8割以上の就職活動者が「職を得る目的で嘘をついたことがある」ということが、米マサチューセッツ大学の調査からわかった。

81%が面接官に偽りの返答をし、33%が履歴書にウソの経歴を記入しているとは衝撃的な事実だが、「理想の応募者に見せかけたい」という人間心理は理解できる。しかし虚像を作りあげ、その虚像が崩れ落ちる心配と日々戦いながら得た職に、本当のやり甲斐を見いだせるのだろうか。

英国では実刑判決を受けた極端な例も

意外なことに就職活動の際の偽装工作行為は、それほど珍しいことではないようだ。英高等教育資格データ機関、Higher Education Degree Datacheckの調べからも、毎年少なくとも3分の1の新卒生が履歴書で学歴を詐称していることが判明している。

例えば4年半の実務経験を切りあげて5年としてしまう程度のものから、学んだことすらない分野の資格を所得しているという恐れ知らずのものまで、嘘の度合いは様々だ。

米人事コンサルティング会社、OCMリー・ヘクト・ハリソンのデイヴ・ヒルビッグCEOは、企業の規模が大きくなればなるほど応募者の経歴チェックが厳しくなる傾向が強く、過去の勤務先や大学への問い合わせやデータチェックから、経歴詐称が見ぬかれやすいと警告している。

これらの調査を通して、性質が外交的な応募者ほど嘘をつきやすいという結果がでている。うっかり気が大きくって饒舌になりすぎたせいで、話を大きくしてしまうというパターンだろうか。

たかが面接時の嘘と軽く考えていると、思わぬ事態に発展する可能性もある。英国では経歴を詐称してバイオテクノロジー会社に就職した社員が、3年間で5万ポンド(約657万円)の経費をねつ造しし、懲役3年の実刑を受けた例も報告されている。また虚像を裁く立場であるはずの法廷弁護士が、自分の出身校(イースト・アングリア大学)が経歴にふさわしくないと悩み、英オックスフォード大学と米ハーバード大学で資格を取得したと偽っていた例もある。

これらは極端な例としても、「経験や資格が不足なせいで、チャンスを与えられないのではないか」という不安感が、多くの応募者を経歴詐称に駆りたてていることは間違いない。

応募した仕事をこなせる自信があるのならば、自分の学歴や経歴にも自信を持ち、堂々と勝負にでるのが得策だろう。履歴書や面接官に熱意と能力を思う存分伝えることは、経歴をごまかしてしてビクビクするよりもよほど建設的だ。( FinTech online編集部

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