競売不動産1

競売不動産は通常の取引より格安の価格で入手できるので、投資利回りを高める上で有効な方法です。ある程度のリスクを負う必要がありますが、きちんとした知識を得れば過剰に恐れる必要はありません。これから競売のしくみや流れについて、なるべく分かりやすく説明していきます。


競売のしくみ


不動産の競売とは、弁済ができなくなり債務不履行となった債務者が所有する不動産を地方裁判所が差し押さえ、競争入札により一番高い価格をつけた買受人に売却することをいいます。その売却代金は、抵当権の設定順位などに従い各債権者に配当されます。
ほとんどの競売は「任意競売」といって、銀行など対象となる不動産に担保を設定した抵当権者が申し立て手続きをすることによって発生します。

一般の不動産売買と不動産競売の異なる部分は、物件所有者の意識の違いです。一般の不動産売買では、物件所有者は売却する意思が明確にある状況で仲介業者に依頼するなどして売買を行います。したがって金額面などで折り合っていれば、それほどトラブルは発生しません。 翻って不動産競売では、申し立てにより競売となると地方裁判所の執行官が物件を強制的に調査して入札まで進行しますので、物件所有者としては不愉快になる場合も多いかと推測されます。 したがって所有権移転登記の後も居座って退去しないといったトラブルがあります。 ただしそういった場合でも裁判所が間に入り、引渡命令や強制執行といった法的手続きをしてくれますから、必要以上にリスクを恐れる必要はありません。


競売不動産のメリットとは?


いろいろと通常と異なる部分が多い競売不動産ですが、競売を利用するメリットとはどのようなものでしょうか?ひとことで言えば安価であるということが一番のメリットです。物件の状況により異なりますが、大抵の場合通常の市場価格の6~8割で購入することができます。当然売買代金の他にもリフォーム費用などがかかりますが、これらを差し引いても随分格安ですね。 また通常の取引では契約後の所有権移転登記を司法書士にお願いする必要があり、その費用は馬鹿になりません。 不動産価格により変動しますが、少なくとも20万円以上でしょう。

しかし競売で取得した不動産は、地方裁判所が権限で所有権移転登記を行った後に引渡しとなりますから、取得費用削減につながります。 このように競売不動産は居住用としてはもちろん、投資物件としても高い利回りを狙えるという点で魅力があるものです。 例えば通常であれば利回り8%の物件を競売で取得したとすると、市場価格の70%であれば利回りは約11.4%まで上がります。


競売不動産のデメリットを知ろう


メリットだけでなく、デメリットをあらかじめ知っておくことはリスク回避につながります。 まず第一に競売不動産では、入札前に建物内覧ができません。 まだ他人の所有物ですから、基本的には立ち入り不可能です。 内部の現況については、地方裁判所の執行官が撮影した写真や添付図面で確認するのみです。 第二に様々な事情を抱えている物件であるため、権利関係が複雑な場合があります。 入札前に公開されている物件明細書などをしっかりと読み込み、現在の権利情報を読み取る力が必要です。 第三に代金が原則として先払いです。

通常の不動産売買であれば手付金として全額の1割程度を支払い、契約手続きを行います。契約書では瑕疵担保期間などの条項が設けられていることが通常ですから、引渡し後に何か問題があっても契約解除などの措置が可能です。しかし競売では入札時に保証金を支払い、落札したら裁判所の定めた期日(引渡し前)に残額を全て支払います。したがって引渡し後に予想外の瑕疵などを発見した場合でも、原則としてキャンセルはできません。このようなリスクを十分に考慮しておきたいですね。


だれでも入札できるの?


原則として、競売の入札は法人でも個人でも可能です。
外国人であっても、外国人登録証明書などの提示をすれば問題なく入札できます。例外として、対象不動産の債務者や裁判所が制限した資格を有しない者などは入札ができません。


期間入札の流れ


期間入札とは、裁判所が定めた一定の期間内に入札を行うものです。
ほとんどの不動産競売はこの期間入札ですので、大まかなその流れを見ておきましょう。
(1)競売があることについて公告
(2)物件資料の公開
(3)入札・保証金の振込み
(4)開札期日(最高値の公表)
(5)売却許可決定
(6)入札金額から保証金を差し引いた残金を納付
(7)裁判所が所有権移転嘱託登記
(8)物件の引渡し
入札して落札できなかった時には、裁判所から保証金が返金されます。
このように競売はある程度のリスクを伴うものですが、原則的に法に則って裁判所が行いますから、必要以上にリスクを恐れることはありません。 きちんとした知識を身につけた上で、不動産投資のひとつとして競売不動産を組み込んでみるのはいかがでしょうか?

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【関連サイト】
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