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(写真=PIXTA)

中国で最も給与所得の高い職務は何かという調査を見たことがある。第1位はダントツで「銀行の貸付担当職務」だった。多額の現金が目の前を通り過ぎる貸付担当は、優遇しておかないと何を仕出かすかか分からない。

かつて融資金額の1%キックバックは相場とささやかれていが、かなりの確率で事実だろう。高給の理由は彼らのこうした小使い稼ぎを封じるため、と誰しも思っている。

最近の銀行員による不正行為は、生々しい現金より、信用情報の売買に進化しているようだ。地方紙は「再び起こった銀行支店長の重大漏洩犯罪」という論説記事を掲載した。しかし記事をよく見ていくと、とても「再び」どころではない。

四川省で発覚

最も堅固であるべき中国公民の個人信用情報の城壁を簡単に破壊してしまう。それは常に銀行内に巣食う「内鬼」によっている。技術問題ではなく、勤務態度、管理の問題である。漏らさず責任者の犯罪を追及しなければならない−−記事はこう始まっている。

今年5月、四川省綿陽の警察は、同地出身の男が不法に入手した個人信用情報を所持しているのを突き止めた。その男は情報を1件当たり80元〜200元で販売し、4万元の利益を上げていた。彼は最下層の売人だったため、警察はさらに上級レベルを捜査した。

すると幹部たちは120万件を超える信用情報を持っていた。銀行内部の協力者から、毎週6万件近い信用情報を仕入れしていたのだ。警察はさらに流出の源流に迫っていった。

流出元は湖南省

そして7月になってたどり着いた先は、湖南省の銀行支店長だった。自己の管理下にある信用情報を、「中間商」に売り渡し、彼らはさらに裏ルートへの転売を繰り返す。また銀行の全従業員名簿まで流出していた。

湖南省の警察は、銀行管理職層の犯罪と特定し、捜査の結果、管理職層の協力分子15人、流出した個人信用情報257万件とともに、不正資金プール230万元を押収した。

以前から銀行システムの防犯レベルは低いとみられ、頻繁に攻撃されていた。警察は捜査結果を公表した中で、「銀行員こそ信用情報漏洩の元凶である」と断じている。捕まった支店長は、常にに暗誦ナンバーを変え、自分しか取り扱えないようにした上で、個人信用情報、とくに信用事故口座ナンバーを、毎回数万元で売却していた。

秘密を守れない中国人

東北地方でも発覚や、捜査着手のニュースが相次いでいる。遼寧省某市の銀行で、行員が内部システムを通じて個人信用情報を取得、こちらは1口座当たり30元〜50元で、中間商に販売されていた。流失口座数はわからないが、かなりの安売りに見える。

また今週、公安部の直接指揮のもと、瀋陽市の公安機関が、25もの省市に跨る、「特大個人信用情報侵犯」事案の捜査に着手した。銀行はもちろん、電信電話会社、保険会社、運送業者、チケット販売業者まで、“重点区”として捜査対象になっている。後日また、金融機関の「内鬼」たちの暗躍ぶりがマスコミをにぎわすことになるだろう。

中国人は、秘密結社や一族で結束の固いイメージがあるかもしれない。しかし第三者への関心が薄く、知らず知らずのうちに何でもしゃべってしまう。つまり秘密を探るのは得意でも、それを守れない人の方が多いのである。やっかいな隣人というしかない。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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