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(写真=PIXTA)

歯周病というと、歯みがきをあまりしていない少数の人だけがかかる病気だと思っていませんか。厚生労働省が2014年10月に行なった調査によると、歯肉炎をはじめとする歯周病で継続的な治療を受けている人の数は約331万5,000人で、2013年度より65万人も増えているのだそうです。

歯周病は、国民病ともいえる勢いで増え続けています。痛みや出血を伴わない場合もあるため、知らないうちにかかっている可能性もゼロではありません。都内で歯科技工士として働くIさんに、予兆や正しい予防法を教えてもらいました。

「口のネバネバ」は初期歯周病の危険サイン!

歯周病とは、歯茎などが口内の細菌に感染することで起こるさまざまなトラブルのことです。進行すると痛みや出血などの症状があらわれますが、初期の段階でははっきりした自覚症状がないことがほとんどです。そのため、気づいたときには歯が抜ける一歩手前で、すでに手遅れ……というケースもあるそうです。

こうした深刻な事態に陥らないためには、小さな予兆に敏感になり、初期の段階で対処を始めるのが一番。最初のチェックポイントは「口の中のネバネバ」です。

ネバネバの正体は、虫歯の原因となる歯垢(プラーク)です。歯周病の“第1段階”ともいわれています。食事をした後に食べかすがたまったままでいると、口の中にすんでいる細菌がこれを栄養分として、ネバネバした歯垢をつくりだしてしまいます。

ネバネバの歯垢は想像以上に頑固で、一度張り付くと、うがいをしたくらいでは落ちません。そうして長時間口内にとどまり続けるうちに歯肉に感染し、炎症を引き起こすことになるのです。

冷たいものが歯にしみたら、歯周病が進行している証拠

ネバネバの段階を見過ごすと、次に炎症の症状があらわれはじめます。歯茎がムズムズしたり、歯みがきのときに出血がみられたりするようになると、歯周病の“第2段階”に差しかかってしまったサインです。

これらの症状は細菌が歯茎に感染して毒素を出し続けている証拠です。放っておけば歯茎が退化して歯と歯のすき間が広がり、さらに食べかすがつまりやすくなります。写真などを見て「なんだか歯の面積が増えたような気がするな」と感じたら、すでにこの“第3段階”に移行している可能性があります。

冷たいものを食べたときに歯がしみる「知覚過敏」も、歯茎の退化が原因です。歯茎で隠れている部分の歯はエナメル質で覆われていないので、刺激がダイレクトに神経に伝わってしまうのです。

こうして進行した歯周病は、最終的には歯を支えている骨(歯槽骨)にまで及ぶことになります。こうなるともう小手先の対処では効果がなく、歯を抜かなければいけなくなってしまいます。

「食後の爪楊枝」はNGケアの代表

歯周病を防ぐには、何よりも原因となる細菌を発生させないことです。そのためには、食後すぐにしっかりと歯みがきをすることが一番ですが、歯ブラシでみがくだけでは十分とは言えません。歯ブラシでは、歯と歯の間につまった食べかすまでは完全に落とせないことが多いからです。歯みがきのときには、デンタルフロスなどを併用するようにしましょう。

「歯と歯の間の汚れなら爪楊枝で取っているから大丈夫」という人もいるかもしれませんが、厳密にはNGです。爪楊枝はあくまでも目立つ食べかすを取るためのものであって、歯垢を完全に落としきることはできません。さらに、使いすぎると歯茎を傷つけてしまうこともあります。

「デンタルフロスを使うのは面倒……」という人は、歯間用に先が細く硬めの歯ブラシを用意するのがオススメです。通常のブラッシングの後にこの歯ブラシを縦に持って、歯と歯の間を重点的にみがくようにしましょう。

「歯ブラシもデンタルフロスも使っているけど、歯のザラつきが取れない」という人は、もしかしたら歯垢が固まって歯石(しせき)になっているかもしれません。歯垢は十分に取らずにいると、2日ほどで唾液中のミネラルと結合して歯石になってしまいます。

歯石になると歯みがきでは落とすことができないので、歯医者さんに行って形成器と呼ばれる器具で削り取る必要があります。気になる人は半年に1度は受診して歯石チェックをするとよいでしょう。

歯周病は、日ごろの予防と早めの対処が大切です。遺伝や家族内感染の可能性もあり、さらには、症状が悪化すれば全身の神経に影響を及ぼすこともあるなど、決して軽視できない病気です。正しい知識を身につけ、健康な口内環境を保ちましょう。(提供: ヘルスグリッドオンライン

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