今年9月、調達額74億ドル(約8366億4400万円)の大型IPOとして香港証券取引所に上場した中国郵政儲蓄銀行(PSBC)が、海外進出を視野に国外投資家の誘致に関心を示していると、国際銀行専門誌「バンカー」が報じた。

現時点では具体的な詳細は語られていないものの、株主を多様化させることでコーポレートガバナンスと管理の向上を図ると同時に、海外支社の開設なども検討しているという。

今年最大の香港証券取引所IPO 将来的には海外支店開設も?

2007年に中国郵政の郵政貯金部門を独立させるかたちで設立されたPSBC。現在は顧客数が中国の人口の約3分の1に値する5億人という、アジアきってのメガバンクに成長を遂げた。

PSBCの上場は、香港証券取引所では2014年に250億ドル(約2兆8265億円)で上場したアリババに次いで、今年最大規模のIPOとなった。本土における融資市場の拡大にともない、中華民国中央銀行と金融監督管理委員会からの要請を受けての上場だった。

昨年までは中国郵政が全株を所有していたが、現在は海外の銀行を含むごく少数の企業系投資家(上港国際、国家電網、中国船舶など)も株主となっている。PSBCはこの間口をさらに広げ海外投資家を呼びこむことで、海外進出への糸口を模索している。

PSBCの頭取、リュウ・ジアジン氏は、香港でのIPOがより多くの海外投資家の関心を得る機会になるとコメント。中国政府が推進している「一帯一路(習近平中国最高指導者による経済圏構想)」や「国際事業展開」の流れをくみ、香港証券取引所では自国の企業と機関に香港における資金調達を誘致している。

上場初日9月14日のの初値は4.76香港ドル(約69円)、終値は4.77香港ドル(約70円)。20日の公募締めきり以来株価の上昇は見られず、大型IPOに期待を膨らませていた一部のアナリストからは失望の声があがっているようだ。

また「中国の銀行は国内投資家に依存しすぎている」との懸念も高まっている。国内の銀行システムの不良債権問題が、世界経済にもたらすリスクも軽視できない。

ジアジン氏は、PSBCが事業内容や規模の大きさでほかの高リスク銀行と比較にならず、株式市場が外部の影響に脆弱であると反論。これらの懸念がPSBCにとっては不安要素となり得ないとの見解を示している。PSBCは4万軒を超える支店で預金の受けいれ業務を行っており、主に債券投資に充てている。そのため不良債権リスクは昨年末で0.22%と、低めに抑えられている。(ZUU online 編集部)

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