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(写真=PIXTA)

中国・山西省で、交通費、宿泊費オール主催者負担という国境外賭博犯罪組織が摘発された。顧客は掛け金以外、一切費用は不要である。かつて韓国・ソウルのウォーカーヒルカジノが、日本人上得意客を無料招待していたのを思い起こさせる。今回の主役は山西省・晋城の「跨境網絡特大賭博団」である。彼らは一体何をしていたのだろうか。

中国人は賭博好き

その前にまず前提として、中国人は貧しさから抜け出すための博打をいとわない。それは何千年にわたって刷り込まれた強固なDNAだ。厳しい現実に対処できないときでも、西欧のような絶対信仰や、インドのような瞑想には決して向かわず、常に現実の中でもがき続けていた。

現代においても頼りは一族だけで、他の助けが欲しいときは「風水」をあてにする。その結果、風水師は大いに栄えている。風水師のいう通りに工場をレイアウトした経営者もいた。さらに共産党中枢にも影響を与えているとされている。

また中国には日本のような、競馬、競輪、オート、競艇のような公営ギャンブルはない。射幸心を満足させるには、闇賭博以外には海外へ行くしかない。無料招待なら希望者はいくらでもいるだろう。博打への情熱は充満し、市場は十分すぎるほど広い。

賭博団の実態

この賭博団は、連日100人以上の山西省人を海外賭博に送り出していた。判明している賭博資金は5億元(約80億円)、暴利をむさぼっていた。この犯罪団は殺人もいとわない。主要メンバー94名が逮捕され、捜査中は400余名に上る。警察はミャンマーから8人の被拘束賭博客を救出するのに成功した。

その他不法拘禁案件は41件、賭博案件47件、賭博不法開帳18件、組織的不法越境(国境)案件89件、組織的不法入境(国境)案件84件などキリがない。

2013年10月には山西省晋城市で殺人事件が発生した。原因は賭博による債務の未払いで、まさにギャング映画の世界である。同市内の組織は「特大」であった。2007年からネット賭博サイトを開設、参加人員を“不断”に発展させていた。

やがて国内賭博の元締めでは飽き足らず、「境外旅行団」を送り出す。交通費、食費、滞在費は一切無料、目的はただひたすらに賭博をさせることである。負けた客には融資サービスもあった。

ラオスの黄金三角地帯にある「金木綿賭場」には200人の客を不法出国させていた。ここでは資金の無くした客に対する暴力や不法拘禁が日常的に行われていた。この世の地獄である。

警察“勝利”確定後の報道

2015年12月、中国ーミャンマー国境付近で、犯罪団の頭目の1人、陳某が逮捕された。アジトが判明し、組織の数名を逮捕、不法拘禁されていた賭博客1人を解放した。これをきっかけとして、ミャンマー、ラオスの賭場や山西省の本拠に捜査の手が伸び、組織を追い詰めていった。山西省では5日間にわたる大捕り物が繰り広げられたという。

犯罪団の運営手法が明らかになり、とくに負債を作った若い賭博客に対しては、拘禁、暴力が日常的に加えられていた。例えば晋城市の男子、李某は10万元の負けを払えず、連日暴力を受けたのち“迫害死”した。

今回の事例は今年の前半に決着は付いていた。それを今になって改めて報道しているのは少し奇異に感じる。警察方の勝利が確定し、批判のスキも与えないようになったためだろう。一般市民にはリアルタイムでの警察発表はない。

一方的に“お上”の言うことを信じるしかないのだ。こうした状況を改める気は恐らくないのだろう。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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