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(写真=PIXTA)

不動産小口化の概要

不動産に投資したい、そう思ってもその値段や不動産を所得する手間を考えると尻ごみする人も多いだろう。その問題を解決してくれるのが、「不動産小口化商品」と呼ばれるもので、不動産特定共同事業法に基づく金融商品を一般的には指す。

不動産を購入するより低リスクで投資を行える……、これは過去の時代では考えられなかったものだ。現代では法の整備も進み、格段に投資しやすくなった。以下では、不動産小口化について詳しく説明する。

不動産小口化の仕組み

一般に個人で不動産投資を行うためには相当の資力が必要であり、また、実際に不動産を所有するとなると法律上の手続きなども発生し、大きな労力が必要となる。

また、莫大な資金も必要なことからそのリスクも大きい。それらのマイナス面を補うのが不動産の小口化だ。多くの人から資金を集め、その資金で不動産を購入し、そこから得られる家賃収入を出資者に分配する仕組みとなっている。

ここでは不動産小口化商品のメリットとデメリットを説明する。

不動産小口化のメリット

一つ目のメリットは、リスクを抑えることができる点だ。不動産購入にはまとまった資金が必要となり大きなリスクを伴う。しかし、小口投資であれば、不動産を購入するよりも安価に投資できるためリスクを抑えられるというわけだ。
また、一つの投資額が小口なため、分散投資を行うことで、さらにリスクの軽減が可能だ。

二つ目のメリットとしては、不動産の管理が楽なことだ。不動産を購入するまでも大変だが、所有後も管理などを行わなければならず大変な手間がかかる。小口投資であれば全ての管理は事業者が行ってくれるため、管理が楽になり、余計なことを考えずにすむ。

不動産小口化のデメリット

デメリットの一つは、元金割れのリスクがあることだ。どの投資もそうだが、不動産小口化商品にも元金割れのリスクは存在している。対策としては、商品の中身を詳しく知り、信頼できそうな商品を選ぶことだ。

二つ目のデメリットは、不動産を一人で所有する場合よりも利益が少なくなることだ。共同で出資する性質上、利益を一人だけで手にすることは出来ない。また、投資した不動産の価値が上昇した場合でも、分配金の原資となる賃貸収益や売却収益は、上昇分が分配金に含まれないケースもある。

不動産小口化商品の時代背景

不動産小口化商品は、バブル期に登場している商品だ。当時は一口1億など、現在では信じられない価格で販売されていた。だが、バブルの崩壊とともに不動産を管理していた事業者も倒産し、投資家に甚大な被害が及ぶことになった。それゆえ、投資家を保護する目的として1995年に不動産特定共同事業法が施行され、不動産小口化商品の販売は許可をもった事業者のみ販売できるとするなど、販売者への規制を強化されることになった。

最近の動向について

不動産特定共同事業法の施行以降は規制緩和が行われ、2001年に最低出資額制限が撤廃されることになった。特に近年では、マイナス金利の影響や相続税対策などによって、不動産投資を行おうとしている人が増えている傾向にある。

不動産会社の中には、より少額で投資が出来る不動産小口化商品も出てきており、資金を持たない投資家でも不動産に投資出来る環境が整いつつある。2020年に東京オリンピックが開催されることからも、この先不動産投資の人気は高まることだろう。その一方で、自分が投資しようとする商品にはどのようなリスクがあるのか把握した上で不動産投資を選択肢に入れてみてはいかがだろうか。(提供: みんなの投資online

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