様々な大陸プレートが重なる日本では地震に遭遇する可能性は高い。地震のエネルギーは強大で、大きな建物などを倒壊させ、生活する人をおびやかす。都市部での震災は人口が密集しているため大惨事となり易いし、木造の住宅が多い地域では大規模な火災に注意しなければいけない。

誰もが地震に遭遇する可能性があると認識をして、地震による被害への備えとして地震保険の加入を検討する必要があるだろう。地震保険独特な制度もあるので、基本を良く理解した上で、地震保険に加入するかしないかを吟味しなければいけない。

目次

  1. 地震保険とは
  2. 地震保険の補償対象とは
  3. 被害者自身ではなく、被害の状況で決まる支払い額
  4. 地震保険のメリット
  5. 地震保険のデメリット
  6. 地震保険と火災保険の違い
  7. 地震保険の選び方
  8. 年末調整・確定申告との関係
  9. 注意したい点とは

地震保険とは

地震は発生すると甚大な被害が生じることから、法律によって定められ、国と損害保険会社が共同して運営する地震保険が設計されている。地震保険は運用による利益を出すことを目的にはしておらず、大きな損害が地震で発生した際の救済を目的として、国が再保険という形でバックアップしている。

そのため、損害保険各社での保険料に金額の差は設けられていない。地震保険は、地震・噴火・津波による災害で発生した損失を補償するための保険で、火災保険と合わせて加入をすることになっている。火災保険では地震による損害は補償の対象外となっていたが、大きな地震が数度発生をした際に地震に対する補償のニーズが高まって整備をされた。

日本中の至る場所で地震が何時生じるか分からない状態であり、一度起きると本震から余震まで揺れが続き広範囲での継続した損害が生じ易いため、地震に対しては法的な保険制度が完備されている。

地震保険の補償対象とは

火災保険とセットして契約することが条件の地震保険は、居住用の建物と居住用の建物に収容されている家財が補償の対象となる。家財には自動車を含まず、一組の価値が30万円以上の高価な品物は除外されている。地震の被害は甚大なものになるため、補償の範囲も火災保険の対象となっているものに限られる。

地震保険は営利を目的としていないので、出来るだけ手厚い補償が望まれるが、地震の強大な被害をカバーするためには生活に必要な居住する建物に関して生じた損害に限定して補償する内容となっている。生活の基盤となる住居や家財に対してのみを補償とし、火災保険と合わせて契約をしなければならない。

被害者自身ではなく、被害の状況で決まる支払い額

地震保険は営利を目的としない公的な保険であることから、支払いの基準も一定であり、被害者ごとでの支払い額に差が生じないように公平な運用がされている。

地震保険の補償において、居住用の建物が損壊した際の支払い基準は、「全損」「半損」「一部損」と定められており、建物の主要構造部が一定の損害を被った程度により振り分けられる。

主要構造部とは、基礎、柱、壁、屋根などを指し、一例としては、これらの損害が建物の時価額の50%以上で「全損」、20%以上から50%未満が「半損」、3%から20%未満が「一部損」とされる。

地震保険は地震による津波を原因とする損壊も補償の対象にしているため、建物の床上浸水も補償の対象となり、その浸水の程度で同様に基準分けがされている。

地震保険のメリット

地震保険のメリットとしては、火災保険では補償がされない地震と噴火や、これらによる津波を原因とする損害に対して補償がされることである。大震災になると被害も甚大になり、予測していなかった一人一人の出費も多くなってしまうが、地震保険は突然に発生する地震での損害を保障してくれる強みがあるのがメリットとなる。

場合によっては地震が無い地域への避難を検討する場合も地震の被災者にあるが、避難による移動費用やホテルや避難施設での生活費用も意外とかかるものである。

地震保険で補償が受けられる安心感は、地震の被害に遭った人にとって大変心強い支えとなる。損害保険会社も地震による建物等の損害鑑定を迅速に実施しており、保険金が支払われるスピードが担保されている。

地震保険のデメリット

地震保険のデメリットとしては、地震に被災した際の補償として地震保険だけで必要な費用に対する補償が全額されないことである。地震保険の補償の上限である保険金額は、合わせて加入をする火災保険の保険金額の30%から50%までであり、かつ建物は5000万円、家財は1000万円を上限とされている。

新築で購入した住宅の建物が損害した場合でも、これらの地震保険の定めている上限額を上回って保険金の支払いは損害保険会社から実施されない。また、震災時にはライフラインが止まることもあり、住宅から離れた避難所での生活を余儀なくされることがあるが、避難所での生活を確保するために毛布や食事などの必ず必要な日常品を購入する金額は自己負担になってしまう。

さらに、地震保険の保険料は地区と建物の構造によって異なるが、東京都での対価構造の次額の保険料は2000円程度となり、年間でトータルすると2万円に達する。地震保険での補償には制限があり、住宅等の損害について復旧の際に地震保険から受け取る保険金だけでは十分でない。これらのことから、保険料に見合った補償内容が整っているかという疑問が生じるデメリットがある。

地震保険と火災保険の違い

地震保険と火災保険の違いは、契約の方法である。地震保険は火災保険とセットでしか契約をすることが出来ず、地震保険の契約を単独で希望しても、損害保険会から引き受けを断られてしまう。

また、補償の対象にも違いがある。火災保険は日常生活に伴うリスクを想定して保険料率が決定をされているため、一回の発生で大きな被害を出す地震に対する損害を補償の対象にはしていない。ニュースでも確認出来るが、都市型の地震により火災が暫く経ってから生じたとしても、火災保険で補償をされることは無い。

火災保険は損害保険会社ごとに設計された任意保険であり、対象となる物件も地震保険とは異なり、業務用の店舗や工場等を補償の対象にすることが出来る。損害保険会社ごとに販売されている火災保険の保険料には差があり、国と共同で運営されている一律の保険料が設定されている地震保険とは異なる。

火災保険と地震保険は同じ火災事故等を補償する保険と誤解がされ易いようであるが、支払われる保険金にも相違点がある。火災保険は任意保険であり、負担する保険料も契約者ごとで異なることため、特に保険金額の上限額は設けられておらず、火災保険の契約を締結する際に決定する保険金額に対して、損害額の大きさを比較して支払い額が決定されるものである。

公的な側面がある地震保険では、損害保険会社の財政健全化を維持するために、想定される保険金額の上限が設定されている。リスクに応じて保険契約は締結されるものであるが、想定される損害の規模に違いがあるため、火災保険で支払い対象とならない地震に対する補償を地震保険でカバーしている、という構図となる。

地震保険の選び方

地震保険の選ぶうえでのポイントは、火災保険の加入先である保険会社が、損害保険協会に参加して地震保険の販売をしている保険会社であるかを見ることである。火災保険の加入者は契約の途中で地震保険への加入が可能である。

既に火災保険に加入をしている場合は地震保険に加入を希望すると、保険代理店か、直接インターネットの窓口などに申し込む必要がある。

地震保険は公的な制度であり、各損害保険会社で保険料に差を設定されず、補償内容と支払う保険金の計算基準も同様に定められている。地震保険を単独で加入することは出来ないことから、火災保険の契約に地震保険を合わせて契約をする際に地震保険に加入する保険会社を選ぶことになる。

そのため、地震保険と合わせて加入する火災保険のサービス対応の口コミをチェックして、損害保険会社のサービスレベルを確認しなければならない。迅速な調査から保険金払いまでのサービスが期待できる損害保険会社は、地震等の有事の際もしっかりした損害調査の体制を整え、スムーズな対応を実施する。

火災保険の支払いは、損害保険会社が提携している鑑定会社の多さや、保険金支払いの担当者のレベルによって異なってくる。地震の際は一刻でも早く保険金の支払いを受けなければいけないために、迅速な対応で評判が高い損害保険会社を探す必要がある。損害保険会社の口コミは保険の比較サイトでのランキングが参考となる。

年末調整・確定申告との関係

年末調整や確定申告で支払った地震保険の保険料は所得税と住民税の控除対象となるので、支払った保険料の証明書を契約している損害保険会社から取り付けて税務署に提出する必要がある。年末調整の対象である会社員は面倒だとは思わないで節税のために申告をした方が賢明だ。

詳細として、年間で支払いをしている地震保険料は、所得税で最大5万円、住民税で2万5千円を上限として、地震保険の契約者や生計を共にする配偶者や親族が常時住居として使用する建物や家財に対する地震保険の保険料が控除の対象となるため、忘れず控除の申請をして欲しい。

注意したい点とは

地震保険に関して注意する点は、契約するに際して火災保険と合わせて申し込みをするため、火災保険の損害保険会社の保険金を支払う部署のサービスレベルによって地震保険の支払いが左右されることだ。

地震保険の年間の保険料は地域によって異なるが、年間を通してみれば決して安くは無い。保険金の支払いに遅延のクレームが無い損害保険会社の評判を確認して加入を検討しなければいけない。

また、地震保険は公的な側面が強いために、例え全損害となったとしても、建物を購入するための全額の費用は補償されないことに注意をしなければいけない。

マイホームを購入した人であれば、住宅の購入費用もかかり、万が一の地震の備えも万全にしたいと考えるが、分譲マンションに居住している人にとっては地震保険の加入を悩む人がいるかもしれない。データ的に地震が発生しやすい地域なのかを調べて地震保険の加入を検討してもよいだろう。

地震保険は居住用の建物とその建物に収容されている家財を補償するものなので、賃貸契約の人にとっては家財のみを対象とすることになる。居住する住宅のタイプによって地震保険の加入について注意をする必要がある。