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(写真=PIXTA)

マイホームを購入した場合は必ず火災保険のことを考えるだろう。もちろん、賃貸契約であっても一般的に火災保険に加入する。契約するにあたり火災保険に加入する事が条件になっていることも多い。火事や災害はいつ起こるかわからない。そして、気をつけていたとしても自分が火事を起こしてしまい他の人に迷惑をかけてしまうかもしれない。

発生すれば大きな被害になってしまう火災。知らなかったでは済まされないため、しっかりと備える必要があるだろう。人から言われるままに保険に加入するのではなく、火災保険の基礎知識から適切な補償内容、商品比較などを通して、自分に合った火災保険選びをする事が大切だ。

目次

  1. 火災保険とは
  2. 火災保険では何を補償するの?
    1. 火災
    2. 落雷
    3. 破裂・爆発
    4. 風災・雹災・雪災
    5. 水災
    6. 外部からの衝突・落下・飛来
    7. 漏水による水濡れ
    8. 集団行動等による暴力行為
    9. 盗難や盗難に伴う損害
    10. 突発的な事故
    11. 火災保険ではどういう時に補償される?
  3. 火災保険のメリット
  4. 火災保険のデメリット
  5. 火災保険と地震保険の違いは?
  6. 火災保険はどうやって選べばいい?
  7. 火災保険の加入手続きとは?
  8. 税額控除される条件と控除額

火災保険とは

火災保険とは一戸建てやマンション、ビルなどの動産と建物の中の家具や什器、家電製品などを補償するものである。例えば自動車保険は、自動車が事故で故障した時にそれらを補償するものだが、それと同様、火災保険も火事や災害などにより家が事故にあった場合、建物とその家の中の財産を補償する保険といえるだろう。

さて、車の保険では車両保険と言われるものがあるように事故の時に相手を補償するだけのものと自分の車両や自分自身を補償するものとに分かれていてそれぞれ加入していなければ補償されない。それと同じように火災保険も保険の対象ごとに保険に加入する仕組みになっている。建物に保険をかけただけなら建物が被害を受けた時にその建物が被害を受けた分だけの補償となる。建物の中の家具や什器、家電製品などの補償を受けるためにはそれらが対象となる保険にも加入しておく必要がある。

火災保険では何を補償するの?

火災保険では火災だけではなく様々な補償が受けられる。最近は自然災害の補償が受けられるほか、盗難などの被害も補償してもらえる火災保険もある。では、どのような補償が受けられるのか一般的な補償内容をまとめてみた。

火災

過失で火事を起こしてしまった場合や隣の火事で被害にあった場合、放火で家が焼けた場合に補償してもらえる。
例えば天ぷらを揚げていて鍋に引火してしまった。消化器で消火を試みたものの火の勢いが強くキッチンのガスコンロ周りや上部の換気扇などが焼けてしまった。このような場合に補償してもらえる。

落雷

落雷時の被害を補償してもらえる。例えば落雷でコンセントにつないでいたテレビが故障した。故障の原因が過電流による基板の故障であれば補償される。

破裂・爆発

ガス漏れなどによる破裂・爆発の補償。例えばガスコンロやガス給湯器が爆発し壁や天井が破損した場合に補償される。

風災・雹災・雪災

洪水や高潮の被害以外で台風や暴風雨による被害、雹や豪雪による被害を補償する。例えば台風による強風で屋根が飛んだり雨樋が外れたりした時の修理費用が補償される。

水災

地震によるもの以外の洪水・高潮・土砂崩れにより建物が被害にあった場合に補償される。例えば、台風の影響で近くの川が氾濫し、自宅が床上浸水になった場合、壁や床の補修のための補償が受けられる。

外部からの衝突・落下・飛来

建物の外部から物体が衝突したり、落下物により建物が破壊されたりした場合に補償される。例えば自動車が壁に衝突し破壊された。自動車が家の塀に当たり傾いてしまった場合に補償される。

漏水による水濡れ

給排水設備の事故による漏水や水ぬれの被害を補償してもらえる。ただし給排水設備の修理は補償内容に含まれない。
例えば排水溝に異物が詰まり防水パンから排水があふれたり洗濯機が故障し排水があふれ建物の床が被害にあったりした場合に補償される。

集団行動等による暴力行為

集団行動による暴力行為や破壊活動の損害を補償する。
例えばデモ隊と機動隊の衝突が起こり、投石や火炎瓶による窓ガラスなど建物に破損が生じた場合に補償される。

盗難や盗難に伴う損害

盗難や盗難に伴う損害が補償される。
例えば勝手口の鍵が破壊され盗難の被害に遭った。防犯装置が破壊され盗難にあった場合に補償される。

突発的な事故

誤って壁などを破壊してしまった場合で機能上の支障が発生する時に補償される。例えば、掃除中に壁に物がぶつかり壁に穴が空いてしまった場合に補償される。

以上一般的な火災保険の補償内容を取り上げた。これら基本的な補償は各保険会社によって補償内容が異なってくるので加入前に確認が必要となる。

火災保険ではどういう時に補償される?

今まではなんとなく火災保険に入っていたかもしれないが、マイホームを購入したならしっかりと補償が受けられるプランに加入したい。しかし、だからと言って不必要な補償をつけて無駄な保険料は払いたくないと思うに違い無い。

そのためには火災保険でどのような時に補償されるのかを知っておく必要がある。火災保険はもちろん火災の時に補償が受けられるが、火災以外の補償が付いているものも多くある。どのような補償が付くのか細かいところは各保険会社によって若干違いはあるものの基本的なところは一緒だ。

まず、火災時の補償だが、自分の家が出火した時だけでなく、隣家から出火し燃え移ったり、消火のために放水した水や火が広がらないために家じゅうに水をまかれたりした場合にも補償の対象になる場合がある。民法には失火法というものがあり、故意や重大な過失がない場合は出火した家主に弁償する義務がないことになっている。

もし、出火原因が隣と家で自分の家がともに焼けてしまっても、出火原因の家が火災保険に加入しており、自分の家は火災保険に入っていなければ、出火原因の家は保険で補償されるが、自分の家はだれからも補償を受けることができない。

火災に対する補償が火災保険だが、それ以外の落雷やガスの破裂や爆発による破損も対象になる。台風による影響で瓦が飛んだり、大雪でカーポートが潰れてしまったりした場合も補償の対象となる。

マンションなど集合住宅に住んでいる場合や一戸建てでも2階にお風呂やキッチンなど水回りがある家は水漏れの補償も必要だと考えられる。
盗難の被害も補償の対象となる場合がある。

家財や現金が盗まれてしまった場合はもちろんのこと、盗まれたものは無かったとしても窓ガラスが割られていたような建物の被害が補償の対象となる。この場合保険金の請求には警察への届けが必要だ。

このように火災保険でも建物や家財も補償の対象になっており、火災だけではなく災害などの被害もカバーしているものが一般的だ。

火災保険のメリット

火災保険のメリットはいくつかあるが、何度も強調しているように、火災による損害だけでなく自然災害の損害も補償してもらえるところだ。最近では台風などの自然災害が多く発生しているので補償内容をよく確認しておくと良いだろう。

続いてのメリットは何度申請しても保険料の値上がりがないことだ。例えば自動車保険なら保険を使用すると等級が上がってしまい保険料が高くなってしまうが、火災保険には等級が存在しない。したがって何度申請をしても保険料が変わらないのはメリットでと言える。

最後に、さかのぼって申請が可能な点もメリットだ。過去3年までさかのぼって申請を行うことができる。もし修繕済みだったとしても、被害時の写真や証明書などで被害が証明できれば保険金を請求することが可能だ。

このような知識がなかった為に申請をしていなかった被害があるかもしれない。2年前の洪水の時に被害はなかったか。去年の大雪での被害はなかったか。じっくり考えると思い出す被害があるかもしれない。

火災保険のデメリット

何事にもメリット・デメリットがあり、この火災保険も同じでデメリットがある。デメリットで挙げられるのが、申請手続きが煩雑であることだ。被害状況を保険会社に伝える必要があるが、状況を説明するにも手の届きやすい場所ならまだしも屋根も部分などは被害状況を確認するにも高所作業をする必要があり危険が伴う。いつどの災害での被害なのかを特定し、まとめる必要もあり簡単とは言えない。

続いてのデメリットは申請して保険会社から認めてもらえない場合もあることだ。どのような状況でその被害が発生したかを説明しなければならないが、正確なところがあいまいでわからないまま申請すると、真偽を疑われることもある。報告は日時の間違いがなく被害状況を的確に報告する必要がある。

最後のデメリットは地震の被害には使えないことだ。注意したいのは地震が起こった後に火事になったようなパターンだ。地震は地震保険でしか対応されず、地震保険に加入していないと地震が原因で起きた火災には対応できなくなってしまう。

このように火災保険には補償できない部分もあり保険が出ないこともあれば、損害を受けているにもかかわらず、申請の煩わしさから使いたくても使えないというデメリットもある。

火災保険と地震保険の違いは?

地震は日本各地で頻発しておりどこに住んでいてもそのリスクは存在する。最近では2016年4月に発生した熊本地震や2016年10月に発生した鳥取中部地震などが記憶にある方も多いことだろう。地震保険の加入者数は大幅に増えているがそれでも、火災保険と同じほど誰もが知っているというほど地震保険は認知されていないようだ。

地震保険は地震・噴火・津波を原因としておこる損害を補償するものとなっている。火災保険ではこの地震・噴火・津波でおこった損害の補償ができない。これは、地震によって火災が発生しそれによる損害だったとしても対象とならない。また、火災保険は単独で加入できるのに対し地震保険は地震保険単独で加入することはできず、火災保険とセットで加入する必要がある。

保険対象物にも違いがあり、住居の建物である必要があり、事務所は自宅兼用でなければ対象にならない。補償範囲も火災保険範囲の30%〜50%となっており、最大の補償を受けても火災保険の50%ということになる。

さらに、火災保険では窓ガラスの破損で2万円の修理費用がかかれば2万円の補償を受けられるが、地震保険は全損・半損・一部損の3段階の設定しかなく、一部損としても認められなければ補償は受けられない。一部損として認められたとしても修理費用が完全に賄われるわけではない。

火災保険はどうやって選べばいい?

勧められるままに加入してしまうことが多い火災保険だが、そのまま契約すると必要のない補償範囲が含まれていたり、特約がつけられていたりして、無駄な保険料を払ってしまっているケースがある。火災保険は次の7ステップで選ぶことができる。

  1. 保険の対象を決める
  2. 建物の構造を確認
  3. 補償範囲を選ぶ
  4. 建物の保険金を決める
  5. 家財の補償額を決める
  6. 保険期間を決める
  7. 地震保険の加入有無を決める

火災保険に加入する際にはまず、保険の対象を決める。大きく分けると「建物」と「家財」だ。何が建物で何が家財なのか迷うときもあるだろう。基準は、建物に固定されていて動かせないものが「建物」、冷蔵庫や洗濯機などの家電、動かせるものが「家財」という判断で概ね間違いないだろう。

次に建物の構造によって保険料が変わってくる燃えやすい木造と鉄筋コンクリート造では被害の大きさが変わってくるからだ。
コンクリート造は「M構造」、鉄骨は「T構造」、木造は「H構造」と3つにわかれている。わからない場合はハウスメーカーに確認すると良いだろう。

次に補償範囲を選ぶことになる。補償範囲は下記の通りだ。

  • 火災
  • 落雷
  • 破裂・爆発(ガスなどによるもの)
  • 風災、雹災、雪災
  • 水災
  • 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突
  • 漏水などによる水濡れ
  • 集団行動に伴う暴力・破壊行為
  • 盗難
  • 予測不可能かつ突発的な事故
  • 地震、噴火、これによって発生した津波による損害(地震保険の加入が必要)

これらの中で不要な特約を省くことで保険料の節約ができる。

続いて損害が生じた時に払われる保険金を決めることになる。この金額は不動産メーカーによって定められた評価額によって保険会社が算出する。評価額が高いと保険料も高くなる。

さらに、家財の補償額を設定する。これは自分で評価額を決定するが、どのぐらいの金額に設定すればよいのかわからない場合その保険会社に問い合わせるのが良いだろう。

そしてその次は保険の加入期間を設定する。期間が長く一括で支払うと保険料を安くすることができる。

最後に地震保険に加入するかどうかを決める。上で述べたように地震が原因による火災には地震保険でなければ対象とならないので今の時代加入しておいたほうが安心だろう。

これらのステップでどれほどの保証にするのかを決めていくことになる。

火災保険の加入手続きとは?

火災保険を取り扱っているところはいくつかある。まずは保険の代理店だ。生保や損保を取り扱っている代理店で相談できる。新築の購入で一般的なのは銀行など金融機関で加入手続きをする。そして、賃貸物件で多いのが不動産会社で加入手続きをする。

特に賃貸物件では契約条件に火災保険に加入することを義務付けていることが多いため不動産会社で加入手続きをすることが多いだろう。いずれの場合も言われたまま契約するのではなく保証内容を確認し省けるところがないか不要なものが盛り込まれていないかを見る必要がある。

最近ではインターネットでも申し込みが行えるものがあるが、住宅の評価額などは素人ではわかりにくいため自動車保険と違って少しハードルが高いものとなっている。

税額控除される条件と控除額

以前は年末調整や確定申告の際に損害保険料の控除というものがあったが、現在は廃止されている。平成18年の所得税法等の改正により、火災保険料が含まれている「損害保険料控除」という制度が廃止されて、新たに「地震保険料控除」という制度が設けられた。ただし、平成18年12月31日までに契約した長期保険契約については下記の要件を満たせば控除の対象となっている。

  • 平成18年12月31日までの契約である
  • 平成19年1月1日以降、保険料に変動がない
  • 保険期間が、10年以上ある
  • 保険期間満了後に、満期返戻金が発生する

経過措置の対象となる保険は、損害保険と火災保険に限っているので注意が必要だろう。

火災保険は、火災や地震以外の自然災害によって建物や家財に損害が生じた場合に補償がされる保険だ。もらい火で自宅が火事になったとしても自分が火災保険に加入していなければ補償を受けることができないので加入しておく必要があるだろう。

火災保険は代理店の窓口や不動産会社で契約する時によくわからないまま話が進められ契約してしまっていることがあるので、どの範囲保証されるのか日頃から確認しておくことが大切だ。