NISA,投資,投資信託
(写真=PIXTA)

既に投資を行っている方は、NISAという制度を最大限活用できているだろうか。NISAが話題になってから、気になるもののまだ何もできていない方もいるかもしれない。NISAはうまく活用すれば、あなたの投資ライフに大きなメリットを与えてくれる。しかし、反対にNISAの制度を理解していなければ、損をしてしまうこともありうる。

今回は、NISAのメリット、デメリット、そしてどのような投資スタイルに適しているのかを、見ていきたい。


NISAとは?

NISAとは、実は日本が初めて導入した制度ではない。イギリスのISAという制度を模して、日本版ISAということでNISAという名称がつけられたのだ。

NISAは、日本語に訳すと少額投資非課税制度となる。その名の通り、少額の投資について本来かかる税金が免除される魅力的な制度だ。国として、投資を身近に行ってもらい、貯蓄から投資へという資金の流れを作る目的がある。

つまり、銀行に預けているお金を、より流動的なものとすることで日本経済を盛り上げていくのが狙いだ。それが制度の目的ではあるが、今まで投資を行ってこなかった方はもちろん、既に投資を行っていた方にもその分魅力的な部分が大きい。

NISAのメリット

NISAは何と言っても、その税制面での優遇が最大のメリットである。本来株式投資を行う場合、その運用益、配当金はそれぞれ、譲渡所得、配当所得として20%の税が課せられる。しかし、NISA口座を利用した投資の場合、年間120万円までの投資に対する運用益、配当金が非課税となるのだ。NISAは最大5年の期間が設けられており、うまく活用すればかなりの節税が可能なのである。

NISAのデメリット

NISAのデメリットとして挙げられるのが、通算損益を行えないという点がある。通算損益とは一言で言えば、10万円の運用益が出たが、他の証券会社で10万円の損失が出た場合には、それらを合算して利益は0円とできるという制度である。NISA口座は、こうした通算損益の適用が受けられないため、NISA口座でマイナスとなってしまった場合でも、他の口座で利益が出ていれば、課税されてしまうのだ。

また、NISAでの最大投資金額は120万円と設定されている。毎年、120万円ずつ、5年間で合計600万円の投資が可能だが、ぞれぞれの年の120万円の投資枠は繰り越すことができない。つまり、1年目に10万円の投資を行い、2年目に230万円を投資するといった方法はとることができないのだ。毎年、120万円という枠を最大限活用する投資スタイルで、最も効果を発揮すると言える。

また120万円で株式を購入し、利益が出たので売却したとする。その際、投資枠120万円が再度与えられるわけではない。つまり、120万円が121万となって売却した場合には、その年の非課税対象は1万円のみとなるのだ。

どんな投資にNISAは向いているか

では、具体的にどのような投資スタイルにNISAは適しているのだろうか。NISAの対象となっているのは、上場している株式、EFT(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)、株式投資信託である。

ここまで解説してきたメリット、デメリットを鑑みると、ポイントは「非課税枠をフル活用する」「安定的なもの」「中長期スパンの投資」の3つである。

非課税枠をフル活用することを考えると、投資信託が適していると言えるだろう。株式の場合、120万円ちょうどで購入することが難しいが投資信託であれば口数単位で購入できるため、そうした調整がしやすい。また、株式の場合、一つの銘柄で120万円ぎりぎりの枠で使えたとしても、その個別銘柄の株価の変動に左右され、リスクを負うことになる。その点、ポートフォリオの観点からも投資信託が適していると言える。

安定的なもの、中長期投資という部分は変動が激しいものであるとリスクが伴うということだけではなく、すぐに売却した場合、非課税枠をすぐに使い切ってしまうということにもなりかねない。つまり、安定的に利益を生み出せ、かつ中長期の保有に適しているものを選びたい。

NISAを始めてみたいと思ったら

まずは、NISA口座を開設することが必要である。ただし、NISA口座はひとり一口座までと決まっているので、慎重に検討してほしい。NISA口座は、株式、投資信託を取り扱っている販売会社であれば、開設可能だが、それぞれ手数料や取り扱い商品が異なることもあるので、その点に注目して口座を作ってほしい。新規口座の開設は、現状2023年までとなっている。2023年に口座を開設すれば、2027年までは非課税枠は適用される。内容の変更や、延長などもありうるかもしれない。制度自体についても、欠かさずチェックしてほしい。

また、NISAを最大限活用するためには自身がNISA口座をどのように利用するか、ということが最も大切である。前項で3つのポイントを挙げたが、人によっては少しアクティブな投資にチャレンジするものとして活用することが最適な場合もある。自身がNISA口座を使って、何を実現したいのか、いくらの資金を回すことができるのかを明確にしてから口座開設することをおすすめする。