投資に興味があるけれど、自分で資金を運用するのに自信がない。勉強をしてみたものの、難しく感じ、諦めたという方は意外に多い。

それでも、将来のことを考えると貯蓄するばかりでは不安だという方もいるだろう。そのような方には、投資信託という仕組みを活用するという方法がある。

投資信託というものは知っているけど、実際にどういう仕組みで、どれくらいの利益ができるの?と疑問に思っている方のために、今回は投資信託の基本から、あまり知られていない豆知識まで解説していきたい。

投資信託はプロに任せられるから安心と思っている方も、メリット、デメリットをそれぞれ把握した上で、検討してみてはどうだろうか。

目次

  1. 投資信託とは
  2. 投資信託のメリット
  3. 投資信託のデメリット
  4. 投資信託の種類って何があるの?
    1. 追加型と単位型
    2. 投資対象の地域
    3. 投資対象
    4. 独立区分
    5. 補足分類
  5. 周囲の人は、どのように投資信託を選んでいるのか?
  6. 投資信託の本当の選び方
  7. リスク回避の手段を理解する
  8. 投資信託の耳寄り情報
  9. 投資信託のルール 購入したら終わり?
  10. 自分で投資を行える知識を

投資信託とは

投資信託とは、読んで字のごとく「投資を信託する」という意味だが、日本には信託法という法律が存在するのをご存知だろうか。

信託法3条1項によると信託とは、「特定の者との間で、当該特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の契約を締結する方法」と定義されている。

つまり、投資信託とは自らに代わって特定の者(投資の専門家)に、その資産を託し、運用してもらうということを指している。

さらに言えば、同じように資金を託している人がおり、それらのまとまった資金を通じて運用を行い、それぞれの投資額に応じて、利益を還元するシステムである。

投資信託のメリット

投資信託の最大のメリットは、プロがあなたの資金を代わりに運用してくれるという点だろう。いくら投資に対する知識を持っていたとしても、日々情報収集を欠かさず行い、ポートフォリオを組み、一定額の利益を積み上げていくということは容易ではない。投資信託であれば、投資を仕事としている専門家の手によってそれらの行程を全て行ってくれる。

また、少額からスタートできるという点も魅力の一つだ。積立投信と呼ばれるものもあり、月々1,000円から始められるという商品も存在する。株式投資であれば、100株が最小単位となっているが、投資信託であれば少額でも多くの人から集まった大きな金額としてそれらに投資することも可能なのだ。

投資信託のデメリット

では、投資信託にはデメリットがないかというとそんなことはない。最大のデメリットとしては、元本が保証されているわけではないという点が挙げられる。銀行に資金を預ける場合、1年後に預金を下ろした場合、1年前と同じ金額が受け取れることは説明するまでもないだろう。しかし、投資信託の場合にはその金額が保証されていない。もちろん、利益が出ている場合には、預けた額よりも多い金額を受け取ることもできるが、その反対のケースもありうるということだ。

また、専門家による運用を行うということは、手数料が発生する。それはファンドの管理費用(信託報酬)として引かれることになる。また、購入する際と信託期間の途中で換金する際にも、それぞれ手数料が発生する。

投資信託の種類って何があるの?

投資信託について調べ始めると、その商品の多さに驚く方もいるだろう。では、実際どのような種類があるのか詳細を見ていこう。

追加型と単位型

いつでも売買が可能な投資信託を追加(オープン)型と呼ぶ。それに対し、販売期間から一定期間のみ購入が可能なものを単位(ユニット)型と呼ぶ。

投資対象の地域

国内を対象に投資を行う国内型、海外を対象にする海外型、そのどちらも行う内外型の3種類がある。

投資対象

株式への投資なのか、債権への投資なのか、またはその他不動産投資などが対象なのかによって分類される。

独立区分

独立区分には、MMF、MRF、ETFの3種類が存在する。MMFは「マネー・マネジメント・ファンド」の略で、国内外の公社債を中心に運用を行う投資信託の種類である。MRFは「マネー・リザーブ・ファンド」の略で、同じく国内外の公社債を対象とした投資信託だが、より安全性の高い金融商品を対象としている。ETFは、上場投資信託と呼ばれ日経平均株価、TOPIXなどの指数に連動するように運用される投資信託である。

補足分類

日経平均株価やTOPIXといった各種指数に対しての投資は、インデックス型と呼ばれる。また、投資者に対して注意を喚起する必要がある特殊な仕組み、運用方法を用いる場合には、特殊型と呼ばれる。

これらの組み合わせにより、投資信託は構成されているのだ。つまり、多くの種類が存在するのは、それぞれどの組み合わせで構成されている投資信託かという点に違いがある。

周囲の人は、どのように投資信託を選んでいるのか?

周囲の人がどのような投資信託を購入しているのか、気になる方もいるだろう。しかし、残念ながら人が選んでいるものが、あなたにとって最適な内容である可能性は少ない。

その理由として、用意できる資金やライフプラン、投資目的は人それぞれ異なっており、何を持ってゴールとするかは、一概には言えないからである。

つまり、人の投資スタイルや意見を参考にして自身の軸を定めることが何より大切なのだ。ここでは、その参考のために国内外の分類、株式と債券の違いについて大まかな違いを理解していただきたい。

まずは、国内を対象とした投資信託か、海外のものを購入するかは悩むポイントの一つだろう。

国内を対象とした商品の特徴として、わかりやすさがある。日本経済の動向をチェックしていれば、値動きなどの情報の入手も簡単だと言える。

一方、外国を投資対象としている場合には、その点が見えづらい。また、新興国か先進国かによっても違いがあり、新興国の場合、これからの発展を見越すと大きなリターンが期待できる一方、不安定さは否めない。新興国の場合は、安定的であるため、リターンも少ないと言える。

次に、株式と債券とでは、値動きの幅が異なる。一般的には、株式の方が債権に比べ、値動きが激しいとされている。つまり、安定的なのは債権である。

自身の資産状況や目的を明確にすることで、これらの組み合わせを決定していけばいいだろう。多少のリスクを負っても、大きなリターンを期待したのであれば、新興国の株式を、安定的に僅かでも増えればいいという人は、国内の債券を選んでみる。もちろん、ポートフォリオを組み、その割合を変えてみることが現実的と言えるだろう。そのように、アクティブ型なのか、パッシブ型なのか大枠だけでも、決めておく必要がある。

投資信託の本当の選び方

初めて投資信託の商品を選ぶときに、つい気にしてしまうのがランキングである。ランキング上位のものは、みんな買っていて安心だと思う方もいるかもしれない。しかし、実はランキング上位の商品だからといって、それもあなたにとって最適なものとは限らないのだ。

その一つ目の理由として、ランキング上位の商品は、「各金融機関にとって販売したい商品」であるということが挙げられる。当然、手数料を多く取れるものが金融機関にとっては「売りたい商品」ということになる。

また、運用成績のランキングもあるが、それが一時的なものなのか、継続性があるのかという点で疑問がある。一時的に高騰したものがランキングされていれば、相場の動きとしては、その後については下落ということも考えられる。

では、一体何を基準にして商品を選べばいいのだろうか。

まず、注目したいのが手数料である信託報酬である。これがあまりにも高いものは、除外して考えるというのも軸の一つとなる。先ほども述べたように、手数料が高いものは「売りたい商品」であり、あなたにとって有益な内容ではない可能性があるからだ。

次に、「資産クラス」で選ぶという方法がある。資産クラスとは、国内株式や海外債券といった大まかな投資対象である。いきなり、個別の商品を購入するのではなく、自身の資金をどの資産クラスにどれだけ投資するのか、といった点を明確にするといいだろう。

これらの軸を決め、自身の目的を明確化すれば自ずと自分が選ぶべき商品が見えてくるのではないだろうか。

リスク回避の手段を理解する

もしあなたがすでに投資信託を行っている場合、その内容について十分理解をしているだろうか。自身の投資信託説明書(目録見証)を見ながら読み進めていただきたい。

まず、フル投資型と呼ばれる投資信託の存在をご存知だろうか。特定の投資対象に対し、ほぼすべての金額を、相場の良し悪しに関わらず投資を行う手法をそう呼んでいる。

投資信託協会のルールに次のようなものがある。

「投資信託の信託財産の総額の2分の1を超える額を有価証券に対する投資として運用することとする」(出典投資信託協会『投資信託等の運用に関する規則』)

つまりこれは、投資信託の中身の半分は現金として良いというルールである。例えば、株式を投資対象としている場合、相場が下がりそうな時には、その半分を売却し、現金部分を増やす。それにより、リスクを少なくするという仕組みである。

ところが日本の投資信託のほとんどは、100%の金額を投資する方針をとっている。つまりフル投資を採用しているのだ。つまり、上昇相場であれば、その分リターンも大きくなるが、下落相場であればその分リスクを負っているということになる。

その内容について十分理解しており、それを承知で購入した場合は良いが、これらフル投資というシステムを理解していないと、思わぬリスクを背負うことともなりかねないのだ。

投資信託の耳寄り情報

投資信託には、手数料がかかるという話をした。それは、プロによる運営に対する手数料、資産を運用するための手数料とも言える。

ご存知の方も多いと思うが、投資信託の商品の中にはノーロード商品という、手数料がかからない商品がある。

投資信託は、ネットでの販売が加速されていることに伴い、その手数料も競争傾向にあるのだ。今まで、店舗型の営業を行ってきた金融機関でも、ネットでの販売はノーロード商品を取り扱うというケースが増加している。

つまり、各金融機関間での競争が起こることにより、ノーロード商品が増えるもしくは、より安い手数料の商品が今後も登場する可能性がある。

そう言った情報にも目を向け、最適な時期に投資信託を購入するようにしてみてはどうだろうか。手数料を考慮することも投資で成功するための必要な感覚である。

投資信託のルール 購入したら終わり?

投資信託はプロに任せているからあとは何もしなくていい、というのは実は間違いである。つまり、投資信託を行う場合にも知識をつけることは必須なのである。

例えば、投資の世界には「損切り」という手法がある。損切りとは、マイナスの状態ではあるが、これ以上損失が増加しないうちに手じまいするということだ。まず、投資信託を始める前に、そうした損切りラインを自分で設定しておく必要がある。そして、実際に損切りラインに達してしまった場合には、解約をし、仕切り直すことも必要である。

反対に、利益が出ている場合にも要注意だ。利益は確定させなければ意味がない。そのまま持っていても、プラスが保証されるわけではないのだ。大きく高騰している場合には、特に注意だ。相場とは、常に変動するものである。行き過ぎた相場には、調整が起こり、平均化されていく。つまり、一時的な利益はしっかりと確定しなければ、その後の下落により、リスクを負ってしまう可能性もあるのだ。

これらのことを十分理解した上で、ただ購入して放置するのではなく、動向をチェックしていくことも求められる。

自分で投資を行える知識を

2014年にNISAが日本で制度化された。NISAは少額投資非課税制度と呼ばれ、年間120万円までの利益が非課税になる制度だ。投資信託もNISA口座での利用が可能である。NISAという言葉が浸透して以来、投資信託にも注目が集まっている。

投資信託も投資である以上、リスクは覚悟しなければならない。専門家に自身の資産を委ねているから安心とは、言えないのである。

もちろん、投資信託には多くのメリットもある。自身の判断で上手く活用していただきたいが、それだけではなく、ぜひ自身でも投資を行える知識を身につけていただきたい。それは結果として、投資信託を購入してからも役にたつ、一生ものの知識になるだろう。