ライターの仕事を始めてしばらく経ちますが、目の前の仕事に集中するのが難しいと感じるときがあります。

集中すればなんとか書けることが多いのに、グズグズしている自分に少々イラダチを覚えたり、今やるべき仕事だと意識しつつ、どうでもいい雑用ばかり先にやってしまったり。そういえば、学生時代、試験の前になると、無性に他のことがやりたくなったことも・・・。

大人になっても変えられないのは、しょせん、意志が弱い性分だからだと諦めモードになっていたら、マインドフルネスという言葉を知りました。マインドフルネスとは、「目の前のことに集中する能力」のことらしい。マインドフルネスを学べば、昔から変えられない自分の意志の弱さを変えられるかしら?

誰のためのマインドフルネス?

スパッツがレギンスと呼び名を変えたように、座禅や瞑想は、メディテーションやマインドフルネスと呼んだ方が今どき風。GoogleやAppleもマインドフルネスやメディテーション(禅)をベースにした様々なメソッドを取り入れ、会社生活のストレスを減らそうとしているといいます。

スティーブ・ジョブズ氏が実践したマインドフルネスは、クリエイティブかつ猛烈な働き方を求められている人々が競争を生き抜くための、武器のようなものなのでしょうか。

グローバル企業で活躍する若者を排出する全米屈指のエリート校「スタンフォード大学マインドフルネス教室」(スティーブン・マーフィ重松著)から、マインドフルネスについて読み解いてみました。

マインドフルネスの7つのスキル


① 自分の弱さ(Vulnerability)を受け入れる

美人だとか、よい大学を出ているとか、仕事ができるとか・・・。自分に自信があるのは、競争社会では大事なことなのかもしれません。でも、マインドフルネスが求めているのは、自分の弱点や謙虚さを積極的に認めることで、より多くの学びを手に入れようということ。自分の弱さについて人に話したりすることで、心と体の健康状態も改善するのだそうです。

② 本当の自分(Authenticity)を受け入れる

Facebookで充実した生活をアピールする友人。そんな友人と比べて、自分が劣っていると感じ、落ち込んだ経験はありませんか。マインドフルネスでオーセンティシティが大事なのは「私たちがふだん、人前で別の自分になることと慣れきっているから」。自分をよく見せることや他人と比較することに捕われないで、本当の自分を受け入れること。

③ 絆・つながり(Connectedness)

つながりが大事だと言うと、Facebookで「いいね」しまくるのがやっぱりよいのかと勘違いしてしまうかもしれませんが、もちろんそうではありません。例えば、自宅にこもって出かけなければ傷つくこともありませんが、出会いによって傷つくことで人は成長することができます。自分とは違う誰かを尊敬し、違いをわかった上で共感できること。

④ 聴く力(The Heart of Listening)

実は聴く力は、よきリーダーにとって欠かせないスキルのようです。話すよりも聴くことで、より多くの知識や、周りの人の信頼を得ることができます。マインドフルネスになって「心から聴く」こと。

⑤ 受容(Acceptance)

マインドフルネスを実践したスティーブ・ジョブズ氏の言葉によれば、「物事はうまくいくものと信頼し、先の見えない現実を受け入れながら」生きること。自分の前に、努力や頑張りでは変えられないことがあるとします。そんな時は、「仕方がない」と、それを受け入れること。

⑥ 感謝(Gratitude)

許しがたいほどひどい人を許す必要はないし、理不尽な出来事に人生の意義を見出すことはできないでしょう。だから、すべてに感謝をするなんてことは無理だとしても、自分の存在と周りの人に感謝をすること。

⑦ 責任(Responsibility)

スタンフォード大学の卒業式では、学長が卒業生全員に学位とともに「権利、責任、特権」を授けるのだそうです。そう、権利や特権をもつ人は、責任を忘れてはいけないのです。マインドフルネスでいることとは、自由を謳歌しつつ、自分の社会的責任を果たすこと。

マインドフルネスにトライしてみる

いすに座って静かに目を閉じ、自分の呼吸にだけ意識を集中させます。考えごとをやめ、ただ静かに呼吸することだけに意識を持っていきます。毎日5分間、できれば少しずつ時間を長くしていくことで、よりマインドフルネスの効果が高まるそうです。

マインドフルネスがもたらすものは、集中力の向上、ストレスの解消、心の安定など。マインドフルネスによって洞察力や想像力が高まり、思いやりが生まれ人間関係が良くなる、幸福感が高まるという意見もあります。

マインドフルネス・瞑想が深まると体は休息しているのに、意識は覚醒した状態になり、心の平安や静寂がやってきます。筆者の場合、マインドフルネスにトライすることで、頭の中でぐるぐるしていたある人の嫌な言葉を「気にしても仕方がないから忘れよう」と思うことができました。雑念を捨て、自分がやるべき本来の仕事に戻ろう・・・。そんなふうに考えて、毎日の仕事をコツコツとこなすことが、成功への第一歩なのかもしれません。

なんでも効率的にこなそうとするあまり、結局は目の前のことに集中できていない、そんな自分にはサヨナラ。好きな人と食事をしているときは、スマホなんて気にしない。原稿の締め切りが迫っているならメールなんて見ない。あなたも心を鍛えてマインドフルネスな生き方にトライしてみませんか?

林 立恵
早稲田大学政治経済学部、大学院法学研究科卒業。法学修士。政府系金融機関・外資系金融機関に勤務し、融資審査業務などを担当した。現在は国際機関勤務の夫、子供2人と共にアジア圏在住。

(提供: DAILY ANDS

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