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(写真=PIXTA)

不動産投資に欠かせない利回りの計算だが、利回りにも「表面利回り」と「実質利回り」があり、この違いを把握しなければ不動産投資の成功はない。

表面利回りとは「粗利」のこと

この表面利回り(グロス利回り)とは一言でいえば「粗利」だ。計算式とすれば「表面利回り=年間収入÷物件価格×100」となる。具体的にいえば1億円の投資物件で家賃収入が年間1000万円だったとすればこれは表面利回り10%の物件となります。

不動産投資のパンフレットやセールスが最初に案内するのはまず、この表面利回りだと考えるといい。銀行預金などほとんどゼロに近い現在、この利回りだけみれば不動産投資家にとっては魅力ある投資と考えられるだろう。

しかし、ご存じの通り不動産には税や維持費などが発生する。表面利回りにはこれらランニングコストは含まれておらず、しかも満室状態での利回りであることは要注意だ。

このため、表面利回り20%といっても空室率が50%ならこの利回りも半分となる。普通預金の金利よりは良いという考え方もあるだろう。しかし銀行預金には諸経費はかからないが不動産には購入時の諸経費・維持するための諸経費が発生する。家賃収入がこの経費や銀行ローンの返済ですべて終わっては、投資する意味がなくなってしまう。不動産投資をするなら、この表面利回りだけで物件購入を検討することには無理があるのだ。

実質利回りは経費を引いたもの

諸経費を考慮にいれたものが「実質利回り」だ。「ネット利回り」とも呼ばれている。表面利回りが購入金額と家賃収入のみの粗利なら、この実質利回りは購入時や年間の諸経費も加味した利回りと考えるといいだろう。

具体的な計算式とすれば次のようになる。「実質利回り=(年間収入−諸経費)÷(物件価格+諸経費)×100」。先に一例とした1億円の物件で年間1000万の家賃収入があるなら購入時の諸経費が200万で年間の維持諸経費が200万だったとする。

(1千万−200万)÷(1億円+200万)×100

実質利回りは7.8%となるわけだ。先に上げた表面利回りより2.2ポイントも下がりかなり大きい差異だ。不動産投資ではこの表面利回りより実質利回りが重要なのだ。

しかもこの実質利回りは毎年変化する。なぜなら、建物が劣化すると修繕費は上がっても下がることがなく、空室になればまた変化するからだ。本当の手取りはこの実質利回りよりさらに下がることが予想されるのだ。

実質利回りにおける諸経費とは

実質利回りの諸経費は、不動産購入時の諸経費と年間維持諸経費とに大きく二つに分かれる。

物件購入時の諸経費としては、不動産取得税・登記印紙代・司法書士手数料・仲介手数料などが上げられる。また維持にかかる諸経費としては、固定資産税・都市計画税・共有部分の電気料・保守・修繕費・保証会社契約料・建物全体の火災保険料・税理士報酬などだ。これらは毎年など定期的に発生する経費だ。

またアパートやマンション経営では空室になる場合もあるだろう。 諸経費には入らないが空室にて家賃収入の下落、また不動産投資の市況の変化により家賃の切り下げを余儀なくされることもある。

そのような事態でもやはり実質利回りは下がってしまうのだ。

不動産投資を成功させる利回りの考え方

実質利回りは表面利回りよりは実質に近い数字が出るといってもあくまで目安としてとらえるべきだろう。

よく広告などで利回り15%といっても実質利回りはずっと下がりますし、場合によっては半分以下になるケースもある。

これは、建物によって大きく維持費が異なってくるからで、一般的には表面利回りすら10%にならない物件には買い手がつきにくいことが多いといわれる。

都市部のマンションで空室が少なく立地条件が良い場所なら7%〜8%ということも結構あるが、この利回りは物件の環境でも大きく変わる。ちなみに地方のアパートやマンションでは12%〜15%での投資物件が多く見られる。

利回りは見込みであるが、不動産投資においては実質利回りをメインとして資金回収や銀行融資のシュミレーシするのが一般的だ。

銀行のシミュレーションはこの辺をよく分かっており、実質利回りに空室率も加味して計算される。自分の資産として長く運用し、安定的な収益を上げるためには、実質利回りよりもっとシビアに計算したほうがいいだろう。(ZUU online 編集部)