」と呼ばれる社債が注目を集めている。
アップルが2015年に円換算で2000億円規模のカンガルー債を発行したのち、インテルやコカ・コーラなど世界的な米国企業が続々とカンガルー債を発行している。豪ドル建ての債券を保有している日本人投資家も多いが、なぜ米国企業がいまカンガルー債を発行するのか。豪州市場の魅力と見通しを解説してこう。
そもそもカンガルー債とはなにか?
カンガルー債とは、海外の発行体(外国企業や外国政府)が豪州市場で豪州の投資家向けに豪ドル建てで発行する債券を指す。
豪ドル建てで発行されるため、原則的に豪州の投資家は為替変動リスクを気にすることなく海外の発行体が発行する債券に投資できるというメリットがある。また、債券の発行体は資金調達の手段を多様化できるなどのメリットがある。
ちなみに、海外の発行体が日本人投資家向けに円建てで発行する債券のことをサムライ債といい、人民元建てで発行する債券のことをパンダ債という。海外の発行体が現地通貨建てで発行する債券には債券が発行される国を連想させるような名称がつけられていることが多いのが特徴となっている。