トランプ,オバマケア,国民皆保険
(写真=Thinkstock/Getty Images)

アメリカの次期大統領ドナルド・トランプ氏は11月29日、共和党下院議員で下院予算委員長のトム・プライス氏(62)を厚生長官に指名すると発表した。起用されたプライス氏は南部ジョージア州選出で整形外科医で、ヘルスケア政策全般に通じている。毎年議会に医療保険制度改革法(オバマケア)の“撤廃”に向けた議論をけん引してきたことでも知られている。プライス氏は社会保障行政のトップになるわけだが、オバマケアは本格的にストップされるのだろうか。

オバマケアの代替案を提案?

オバマ氏が導入したこの医療改革(オバマケア)で、米国民2000万人が医療保険に新規加入している。オバマケアとは、アメリカの医療保険制度を改革する法律のニックネームで アフォーダブル・ケア・アクト(ACA)と呼ばれる。アメリカは日本と違って国民皆保険が無く、約4800万人(人口の約16%)の国民が医療保険に入っていないといわれる。そこで保険に入ってない人でも職場を通じて保険を買う事ができるようにする制度だ。

実はトランプ氏はオバマケアの一部引き継ぎ修正する方針を示しており、オバマケアの中でも、人気の高い2項目については維持したい考えのようだ。

1つ目は、26歳までは親のプランに加入できる事、2つ目は従来条件で入っている人には保険会社が保険適用を拒否できないようにするものだ。

トランプ氏の医療政策

トランプ氏の医療政策はどのようなものなのか。公約として以下の7つを挙げている。

(1)オバマケア撤廃
(2)保険会社は州をまたいで医療保険を売る事ができるように制度変更
(3)個人の医療保険の保険料を税金控除の対象に
(4)医療貯蓄口座(Health Savings Account;HSA)を導入
(5)医師や病院に医療の価格に関する透明性を高めることを義務付け
(6)各州の貧困層向けの公的医療保険に必要な予算をそのまま移譲し使い方の詳細は各州に任せる。
(7)薬剤の市場へ自由参入を認め海外の薬を輸入することを許可する。

政策の目玉はオバマケアの撤廃。残りの6つは他の候補らが提唱した政策を寄せ集めただけといわれている。

オバマケアを撤廃するには議席数が足りないが……

現実問題としてトランプしはオバマケアを「全面的に撤廃」する事ができるのか。上院の48議席は民主党で51議席が共和党。オバマケアの廃止には2/3以上の議席、60議席が必要だ。

民主党の協力を得ることなくオバマケアを「全面的に撤廃」することはできないが、裏技があるようだ。それは、「財政調整(Budget reconciliation process)」という手続きを使うこととされる。

財政調整とは、既存の法律の歳出と歳入に関わる部分変更を加えるという方法。これなら過半数の賛成で可決できる。

どこまでオバマケアに修整を加えるかは未知数で、代替制度が用意できるまでは大幅な変更を加えない可能性もある。プライス氏は整形外科医でもあり、多くの共和党議員と異なりオバマケアを批判するだけでなく、対案を示してきた人物としても知られている。トランプ政権のオバマケアに対する姿勢には引き続き注目していきたいところだ。(ZUU online 編集部)

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