名前を見聞きすることが多くなった「ふるさと納税」は、納税という名称からか一部では非常に人気があるものの、大多数が利用しているというわけでもないようだ。2015年以降、毎年のように制度変更が行われて利用しやすくなっており、寄附金に対する控除額が2倍になったり、方法によっては確定申告が不要になったりとお得感が増えている。ふるさと納税を利用する人やふるさと納税による寄附金額は今後も増えると予想されている。

目次

  1. ふるさと納税の仕組みとは
  2. ふるさと納税で税金控除を受ける方法
    1. Step1 寄附したい自治体を選ぶ
    2. Step2 寄附する
    3. Step3 税額の控除を受ける
  3. 確定申告が不要?ワンストップ特例制度とは
  4. ワンストップ特例制度を利用するには
  5. ふるさと納税における確定申告の流れ
    1. 確定申告で準備するもの
    2. 確定申告書の記入の流れ

ふるさと納税の仕組みとは

ふるさと納税とは、名前こそ「納税」となっているが、実際に行っているのは自治体への寄附である。その寄附を行うことによって、寄附を受けた自治体からお礼を受け取ることになる。お礼は鮮度抜群の山の幸や海の幸など、地域の特産品が多い。寄附によってその地域を応援することができ、受け取るお礼を通じてその地域の新たな魅力を知ることができるという仕組みだ。

その特産品が有名になれば、生産に携わる人が増えたり、後継者の育成に力を入れることができたりと、間接的にサポートすることにもなる。寄附金を有効活用した地域づくりに貢献でき、地域の生産者も喜び、寄附した人もお得になるといったように、携わる人々が幸せになれる制度がふるさと納税だといえる。

一般的に、日本に住んでおり前年に収入があった人は、現在住んでいる自治体に住民税を納めており、その税金はその地域のために利用されている。しかし、今の居住地域ではなく自分の生まれ育った故郷に恩返しをしたいと思ったら、ふるさと納税の仕組みを使って故郷に寄附を行うことができるのだ。

ふるさと納税を行うと、寄附金額−2000円が所得税・住民税から控除されることになる。例えば、5万円分の寄附を行ったら、4万8000円が所得税と住民税から差し引かれるというわけだ。そのうえ、寄付金相当であったり、場合によっては寄附金以上の特産品をお礼としていただくこともできるのだ。これを利用しない手はない。

ふるさと納税で税金控除を受ける方法

ふるさと納税は、以下の手順で行うことになる。

Step1 寄附したい自治体を選ぶ

まずは寄附したい自治体を選ぶ。広報や新聞、自治体のホームページ、ふるさと納税応援サイトなど多数のWebサイトに情報が掲載されているので、それらを参考にして選択しよう。

寄附を求める自治体や、自治体が行う事業の情報を集めて、その応援のための寄附を行うのもいいし、自分がほしいと思うお礼を選び、その中から自治体の寄附金の使い方で応援したいと思うところを選ぶのもいいだろう。

Step2 寄附する

寄附する方法はいくつかあるが、まず、直接窓口に行くことにより寄附が可能だ。この方法の場合、単にお金を渡すことにとどまらず、この自治体をサポートしたいという思いを自治体職員に伝えることができる。

その他の方法としては、銀行振り込みやクレジットカード決済などもあるが、詳細は寄附したいと思う自治体に確認する必要がある。次のStepで税金の控除を受けるためには、寄附したことを示す証明書が必要となるので、証明書を受け取って保管しておく。

Step3 税額の控除を受ける

税金の控除を受けるためには、基本的に確定申告が必要だ。多くの場合、会社員は自分で確定申告をする必要がなく、会社がまとめて税金の支払いを行っている。しかし、マイホームを購入したり高額の医療費を支払ったりした場合は、自分で確定申告を行うことによって、すでに支払った税金の還付を受けることができる。ふるさと納税の控除も、それと同じような手続きをすればよい。

なお、還付は一度に全額行われるのではないので注意が必要だ。「ふるさと納税による寄付金−2000円」のうち所得税の控除分は還付されるが、住民税の控除分は春に支払う住民税から控除されることになので、こちらはお金が戻ってくるわけではない。

確定申告が不要?ワンストップ特例制度とは

ふるさと納税の還付を受けるには確定申告をする必要がある。自営業の人は毎年の確定申告と合わせてふるさと納税の還付手続きをすればよいが、一般の会社員は前述のとおり自分で確定申告を行わないことが多い。会社が税金の支払いや年末調整を行うことで、払いすぎた税金が還付される仕組みになっている。

そうした状況でふるさと納税をしても、確定申告を忘れそうだと思う人や、手続きが大変そうだという人のための制度が「ワンストップ特例制度」だ。これは、確定申告不要な給与所得者などがふるさと納税を行う場合に、確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられるという制度だ。

対象は確定申告の必要がない給与所得者なので、2000万円以上の年収がある場合や、住宅ローン控除を受けるための確定申告をする場合などは対象外となる。

寄附する自治体は5団体までと決まっている(同じ自治体に対して複数回寄附を行っても1団体とカウントされる)。6団体以上に対してふるさと納税を利用したい場合は、確定申告が必要だ。最初はワンストップ特例制度を利用するつもりだったが、6団体以上に寄附を行ったので確定申告をするという場合には、特に必要な手続きはない。時期が来たら確定申告をすればよいというのは安心だ。

ワンストップ特例制度を利用するには

ワンストップ特例制度を利用するには、自治体にふるさと納税を申し込む際、寄附する自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を送ってもらえるように依頼しなければならない。Webサイトから申し込む場合は「申請書を要望する」という欄にチェックを入れればよい。チェックを忘れてしまったり、申請用紙を紛失してしまった場合は、インターネットでダウンロードして印刷することもできる。

しかし、そのように申請書を依頼しただけではワンストップ特例制度は適用されない。「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」にはマイナンバーの記入が必要だ。

その他、なりすまし防止のため、マイナンバーを確認するための書類と、運転免許証や健康保険証のコピーなどの本人を確認できる書類を郵送する必要がある。これらの書類提出の適用条件を満たして初めてワンストップ特例制度の適用を受けることができる。

ふるさと納税における確定申告の流れ

確定申告で準備するもの

確定申告でふるさと納税の控除を受けるには、必要なものをそろえることからはじめる。
まずは、「確定申告書A」これは近くの税務署や国税庁のWebサイトで入手することができる。次に「源泉徴収票」は、勤務先が発行したものとなる。「ふるさと納税の受領証明書」寄附先の自治体が発行したもの。「還付金を受け取る銀行口座」「印鑑」の5つだ。

確定申告書の記入の流れ

1.源泉徴収票の「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」を記入する。
2.自治体が発行した「受領証明書」を見ながら、寄附先の名称、所在地、寄附額を記入する。
3.指示に従い計算した金額を記入する。
4.還付金を振り込んでもらう口座を記入する。

これらは控えをとっておいて、数年間保管しておくとよいだろう。

自分が支払う税金を本当に使ってほしい自治体に寄附できること、さらには寄附に対してお礼がもらえることを考えると、ふるさと納税はとてもすばらしい制度だといえる。ワンストップ特例制度が導入されたことで、これからもさらにふるさと納税が利用しやすくなるかもしれない。

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