世界各地で様々な宿泊場所が簡単に借りれる・貸しだせるコミュニティー・ネットワークとして大人気の「Airbnb(エア・ビー・アンド・ビー)」。商業用ではなく個人所有住宅を仲介するというスタイルで接客業界に革命を起こしたが、利点とともにリスクにも焦点が当たっている。

各国・都市によって対応は異なるものの、「国際的に展開されている事業であるにも関わらず、国際規律が設けられていない点」に、問題の根本があるのではないかいう印象を受ける。

無法地帯化防止策だがニューヨークのホストにとっては大打撃

2008年にサンフランシスコで設立されたAirbnbのネットワークを通し、現在191カ国、3万4000都市以上で200万人を上回るホスト(空き部屋を提供する宿主)が「民泊活動」を行っている。通算ゲスト(空き部屋を借りる旅行者)は6000万人を突破という勢いだ。

ゲストにとってはホテルなどより低価格で宿泊先が選び放題という利点、ホストにとっては眠らせていた空き部屋で小遣い稼ぎは勿論、ゲスト数次第では立派な所得まで稼ぎだせるとあって、大歓迎の革命として受けとめられている。

その反面、各自治体が複雑な反応を見せているのも事実だ。米国では一足先に規制を強化していたサンタモニカに続き、ニューヨークが今年6月、「所有者不在の住居に関し、30日未満の短期貸しだしを禁ずる法案」を通過させた。10月にアンドリュー・クオモ知事が承認したため、今後宣伝を含む違反行為には1000ドルから7500ドル(約1万円から79万円)の罰金が課せられることになる。

ニューヨークはAirbnb最大都市といわれている。昨年11月のAirbnbデータでは、貸出物件数3万6000件の55%に値する1万9742万件が「所有者不在の空き物件」、つまり新規制では違法にあたる状態で貸しだされていた。その後貸出物件数の大きな変動が報告されていないことを考慮すると、今後経済的な打撃を受けるホストが続出すると懸念されている。

こうした動きはAirbnb規制に乗りだしたパリ、ベルリン、バンクーバーといった大都市にならうものだ。そのほか無許可の民泊物件が横行している韓国では、違法にあたる物件をAirbnbサイトから削除する作業が進んでいると米メディアが報じている。

「民泊普及への圧迫」として受けとめられている動きとは裏腹に、ロンドンではAirbnb主催によるホスト用コミュニティーが発足。Brexitの逆風に立つロンドンのビジネスを支援する意図もあるが、ホストが団結したコミュニティーを築くことで、民泊に対する政治的圧力に対抗するという狙いのようだ。

ロンドンでは昨年3月以降、年間90日までゲストへの貸しだしが合法化されているなど、Airbnbに優しい都市といえるだろう。カルターニャ(スペイン)やアムステルダム(オランダ)でも、一定の条件下での貸しだしが容認されている。

Airbnbの普及が共有経済に貢献していることは疑う余地がない。そうした利点を最大限に活かすうえで、各都市の背景を踏まえつつ、国際的な視野から見た基準を打ちだす時期に差しかかっているのではないだろうか。(ZUU online 編集部)

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