育児のために一時的に仕事を休む育児休業期間は、生まれたばかりの新しい家族と過ごす非常に重要な時期であるが、おむつ代や衣料代、医療費とお金がかかるときでもある。そのようなときに役立つ育児休業給付金とはどのようなものなのか、受給条件や手続き方法、支給時期などを紹介する。

目次

  1. 育児休業、育児休業給付金とは
  2. 育児休業による世帯収入への影響
  3. 育児休業給付金の受給条件と手続きの流れ
  4. 休業できる期間、給付金額と支給時期をシミュレーション

育児休業、育児休業給付金とは

産休と呼ばれる休業は、出産予定日の6週間前から取得できる産前休暇と、出産後の8週間は就業できないと決められている(6週間以降は医師の判断があれば就業可能)産後休暇を合わせたものだ。出勤せず給与の支払いがない期間については、加入している健康保険組合から標準日額の3分の2が支給されることになっている。

一方、育児休業とは、産後休暇に続いて育児のために仕事を休業することができるとされている期間だ。出産後8週間の産後休暇が終わってから育児休業期間が始まることになり、子どもが1歳になるまで(父母ともに育児休業を申請する場合は1歳2カ月になるまで、一定の場合には1歳6カ月になるまで)育児休業が認められる。雇用保険に加入していれば、育児休業期間中は、雇用保険から育児休業給付金を受け取ることが可能になる。

育児休業による世帯収入への影響

職場にもよるが、基本的には産休・育休中は給料が支給されない。厚生労働省が発表した2015年の賃金構造基本統計調査によると、30歳~34歳の女性の平均月収は約23万8400円となっている。出産前に産休6週間、出産後に産休8週間+育休1年間として仕事を休む場合、賞与や手当などを含めずに単純計算すると、約370万円の給与が家計に入らなくなると見積もることができる。

ただでさえ家族が増えて出費が増えるこの時期に、300万円を超える収入がなくなるというのは、まとまった貯蓄のない家庭にとってはとくに辛いものがあるといえるだろう。

育児休業給付金の受給条件と手続きの流れ

育児休業給付金は、次の条件を満たしていると受給が可能になる。

  • 雇用保険に加入しており、65歳未満であること
  • 満1歳未満の子どもを育てるために育児休暇を申請していること
  • 育児休業を開始する前の2年間に、11日以上働いた月が12カ月以上あること
  • 雇用契約期間に定めがある場合は、育児休業開始前に同一の事業主のもとで1年以上連続雇用されており、子どもが1歳になる日以降に引き続き雇用される見込みがあること

これらの条件をすべて満たす人が、産後休暇明けの日から4カ月目の月末までにハローワークへ申請することで受給できる。申請時には、受け取る口座の通帳のコピーと育児休業の事実を確認できる書類(母子手帳の出生日がわかるページや赤ちゃんの名前が記された住民記載事項証明など)を提出する。勤務する会社に確認し、必ず申請期間内に申請を行おう。

申請書類が管轄のハローワークで受理されると、会社を経由して支給決定通知書と次回支給申請書が自宅に郵送される。支給決定通知書はそのまま保管すればいいが、次回支給申請書は署名・押印して会社に返送する必要がある。この書類は2カ月に一度会社から送付されるので、受け取ったらすぐに署名・押印して返送しよう。

休業できる期間、給付金額と支給時期をシミュレーション

育児休業は、基本的に「産後休暇が終了してから子どもが1歳になるまで」とされているが、父母ともに育児休業をとる場合は休業期間が「子どもが1歳2カ月になるまで」に延長される。育児休業給付金の金額は、休業開始後6カ月までは基本日額(基本月給の30分の1)の67%で、その後は基本日額の50%だ。この計算のベースとなる「基本月給」には、通勤手当などの各種手当も含まれる。

例えば、各種手当を含めだ基本月給が30万円(基本日額1万円)の母親が、子どもが1歳になる前日まで育児休業を取得したとする。

  • 出産後8週間の産後休暇を除いた育児休業日数 休業期間365日-産後休暇の7日×8週間=育児休業期間は309日
  • 育児休業開始後6カ月までの給付金額 基本日額1万円×育児休業180日×67%=120万6000円
  • 育児休業開始後6カ月以降の給付金額 基本日額1万円×育児休業129日(=309-180)×50%=64万5000円
  • 合計給付金額 120万6000円+64万5000円=185万1000円

育児休業中に給付金を受け取ることができる育児休業給付金制度を活用するためには、適切な時期に申請することが何より大切だ。タイミングを逃さずしっかりと申請しよう。