不動産投資,不動産投資とは
(写真=Thinkstock/GettyImages)

2016年10月31日から11月1日の日銀金融政策決定会合では、マイナス金利の継続が発表された。国債や定期預金など、元本が保証されている金融商品の金利は小数点以下となる時代が、今後しばらく続く見込みである。

一方で、11月8日のアメリカ大統領選挙の最中で、日経平均が1000円以上の幅、為替相場でドルが5円以上の幅で乱高下を繰り返したことは記憶に新しい。FXや株式市場など、チャンスの大きい投資は、リスクもまた大きいことを目の当たりにして、そのような市場に投資をすることを改めて思いとどまる人も多いであろう。

そんな環境下で、「ミドルリスク・ミドルリターンの投資」として、「サラリーマンの副業」として、「将来の個人年金の代わり」として、「節税対策」として、など様々な理由から、不動産投資を選択している人々が増加している。そこで、初めて不動産投資について興味を持った初心者にもわかるように、不動産投資とは何かを簡単にご説明しよう。



不動産投資とは

不動産投資とは、そもそもどんなものであろうか。言葉の定義としては、「土地や建物など不動産といわれるものを、将来の利益を期待して購入すること」が不動産投資といわれている。

投資における将来の期待利益には、キャピタルゲインとインカムゲインの2種類がある。キャピタルゲインとは購入時と売却時の価格差による利益を意味し、不動産投資においては、土地や建物の評価があがることによる評価益・売却益を指すことが多い。

インカムゲインとは、利子や配当のように、その商品を保有することによる定期的な現金収入を意味し、不動産投資では賃貸料収入を指すのが通常である。

不動産投資と一口にいっても、大きく以下の3種類に区分される。まず、現物を売買し、売却益(キャピタルゲイン)を得ることを主な目的とするもの。専門の不動産会社や開発業者が事業として付加価値を創出して行うことが多い。

そして、 現物を購入し、賃貸料収入(インカムゲイン)を得ることを主な目的とする、一般に不動産投資といわれるもの。アパート・マンション投資ともいわれる。1部屋のマンションごとに投資する区分所有マンション投資と、マンションやアパートを1棟まるごと購入する1棟マンション投資に、細分化されて語られることも多い。

最後に、小口化した権利(投資証券)を購入し、インカムゲインとしての分配金や、キャピタルゲインとしての売却益を期待する不動産投資信託。日本の場合はJ-REIT(ジェイ・リート)といわれており、証券市場に上場されている。

不動産投資でどのくらい儲かるのか、利回りは?

不動産投資では、いったいどのくらい儲かるのか。これを簡単に表す目安となるのが「利回り」だ。投資額に対して収益がどのくらいの割合かを示す指標で、大きく分けて「表面利回り」と「実質利回り」の2通りがある。

「表面利回り」は年間の家賃収入の総額を、物件価額で割り戻した指標で、%で表す。家賃収入には賃貸料の他に、共益費や駐車場料金等、貸主がいったん徴収する金額全てを含んで計算するのが通例である。その計算式を表すと、(表面利回り)=(年間収入)÷(物件価額)となる。

「実質利回り」は、年間収支を購入費用総額で割り戻した指標だ。不動産を保有するためには、固定資産税や不動産取得税、管理費や修繕費用、融資に対する金利など様々なコストがかかる。

不動産取得の際にも、不動産会社への仲介手数料や、登録免許税、登記のための司法書士への報酬など物件価額以外にも費用が発生する。そうしたコストを算入して、手取りとしていくら手元に残るのかを試算するのが、実質利回りである。その計算式を表すと、(実質利回り)=(年間収入-年間経費)÷(物件価額+購入経費)となる。

不動産広告などに使用されるのは、その多くが「表面利回り」だ。さらに利回り計算の前提となる「年間収入」も、売買時の実際の収入ではなく、その物件が満室時の予想収入を使用することが多い。

これを「満室時想定利回り」という。物件ごとに異なる税金や経費、運営・管理によって変動してしまう入居率などを考慮しないため、単純に計算でき、他の物件との比較がしやすい、という理由で広く使用されている。

投資用物件は、不動産の取引相場や近隣動向を考慮しながら、想定利回りが購入希望者の興味を引くレベルで物件価額が設定されている。最近の販売資料をみると、想定利回りが10%以上のものはほとんどみられず、8%前後の物件が主流だ。経費を差し引いた実質利回りが5~6%でも、他の金融商品と比べれば、十分優位性が保てるという計算が売主側にあるからともいえる。

但し、新築物件は、土地の取得コストや建設コストに販売マージンが乗せられた積み上げベースで基本的に価格が設定されている。そのため、中古物件よりも利回りは低めであることが多い。

東京都に関しては、恒常的に賃貸需要が高く、土地の値下がりリスクも少ないため、地方都市に比べ、想定利回りは低めに設定されている場合が多い。インカムゲインへの期待が低くてもキャピタルゲインが期待でき、流動性も高いことが投資家に評価されている、といえるであろう。

不動産投資のリスクはどれくらい?

不動産投資は、あくまで将来の利益を期待するものであって、その利益や元本は保証されているものではない。不動産投資が持つリスクは大きく分けて、以下の3つといえる。

1.不動産特有のリスク

一番のリスクはその金額の大きさだ。不動産投資は、区分所有マンション投資で数百万円から、1棟マンション投資ということになれば数千万円から数億円単位の投資になる。一般の人々にとっては、けして小さな金額ではないし、多くの場合は融資を利用することになる。

最大で損失額は融資金額を含む投資金額そのものまで膨らむ場合がある。株式やFXの信用取引のように、投資金額を大きく超えた損失を被ることはなく、融資の担保として投資した不動産を利用できることから、投資としては、ミドルリスクといわれている。しかし、損失が生じたときには、投資物件を売却したところで融資金額を全額返済できる保証はないのだ。

また、不動産は流動性が低いという特性があり、売却に時間がかかる。そのため、投資採算が悪いとか、急にお金が入り用になったときでも、現金化するには最低でも1ケ月、通常は3ケ月程度のタイムラグを覚悟しなければならない。なかなか売却ができないということも起こりうる。その間も損失は継続し、どんどん膨らんでいくということすら考えられるのだ。

2.インカムゲインの下落リスク

不動産投資のインカムゲインとは、先述した通り、賃貸料収入を主としている。しかし、賃貸料は空き室となった場合は、0となってしまう。1室だけの投資の場合、空き室となってしまえば、収入はなくても経費だけは発生するため、実質利回りはマイナスとなってしまう。

1棟マンション投資の場合でも空き室リスクの採算に与える影響は大きい。全6室の1棟マンション、5000万円の売買価額、1室の賃貸料が5万円/月の物件を例にして考えてみよう。

満室想定利回りは、(5万円×12ケ月×6室)÷5000万円=7.2%である。ちょっと低めだがまあまあの利回りだ。しかし、1室が空き室となると、6%と一気に1.2%も利回りが下がってしまう。

空き室リスクの他にも、賃貸料収入が下落する、延滞が起こる、思わぬ修繕費がかかる、など、インカムゲインが下落するリスクは大きい。

3.キャピタルゲイン下落リスク

キャピタルゲインの下落リスクとは、不動産の資産価値の下落リスクだ。5000万円の物件を購入し1年間で500万円の賃貸収入をあげていると、インカムゲインでは、年間10%の利回りといえる。

しかし1年間で物件の資産価値が下落して4500万円でしか販売できないということになると、キャピタルゲインという観点では500万円の損失となる。そして建物の資産価値は、多くの場合は経年によって評価されることになるのだ。

新築から20年以上経過した木造の建物は、金融機関の担保評価は、ほぼ0と考えて間違いない。また、火災や地震などで、建物そのもの、資産価値そのものが消滅してしまうリスクもある。

不動産投資 先人の失敗から学ぶ

不動産投資における先人の失敗というと、1990年代のバブル崩壊、2008年末のリーマンショックを思い浮かべる方は多いだろう。いずれも、大きな経済変動の中で、不動産の資産価値が急激に下落したことにより、様々な悲劇が生まれた時期である。不動産投資が全く安全な投資ではないことは歴史が証明している。

現在でも、多くの失敗例が存在する。利回りだけを重視して、地方の物件に投資した場合に起こりやすい失敗例をご紹介しよう。

地方の物件は、土地の評価が都心部よりも低いため、物件価格も安い。一方、1DK、1LDKなどの単身者向けの賃貸料は、都心部とさほど相違がない。そのため地方の投資物件の利回りは総じて都心部よりも高くなりやすい。しかし、都心部の利回りが低いのは、先述した通り、流動性が高い、資産価値の下落リスクが低いといった利回り以外のメリットが評価されてのことであることを忘れてはいけない。

たとえ現在満室であっても、それが、特定需要に支えられている場合、その要因が消失してしまう場合が、地方には起こりうる。具体的にいうと、大学やショッピングモール、工場などへの通勤や通学向けのマンションやアパートに、利回りが良いという理由だけで投資してしまうことが失敗の要因となるのだ。少子化・低採算などの理由で、それらの需要の源が、その地方から撤退してしまうと、賃貸需要が、急激に無くなってしまう。

そういう事態の場合、再び賃貸需要が伸びるということはまずあり得ない。逆に、そのような場合は、投資撤退を考えて売却しようとしても買い手がなかなかつかない、ということすら起きてしまうだろう。

こうした失敗を避けるためには、単に利回りの良さに釣られて投資を決定するのではなく、なぜその物件は利回りが良いのかを十分研究することが必要だ。また、投資からの撤退時には、売却が可能か、資産価値の減少はどこまで見込むべきか、などを前もって検討しておくことが重要であろう。

不動産投資にかかる経費はいくら?

不動産投資にかかる費用は、売買価格だけではない。対象の物件を購入するときにかかる費用や、不動産を所有し続けるためにかかる経費を忘れてはいけない。特に税金については売買代金ではなく固定資産税評価額が課税額のベースとなるものが多いため、注意が必要だ。

概ね、購入時点でかかる費用は売買代金の10%~15%、不動産の維持にかかる費用は、1~3%といわれている。表面利回りが7%でも実質利回りは4~6%以下に落ちてしまう、ということだ。

主な経費は以下の通りである。購入時点での一時費用としては、税金(印紙税、消費税・地方消費税、登録免許税、不動産取得税)や不動産会社への媒介手数料、 所有権移転登記についての司法書士への報酬、 火災保険料・地震保険料、修繕積立金等(共同住宅の場合)、固定資産税等の精算金といった物件取得のための費用のほか、税金(印紙税、登録免許税)や 金融機関の融資事務手数料、 保証会社の保証事務手数料・保証料、 抵当権設定登記についての司法書士への報酬といった融資にかかる費用、リフォーム・修繕費用のような雑費が想定される。

住宅取得後の費用としては、 税金(固定資産税、都市計画税、所得税)、 住宅ローンの返済金(金利、元金)、 団体生命保険料、維持管理費等、 減価償却費があげられる。融資の返済は、帳簿上は資産のうち負債が減るということなので、経費にはあたらず、利回りの計算には関係しない。しかし、キャッシュフロー上では返済金は大きなウエイトを占める。

現在の低金利でも、自己資金1割でローンを組むと、マンション投資の場合、表面利回り7%の利回りでは返済年15年程度だと、ローンの返済をするとキャッシュフロー上は、ほぼトントン、もしくは赤字となってしまう、という試算になるであろう。

不動産投資のためのローンの基本

デメリットやリスクを先に述べてきたので、なぜ不動産投資に、これほど人気があるのか疑問を持つ人も多いであろう。不動産投資の人気の理由、そのひとつは、自己資金が比較的少なくても、融資を利用することで大きな金額の投資ができる、ということがある。

不動産そのものに担保価値がある、毎月一定の賃貸収入が見込めるため、返済計画が立てやすい、現在は金利が低いため、金利負担が小さい、ということで、融資の利用がしやすいのだ。

FXや株式などの金融商品も、レバレッジを効かせて信用取引をすることが可能だが、投資金額以上の損失を被ることもある。不動産投資の場合は、不動産が担保となっていることから、売却によりある程度損失を賄うことが可能となるため、損失リスクは限定的、ともいえよう。

しかし、不動産投資用のローンは住宅ローンとは違い、金融機関にとっては事業用資金の融資とみなされる。住宅ローンよりは金利も高く、事業性や物件そのものの担保価値を厳しくみられることが多い。また、融資の額が大きければ大きいほど、返済金の負担も大きい。

無理な資金計画は、空き室がでた場合などで、ただちに返済が滞るリスクが高くなる。自己資金の3倍程度までの融資に留めた方が、融資も受けやすく、投資としてもリスクが少ないであろう。

不動産投資は減価償却が起きる

不動産投資のメリットのひとつは、不動産投資の場合、建物には減価償却費という経費が認められていることだ。建物は必ず経年劣化する、という概念から、税法上、建物の価値減少分を経費として計上することが認められている。これを減価償却費という。土地については、価値は減少しないという考え方から、減価償却費は認められていない。

減価償却費は、実際には出費がないので現金は減らないが、経費として計上できるので、帳簿上は利益が小さくなり、所得税は削減される。帳簿上は赤字でも実質黒字、ということがあり得るのだ。

減価償却費は、取得価額に耐用年数に応じた償却率を乗じて求められる。耐用年数は、鉄筋コンクリート造りは47年、木造は22年、重量鉄骨造りは34年などと建物の構造に応じて決められている。

不動産投資の節税の基本

不動産投資の節税メリットを語るときには、建物は減価償却が認められており、評価額が減少していく、という特性を理解しておくことが重要だ。最もメリットが大きく、わかりやすいのは、不動産投資は、相続税の節税対策となる、ということだ。

基礎控除など細かいルールはとりあえず考えないことにして、単純に現金で1億円を相続すると、1億円が相続税の対象となる、としてみよう。その1億円で、新築マンションを購入した場合、買ったその日から建物の評価は下落していく。

1年後には、市場では同じように1億円で売れるとしても、評価額は7000万円程度になる。その時点で相続が起こった場合には市場価格の1億円が相続税の対象ではなく、評価額の7000万円が相続税の対象となるのだ。

1億円以下の相続税率は30%なので、現金で相続すると3000万円の相続税額が、マンションで相続すると2100万円と900万円も節税できることになる。実際には基礎控除や相続人の数、金額ごとの税率の違いなどから、これほど単純な結果とはならないが、相続税対策としては有効な手段なのは疑いがない。

また、不動産所得は総合課税なので、キャッシュフロー上は収益がでていても、減価償却費の計上により損益が赤字となった場合、他の事業や収入による収益と合算することにより、所得税額を減らすことができる。確定申告をして還付を受けることが可能なのだ。

5棟もしくは10室以上の賃貸不動産を所有している場合は、所得税法上、事業所得とみなされ、専従者の給与を必要経費として算入したり、資産損失を計上して赤字を出したりするメリットも生まれる。

サラリーマンが不動産投資に向いている理由

サラリーマンになぜこれほど、不動産投資の人気が高いのであろうか。人気のポイントを5つあげてみよう。少ない自己資金で始められる、 融資にはサラリーマンが有利である、毎月安定的な収入が見込める、返済が終われば大きな資産を得ることができる、経費を計上できるので、税金の還付が期待できる、といった点だ。

不動産投資は、高額の物件を購入するため、融資が前提となることが多い。逆に、自己資金が少なくても、金融機関の融資さえ承認されれば、不動産投資は可能である。不動産投資の融資は、物件そのものの担保価値や、事業計画による収益性により判断されるが、融資先本人の属性も重要な要因となる。

安定した収入と本業を持つサラリーマンや公務員は、金融機関の信用度が高く、自営業よりも融資を受けやすいのである。これがサラリーマンが不動産投資に向く一番の理由である。

いったん不動産を購入してしまえば、安定的に家賃収入が毎月入るのが、他に本業を持つサラリーマンにとっては大きな魅力となる。毎日のように株価や為替を意識して忙しく売買を繰り返す必要がない。入居者さえいれば、あとは毎月家賃が振り込まれるのを待っていれば良い、という副業としては大きな利点を持つといえよう。

融資が終わると、返済金の負担が無くなり、キャッシュフローは大きく改善される。定期的な収入のあるサラリーマンであれば、現役時代は少ないキャッシュフローでも構わないので、定年に近くなってから不動産投資による収入を、大家さんとして個人年金代わりに享受する、といったサラリーマンのライフサイクルにあわせた投資計画を描くことも可能だ。

また、サラリーマンは、通常所得税を源泉徴収されているため、経費計上できるものは少ない。不動産投資により、帳簿上の赤字がでれば、確定申告でサラリーマンとしての所得と合算でき、経費の申告も可能となるため、節税メリットが大きくなる。

不動産投資を始めるためには

不動産投資を始めてみたいという人は、まず、何のために大事なお金を投資するのか、という目的を明確にする必要がある。「老後の個人年金の代わりに」「現在のままでは収入が増えないので、副業としての現金収入が欲しい」「将来的に専業事業として展開したい」「相続税の対策を考えている」など、自分の目的を確固たるものとしなくてはならない。目的によって、投資の対象やリスク、対応策なども変わってくるからだ。

例えば、相続税対策ということであれば、タワーマンションの高層階などは市場価格が高い割に評価額は低層階と変わらないため、お勧めの投資となる。将来の個人年金代わりというならば、ローンを長期で融資枠の目一杯を使っても良いから資産価値の高い1棟マンションをお勧めするだろうし、副業収入を重視するとなると、返済金比率が高くならないように、低額で利回りの良い都心部の中古区分マンションへの投資をお勧めすることになる。

なぜ不動産投資をするのか、ということを明確にしたら、その目的を不動産会社に伝えてみよう。巷では不動産投資専門の不動産会社が増えている。自分の目的に応じてくれる不動産会社がきっと見つかる。専門家の意見を参考にしながら、自分の目的に見合った投資物件を熱心に探すことができれば、自分自身にとって最適な物件が見つかるであろう。