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(写真=PIXTA)

「投資」といえば、株式や債券への投資が王道です。必要に応じて金などのコモディティ、不動産、為替などを投資対象として加え、ポートフォリオを組むというのがスタンダードな方法でしょう。理想は、できるだけリスクを抑えつつ、高利回りの運用で資産を増やしていくことではないでしょうか。投資先の判断基準も、リスクとリターンのバランスがとれているかという観点が主になります。

一方で、運用目的に重きを置いて投資先を選ぶという考え方もあります。もちろんリターンは期待しますが、どちらかというと「趣旨に賛同した」「応援したい」という動機が強いものです。

探せばいろいろある「応援」投資の中で、今回はファンド形態のものに注目してみました。

投資信託とファンドの違いとは?

ファンドと聞くと「投資信託」をイメージする方が多いでしょうが、金融業界では複数の意味で使われます。ファンドという言葉自体は「基金、資金」を表すので、多数の人から資金を募り、投資を行うという一連のパッケージ商品の総称です。

一般的に日本国内で投資信託と呼ばれているものは、この広義のファンドの中の一つです。『投資信託及び投資法人に関する法律』に準じて、行政の監督を受けた運用会社によって厳正な管理の下で、運営されているものを指します。銀行や証券会社が運用するお金を直接的に投資家から集めるものが多く、NISAの対象となっている商品も多くあります。

一方で、通常ファンドと呼ばれている金融商品には、前述の法律に縛られずに運用されているものもたくさんあります。たとえば、国民年金や企業年金もファンドであり、かつて有名になった「村上ファンド」もこの中に含まれます。

ユニークな運用目的のファンドが続々登場

ファンドには、特定の目的のために運用されているユニークなものも少なくありません。昨今、投資家の注目を集めたファンドの一つが「宿坊ファンド」です。お寺や神社の宿泊施設である宿坊を建設し、運営するための資金調達を目的としています。異文化体験に関心を持つ訪日外国人客を見込んでおり、規模は5~10億円を予定しているものもあります。宿坊ゆえ建物やサービスは簡素を常とするため、ホテルほどコストがかからず、高利回りが期待されています。

このほか、映画の製作費や広告宣伝費を一般投資家から幅広く集める「映画ファンド」もあります。収益を投資家に分配するほか、投資口数によっては試写会への招待や、クレジットロールに名前が記載されるなど、ユニークな特典が用意されています。

投資リスクも自己責任で判断

紹介したもの以外にも、クラウドファンディングの隆盛に伴い、個人投資家が少額から投資することが出来るファンドも増えています。

たとえば、アーティストの活躍を支援する「音楽ファンド」、飲食店などの店舗の運営を支援するファンド、アイドルのデビューを応援する「アイドルファンド」など、その種類は多岐にわたります。ただし、これらのファンドは「応援」がメインの目的となります。そのため、出資者には収益を分配するのではなく、特典やサービスを還元するものが多く、あくまでも金銭的な利回りを追求したいという方は注意が必要です。

一方で、投資ですから当然リスクも伴います。ワイン投資ファンドを運営するヴァンネットの例をご存じの方もいるのではないでしょうか。2016年3月に倒産したヴァンネットは、投資家から募った資金で値上がりを見込んだボルドーなどのワインを購入し、熟成後に売却して得た利益を投資家に配分していました。ですが、運用で多額の損失が発生し、約520人が出資した約36億円が未償還になる可能性が指摘されています。

今後もさまざまなファンドの登場が期待されますが、どこが運用しているのか、分配実績はあるかなどをきちんと調べたうえで判断するのが投資の基本です。自分の大切な資産を預ける先にふさわしい案件なのか、熟考して投資するという基本を忘れないようにしましょう。(提供: IFAオンライン

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