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(写真=PIXTA)

8月に決定した政府の経済対策の中で、ドローンの実験施設に20億円規模が充てられている。他にも国家戦略特区を活用したドローン特区も各地で誕生している。世界でも市場が急激な伸びを見せているが、問題も多発、こうした中で資格も誕生している。今後どのような進化をするのだろうか。

ドローンの市場規模

インプレスが発売する「ドローンビジネス調査報告書2016」によると、2015年の日本国内のドローンビジネスの市場規模は104億円と推計されている。2016年には199億円に拡大し、2020年には1138億円にまで拡大すると見込まれている。

世界のドローン市場も熱い。矢野経済研究所の調査によると、世界のドローンの市場規模は2015年1兆2410億円。年平均成長率は2015年から2020年にかけて12.9%で推移し、2020年には2兆2814億円まで成長すると推測している。

世界でも今後の伸びが期待されているドローンだが、問題も少なくない。

ドローンを取り巻く問題

2015年4月、首相官邸屋上でドローンが発見され話題となった。ドローンと言う言葉をこの事件で知った方もいたかもしれない。犯人は3日後に出頭し、威力業務妨害の疑いで逮捕された。反原発を訴えたかったという犯人のドローンからはセシウムも検出されており、テロにも使えることが一般に理解され、国内のドローンの安全対策、規制を考えるきっかけとなる事件となった。

  • さらにその後も続々とドローンによる事故・事件が起きている。
  • 東京MXテレビ関係者操縦のドローンが英国大使館敷地内に墜落
  • 長野市の善光寺境内で少年が飛ばしたドローンが落下
  • 山梨県警のドローンが櫛形総合公園(南アルプス市)での公開飛行訓練で落下
  • 東京都新宿区の防衛省敷地内グラウンドでドローンが風に流され行方不明
  • 姫路城大天守6階南面にドローンが衝突。北九州市内の会社役員の男性が書類送検
  • 前橋市の「第5回まえばし赤城山ヒルクライム大会」で主催者の依頼で空撮していた業者のドローンが落下し炎上
  • 横浜市での海上自衛隊イベントで潜水艦救難艦「ちはや」の甲板にドローンが落ちているのを隊員が発見。
  • 広島・尾道の山陽新幹線軌道敷地内で未明にドローンが見つかる。

首相官邸のドローン落下事件を皮切りに2015年だけでもこれだけのドローンの問題が起きた。ドローンの問題として挙げられるのは、次のようなものがあるだろう。

まず「安全性」の問題だ。最も配慮しなければならないのが安全性の問題である。ドローンは操縦者の遠隔操作や自律飛行で飛行をする。それゆえ、人や建物に衝突する恐れがある。使い方次第ではテロなどにも利用可能となってしまう。

次に「プライバシー」。ドローンは機種によっては空中から写真や動画の撮影が可能だ。様々な場所を自由に撮影できる一方で、盗撮など個人のプライバシーが侵害される恐れもある。

これらの事件・問題を受けて、政府はドローンの規制に乗り出した。ドローンの規制を盛り込んだ改正航空法が2015年12月より施行された。改正航空法により人口集中地区や空港周辺の上空、夜間の飛行が禁止となった。

資格や検定も誕生

問題が多発したドローンだが、世界的には様々な分野で活用が期待されている成長産業である。そのため、国もドローン特区の認定や経済対策の中にドローン支援を組み込むなどしている。さらにドローンを安全に正しく運用しようと民間でも様々な資格や検定も誕生している。

日本UAS産業振興協議会(JUIDA)ではドローンの操縦士および安全運航管理者養成スクールの認定制度をスタートしている。協会によると、「無人航空機産業の健全な発展のために、無人航空機運航上の安全に関わる知識と、高い操縦技能を有する人材の養成」を目指している。

ドローン操縦士協会でも協会が定める認定校にて学科および実技試験に合格したドローン操縦者に、技能認定証を発行する取り組みをしている。

他にもドローン検定なるものもあり、注目を集めている。ドローン検定協会(株式会社)が実施する無人航空従事者試験(ドローン検定)は、ドローンを取り扱う従事者の知識レベルを客観的に評価し、その向上と周囲の方への理解を広めることを目的として実施されている。

試験ではドローンに関する用語や機体の構造といった基礎知識、飛行に関する特性、電気電子工学、航空力学、気象学、関連法規などを問う問題が出題される。2016年9月に実施された試験も、20以上もの都道府県で行われており、注目度の高さが分かる。

ここに挙げた以外にも類似名称の検定などもあるようだ。

今後ますます性能が上がり、価格も下がると予想される。災害時の支援や荷物の宅配、警備の分野、介護の分野等様々な活用が期待されている。それと同時に安全性も厳しく求められる。ドローンの性能向上に合わせて、扱う人の知識・技術の向上も必要だろう。(ZUU online 編集部)

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