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(写真=PIXTA)

不動産投資と聞くと多額の投資資金が必要で、ハードルが高いイメージがあるかもしれない。そこで、投資金額を抑える不動産投資の方法として、小口化投資をご紹介したい。どのような仕組みで不動産の小口化投資が行われているか、そのメリットとデメリットについて整理する。

不動産の小口化投資とはどのようなものか

不動産の投資には多額の資金が必要となるが、ひとつの物件を購入する資金を細かく分けることにより、複数の投資家から資金を集めることが可能となる。

この不動産小口化商品は1987年に登場した商品だ。どんなものかを10億円のレジデンシャル(マンション、戸建てなど住宅)を例に説明しよう。通常であれば10億円の資金を現金、もしくはローンを組むことで用意する必要がある。だが、1,000口に小口化することで、1口100万円から投資家は出資することができる。

不動産の小口化投資には、大きく分けて「匿名組合型」「任意組合型」「賃貸借型」という3種類がある。

「匿名組合型」は、購入資金の一部または全部を匿名組合契約に基づき投資家が出資するもので、組合員同士が契約関係にないため匿名性が保たれており、「匿名組合型」と呼ばれている。事業者が物件を運用し、投資家はそこから生まれた収益の分配を受けるため、この形態で受け取る収益は、雑所得とみなされる。

次に「任意組合型」だが、こちらは一般的にイメージされる不動産投資に近い。投資家は共有持分(金額に応じた不動産の持分)を購入し、購入した現物の不動産を組合に出資する。組合を運営する事業者が、投資家から出資された不動産の管理と運用を担当し、そこから生まれた収益を投資家に分配する。不動産を購入しているため、登記簿には投資家自身の名前が記載される場合が多い。

最後の「賃貸借型」は、共有持分を持つ投資家が事業者に賃貸運営を委任するものだ。複数の投資家が共同で購入した不動産を事業者に賃貸し、投資家は持分に応じた賃料を受け取る。

小口化投資におけるメリット・デメリット

小口化は、個人で投資するのが難しい大型の不動産に、少額から投資できるというメリットをもたらした。これは都心の一等地に所在する、規模が大きくグレードの高い物件への投資も可能になるということだ。また、投資家は賃貸運営に手間を掛ける必要がないというメリットもある。少額で投資できるため、立地条件などが異なる複数の物件に分散投資をすることができるのもメリットだ。

また、任意組合契約による小口化投資であれば、相続税や贈与税での節税のメリットがある。相続が発生した場合、現金は額面が評価額になるが、土地であれば路線価方式または倍率方式で求めた評価額、家屋であれば固定資産税評価額が税額計算の前提となる。これらの評価額は、一般的に時価と比較して低額になるため、相続対策として不動産投資をすることが広く行われている。たとえば土地の路線価は地価公示価格の70〜80%程度といわれている。

一方、小口化投資のデメリットとして、流動性の低さや、小口というにはやや高額で、数百万円程度からの投資商品が主流なことが挙げられる。そのほかにも、商品数が限られていることや、投資をしたい不動産物件が小口化投資商品となっているとは限らないことも、デメリットだろう。現物不動産投資であれば、所有者が売却に応じてくれるかは別として、投資対象の選択肢は多い。

小口化投資を利用して不動産に投資しよう

小口化されているとはいうものの、特定の不動産の収益が、出資をした投資家に分配される仕組みから考えると、不動産投資をより身近にしてしてくれる仕組みといえる。小口化投資でも、どのような物件をどのような事業者が管理運営を行うのか、ということは非常に大切なチェックポイントだ。上記のメリット、デメリットも併せて検討のうえ、あなたの投資計画に役立てて頂きたい。(提供: みんなの投資online

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