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(写真=PIXTA)

低金利時代の昨今、投資方法のひとつとして、マンション投資が脚光を浴びている。マンション投資は、一棟丸ごとを購入する一棟マンション投資と、一部屋ずつ購入する区分所有マンション投資の2つに大きく分けられる。どちらが自分にあっているのか、一棟マンション投資のメリット、デメリットを区分所有マンション投資と比較して検討してみよう。

一棟マンション投資のメリット

一棟マンション投資の最大のメリットは、建物に加えて土地も投資の対象となることだ。区分所有マンション投資では、土地の所有権も部屋の面積に応じた共有持分となることが一般的であるため、評価の対象としては非常に小さくなる。

一棟マンション投資では、マンション敷地の全体が資産となる。土地は、建物と比較して資産価値の減少が限定的で担保価値がある。そのため、金融機関からの融資が受けやすく、自己資金が少なくても高額の投資が可能になる。また、老朽化した際の大規模な修繕や改築、建物を壊して更地化し、新築したり、または転売したりするなど、将来的な運用の選択肢が増えることも重要なメリットだ。

また、一棟購入のため、まとまった数の部屋数となる。そのため、収入がなくなるまでの空室リスクを抑え、安定的な収益を見込むことができる。ほかには、区分所有マンション投資に比べて、賃料収入など規模を大きくすることで、得られる利益が増えるスケールメリット期待できる。そのうえ、5棟以上もしくは10室以上の賃貸収入は、事業所得と認められる可能性もある。

ほかにも、賃料や管理費の改定、修繕の時期などを、自分の裁量で決定できるため、運用次第で投資物件の収益を向上させることが可能だ。区分所有マンション投資の場合は、管理費・積立金などの毎月の支出が大きく、マンションの収益性の高さを表した表面利回りに比べて経費なども考慮した実質利回りが低くなりやすい。

一棟マンション投資のデメリット

最大のデメリットは、投資金額が大きくなることである。区分所有マンション投資が、一般的に数百万円からの投資金額ができることに比べて、一棟マンション投資の場合は、数千万円から数億円規模の投資金額が必要になる。金融機関からの融資が必要となるケースがほとんどで、金利や月々の返済額がキャッシュフローに与える影響も大きい。

投資金額が大きいため、家賃の下落や空室率の上昇が収支に与える影響も、区分所有マンションと比較して大きくなりやすい。これらを含めて、投資が失敗したときの影響も大きいことが、区分所有マンションに比べて大きなリスクとなる。

加えて、マンションの管理やメンテナンスの負荷が、一棟マンション投資の場合、所有者にかかってくることも区分所有マンションにはないデメリットだ。大規模修繕から日常のマンションの清掃、入居者や近隣住民からの苦情の管理まで、対応・メンテナンスしていくことは、意外に手間暇がかかる。

そのほかに、区分所有マンションに比べると、流動性が低い資産だということもデメリットである。区分所有マンションは、居住用として自分で使うこともできるためインターネットや紙媒体での公開物件も多く、市場は比較的オープンだ。また、区分所有マンションの中古売買の市場は成熟しているため、一棟マンションに比べると換金性が高く、一棟マンションよりも流動性が高い資産であるといえる。

一棟マンションのデメリットを意識したリスク管理を

一棟マンション投資のデメリットは、大きく分けて以下の3つである。
1. 投資金額が大きい
2. 管理が大変
3. 流動性が低い

以上のデメリットに対して、投資金額に応じた事業計画を立てることが、リスク管理に必要な第一歩である。立地条件を吟味し、賃借人のターゲットに見合った物件の間取りや、設備の投資対象物件を選び、家賃設定と空き室対応策をしっかり立てる。マンション管理や、修繕策の計画を立て、収益管理を徹底していくことが重要だ。

そのためには、自分ひとりで考えるのではなく、投資物件の選定のときから、不動産会社などに相談を重ねて、プロの力を借り、信頼できるパートナーを見つけることが重要であろう。(提供: みんなの投資online

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