年末調整,生命保険料控除
(写真=Thinkstock/Getty Images)

年末調整では所得控除について申告を行うことで源泉徴収税の調整がなされるが、正しく申告しなければ当然控除の適用を受けることはできない。今回は年末調整で申告することのできる所得控除のひとつである、生命保険料控除について解説する。新たに生命保険に加入した人だけでなく、すでに控除を利用しているという人も適用範囲などを今一度確認することで、最大限控除を活用してほしい。


生命保険料控除とは

生命保険料控除は名前通り生命保険契約について支払った保険料を控除されるものだが、対象となる保険契約には3つの種類がある。

一般生命保険料控除

一般的な生命保険契約に支払われた保険料。民間生命保険会社による生命保険や、農業協同組合や全労済などによる共済もこれに当たる。

介護医療保険料控除

医療費に対して保険金が支払われる契約、疾病や身体の障害等に対して保険金が支払われる契約など、いわゆる医療保険や介護保険に支払われた保険料。

個人年金保険料控除

一般的な生命保険のうち、退職年金を除く年金給付が契約内容として付帯されている保険に支払われた保険料。

このうち、一般生命保険料控除と介護医療保険料控除については、保険金受取人が契約者本人か配偶者、またはその他の親族でなければならない。また一般生命保険料や介護医療保険料に該当する契約であっても保険期間が5年未満の契約、一般に貯蓄保険や貯蓄共済と呼ばれるものは含まれない。

また個人年金保険料控除については、保険金受取人が契約者本人か配偶者でなければならない。加えて保険期間は10年以上、あるいは終身期間であることとされている。

3種類の生命保険料控除はいずれも要件が細かく定められており、国税庁ホームページ等を参照しても対象であるか否かの判別はやや難しい。不安がある場合は契約前に保険会社や組織に確認するか、すでに契約している保険については送付される証明書によって確認することができる。

生命保険料控除の旧制度と新制度

生命保険料控除が複雑化している一因として、旧制度と新制度の差異が挙げられる。生命保険料控除は平成22年に改正され、平成23年12月31日以前に締結された契約(旧制度)と平成24年1月1日以降に締結された契約(新制度)とで扱いが異なるのだ。また、旧制度の対象となっていた生命保険契約であっても、新制度設立以後、契約内容に変更(特約の中途付加など)があった場合は新制度の対象として扱われる。

特に介護医療保険料控除については新制度から新設されたもので、旧制度では一般生命保険料控除の一部として扱われていた。この分類は、主に生命保険料控除の控除額を定める上で大きく影響を及ぼす。

生命保険料控除の計算方法

生命保険料控除の控除額は、新制度のみ、旧制度のみ、新制度+旧制度、の3パターンに分かれる。まずは先述した証明書で、自身が契約している生命保険がいずれの制度の対象となっているものかを確認しよう。続いて、それらの年間払込保険料を新・旧制度ごとに合算する。これを、以下の表に当てはめることで生命保険料控除額が算出できる。

(1)新制度における生命保険料控除額

年間の支払保険料等 控除額
20000円以下 支払保険料等の全額
20000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10000円
40000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20000円
80000円超 一律40000円

(2)旧制度における生命保険料控除額

年間の支払保険料等 控除額
25000円以下 支払保険料等の全額
25000円超 50000円以下 支払保険料等×1/2+12500円
50000円超 100000円以下 支払保険料等×1/4+25000円
100000円超 一律50000円

(3)新・旧両制度加入時における生命保険料控除額

適用する生命保険料控除 控除額
新契約のみ生命保険料控除を適用 (1)に基づき算定した控除額
旧契約のみ生命保険料控除を適用 (2)に基づき算定した控除額
新契約と旧契約の双方について 生命保険料控除を適用 (1)に基づき算定した新契約の控除額と(2)に基づき算定した旧契約の控除額の合計額(最高4万円)

なお、保険会社によってはホームページ上で控除額計算をサポートするサービスを行っているため、これらを利用しても良いだろう。

年末調整時の生命保険料控除の申告方法・書類

生命保険料控除の申告には、各社から送付される「生命保険料控除証明書」が必要だ。これを、年末調整時に「給与所得者の保険料控除等申告書」に添付し提出する。この手続きは、適用を受ける控除が新・旧制度いずれであっても変わりない。

生命保険料控除を上手に使うには

生命保険料控除を最大限活用するためには、まず先に説明した3パターンの控除額を理解する必要があるだろう。また、生命保険料控除が適用されるのは自身が加入しているものばかりではないということも覚えておいてほしい。生命保険料控除では要件において受取人の制限をしているものの、契約者が誰であるかは触れていないのだ。つまり要件を満たした保険契約について納税者が保険料を支払っている限り、生命保険料控除の対象となるのである。年末調整において申告する際にはこの辺りを忘れずに、ぜひ保険料控除を有効に活用していただきたい。

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