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(写真=Thinkstock/Getty Images)

日本銀行は、2016年10月31日から11月1日に開いた金融政策決定会合で、金融緩和の現状維持を決定した。短期政策金利はマイナス0.1%、長期金利である10年物国債金利は0%程度に今後も維持される。

2012年末の第2次安倍政権発足時より主な経済刺激策として採用されている低(マイナス)金利政策が、不動産市場を活性化してきたのは事実であろう。一方で、加熱する不動産価格に80年代後半のバブル経済を思い起こし、暴落への警鐘を鳴らす報道も多くなっている。今後の不動産価格の方向性を探るとともに、リスクへの対応策を考えてみよう。


不動産価格はバブル?

2016年10月26日、国土交通省は2016年7月分の不動産価格指数(住宅)を発表した。不動産価格指数とは、2010年平均を100として取引価格を指数化したもので、2016年7月の指数は、全国の住宅総合で106.7となり、2013年3月以来41ケ月連続のプラスとなっている。2012年末の第2次安倍政権発足から程ない不動産価格の上昇は、金融緩和政策が功を奏したアベノミクスの恩恵とみる筋も多い。

しかし価格推移を種別に比較すると、戸建て住宅、住宅地の価格は、ほぼ横ばいから下降気味に推移していることがわかる。2016年7月分も各々99.0、96.8と2010年に比して下落しており、前年同期比でもマイナスとなっている。

一方で区分所有マンションの価格は2013年3月より、ほぼ一貫して右肩上がりの状況を呈しており、2016年7月分も指数は128.9、前年同期比で+6.3%と著しい伸びを示している。
住宅総合の価格の伸長は、不動産価格全般が上昇しているのではなく、偏にマンション価格の値上がりがけん引しているといってよいだろう。

東京一極集中、東北・九州・沖縄・北海道の伸長も顕著

更に、地域別に細かく分析してみよう。マンションはどの地方でも大幅な伸びを示している。特に東北・九州・沖縄・北海道地方の伸びが顕著だ。

一方で、住宅地、戸建住宅、マンションともに価格指数が100を超えている地方は、東北地方だけとなっている。都道府県別では、東京都と愛知県は、すべての分野で価格指数が100を超えている。首都圏とはいえ大阪府は住宅地・戸建住宅の価格は下落傾向である。

不動産価格指数から見る、マンション価格の特徴とは

不動産価格指数からは、以下のような特徴があるとまとめることができる。

住宅地・戸建住宅に顕著な価格上昇は見られず、むしろ下降気味

日本全体の人口減少・老齢化から全般的に住宅需要は減少しているため、住宅地・戸建住宅の価格は低迷している。戸建物件の老朽化、地方の空き家化が全体の価格を押し下げる方向に働いていると思われる。

マンション価格は全国的に高騰、特に東北・九州・沖縄・北海道

東京都・愛知県で不動産価格が上昇しているのは、全国的な人口減少においても人口が首都圏に集中し増加する傾向は継続しているため、住宅需要が未だ旺盛なのも一つの要因であろう。東北地方の全般的な上昇は震災による下落と復興需要によりもたらされたものといえるであろう。

東京・名古屋などは全般に価格上昇

マンション価格が高騰しているのは、住宅需要以外の需要が価格を押し上げていると考えるべきであろう。人口が減少している地方を含めどの地域でもマンション価格は上昇しているからだ。もっとも、どの地方においてもマンション建設が成り立つのはその地方の人口集積地である都心部であるため、大局的に見れば住宅需要には違いないともいえよう。

不動産価格の決まり方は、投資需要へシフト

マンション価格の上昇を支えているのが住宅需要ではないとすると、いかなるものであろうか?以下の要因が考えられ、多くは投資需要がその根源といえよう。

建設工事費の高騰

新築マンション価格は通常、土地購入費+建設費+販売マージンで売り出し価格が決められる。復興需要もあり、建設工事費は以前の20%増ともいわれており、特に東北地方の価格上昇はその要因が大きいことが予測される。

金融緩和による投資需要の流入

2013年3月の日銀 黒田総裁の就任と同時に超低金利政策がクローズアップされた時期と、マンション価格が上昇傾向に転じた時期が同一であることは、決して偶然ではないであろう。毎月現金収入が上がり安定的な利回りが見込めるマンション投資は、超低金利時代には魅力的な投資先となりえるからだ。北海道・東北・九州などの地方のマンション価格の上昇は、首都圏のマンション価格に比べて地方の価格に値ごろ感があることとも無関係ではない。

インバウンドの増加

外国人観光客は2020年の政府目標であった2000万人を2016年10月には既に超えており、東京オリンピック・パラリンピックを控え4000万人を目標とする状況である。東京および観光地のホテルの稼働率も高くホテルの売買価格は高騰を続けている。

こうした状況下で、民泊に活用できる賃貸マンションが人気となっている。民泊に関する法の整備が済めば、不動産業者や不動産投資信託が民泊運営に乗り出すことが予測されるため、さらに状況は加熱することも考えられる。

世界的な資金の流入

円安基調の現在、高止まりしているシンガポールや香港、台湾などの不動産に比べ、日本の不動産は未だ割安感がある。高騰しすでに暴落が懸念されている中国の不動産に対する投資の振り替え先としても日本の不動産は優良な案件であろう。

高齢者市場

相続税対策としてのマンション投資も価格の下支えとなっているだろう。特に区分所有のマンションは手軽に投資できるとともに、財産分与も容易なため、税制の変わらない限り、今後も人気は継続するであろう。

不動産価格を決定づけているのは、以上のような、住宅需要と、投資需要であり、この仮説が正しいということであれば、住宅・土地価格の上昇は当面見込めないものの、金融政策の方向転換が起きない間は、マンション価格は下支えされ続けるのではないかと予測できる。

知っておきたい3つの投資対策

そうはいっても、このマンション価格の高騰がバブルであることは、否定しきれない方もいるであろう。そういった方のためには、次の3つの対策をおすすめしたい。

REIT

REIT(不動産投資信託)を活用しよう。REITは金融商品であるため、売りから市場に入ることが可能だ。保有資産の価値減少に対するリスク対策としては、REITで売りポジションを取っておけばよい。不動産価格が下落すれば、売りポジションのREITは買い戻し益が発生するためにリスクヘッジとなる。

ローンの借り換え

投資需要を減退させ、マンション価格を下落させる要因としては、金利政策の転換、すなわち金利の上昇が考えられる。ローンがあるのならば担保価値が下落する前に、より有利な金利のローンに借り換えることも検討すべきであろう。現在のマイナス金利政策下では、変動金利でも固定金利でもそう大差がない。従来のローンが変動金利であるならば、今のうちに固定金利に振り替えて、将来の金利変動リスクに対応しておく必要があろう。

売却

出口戦略としては、売却は最も有効な方法である。現在利益が出ている上であり、価格下落のリスクを恐れるならば、最良の手段は売却して利益を固定することである。そのうえで、納得できる投資を検討するのはいかがであろう?

今後注意すべき不動産価格のポイント

上昇を続けている不動産価格をけん引しているのは、マンション価格であり、マンション価格の上昇をけん引しているのは、旺盛な投資需要である。その旺盛な需要をけん引しているのは、超低金利政策であろうと述べてきた。今後の不動産価格の動向もこのマイナス金利の政策がいつ転換期を迎えるか、ということに大きく左右されるであろう。その時のためには自身の資産を整理して、冷静にリスク対応をしておくべきであろう。(ZUU online 編集部)

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