シティバンクがオーストラリアでキャッシュレス化に踏みだすことを発表した。過去1年間の現金利用が4%にも満たなかったことを理由に、11月24日以降は一部の支店での現金取り扱いが廃止となる。

豪のキャッシュレス化は数々のデータからも確認されており、財務省からも「キャッシュレス化による豪経済への貢献」をテーマにしたレポートなどが発表されている。そのため今後より大規模なデジタル改革が予想されていると同時に、支店の役割が顧客の需要に合わせて変化を見せ始めている。

富裕層専門からデジタルバンキングまで 需要に合わせ支店業務を特化

シティバンク・リテールバンク部門の責任者、ジャニーン・カペリン氏は、今回の動きが「豪顧客の需要に応えたデジタル化」であると強調。顧客の関心とともに進化していくシティバンクの意向を明らかにした。

多くのライバル銀行がコスト削減を狙った支店閉鎖に走る中、シティバンクはあくまでキャッシュレスへの移行を実施するのみで、支店閉鎖は予定されていない。またオーストラリア郵便公社や、ナショナルオーストラリア銀行を通しての現金預けいれは継続予定だ。
11月にはいり、金融犯罪防止策と称したインドでの高額紙幣廃止が世間を騒がせたが、スイスUBSのアナリストも、オーストラリアでの100ドル(約1万1000円)紙幣の発行数が5ドル(約553円)紙幣の3倍に達していることを指摘し、「高額紙幣の廃止は豪経済にプラス効果をもたらす可能性が高い」との見解を示している。

ここで注目すべきは、シティが支店を維持する理由に「富裕層顧客と接するうえで重要な空間」であることを挙げている点だ。加速する大手銀行の人員削減、支店閉鎖を目の当たりにし、「いずれ支店は富裕層の特権となるのではないか」との見方が少し前からでていたが、そうした一般消費者と富裕層の切りわけの意図があることは否定できない。

一方、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は若干異なるアプローチをとり、通常の一般業務ではなく、住宅ローンやデジタルバンキング専門の支店を開設させている。こうした例が示すように、キャッシュレス化を通じて、支店のあり方自体が大きく変化を遂げる時代に突入しているようだ。( FinTech online編集部

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