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(写真=PIXTA)

「老後貧困」という言葉を、ほとんどの人は聞いたことがあるだろう。しかし、その実態についてはなかなか把握されていないようだ。

誰しも、老後は穏やかな暮らしを望んでいる。お金の心配をせず、のんびりと過ごしたいものだ。しかし、その安心した老後というものを、残念ながら誰もが手に入れられるものではなくなってきているのだ。

ここでは、あなたも老後貧困に陥らないために、今知っておいてほしいことをまとめた。

老後貧困とは?

ForbesJAPANによれば、2015年のOECE加盟国の中で、65歳以上の貧困率が日本は19.4%と、韓国、オーストラリア、アメリカについで第4位である。つまり、およそ5人に1人が相対的貧困層なのである。

相対的貧困層とは、所得がその国の世帯平均の50%に満たない層を指すため、実質的に「貧しい」と感じている人は、もっと多いだろう。同じ金額の年金を支給されていても、十分生活できる人もいれば、貧しいと感じる人もいるはずだ。

老後は、基本的に年金収入が中心の生活となる。年金支給額は、種類、加入期間、所得に応じて変わる。加入期間が短かかったり、国民年金のみの加入の場合などは、支給される年金額は十分とは言えない。少なからず、それらに加えて貯蓄をしておかなければ、誰もが老後の貧困に陥る危険性は高くなる。

老後貧困に陥るケースとその原因

ではなぜ、老後貧困に陥るのだろうか。その理由はいくつか考えられるが、もっとも大きい要因は、定年までに十分な貯蓄が行えなかったことだろう。

公益財団法人生命保険文化センターのデータによれば、家計の支出入を見たとき、世帯主が60歳以上の無職世帯(2人以上の世帯)では毎月約7万円、単身世帯では毎月約4万円の赤字となり、貯蓄を切り崩して生活をしているという。つまり、60歳から80歳の期間を考えてみても、年間48万円から84万円、20年で960万円から1680万円の貯蓄がないと、赤字を補てんできず、生活が厳しくなる計算になる。

さらに、晩婚化や出産時期の遅れもその要因と指摘されている。教育費として、子どもにもっともお金がかかる時期が遅くなるため、自分たちの老後のための十分な貯蓄ができなかったというケースである。加えて、無理な住宅ローンを組んだことにより完済時期がずれ込み、年金の大半をローンの返済にあてなくてはならないということもあるだろう。住宅に限らず、ローンや借金などは、現役時代に完済しておかなければならない。

老後貧困と年金との関係

あなたは、自身の加入している年金の種類を正確に把握しているだろうか。

国民年金の場合、全国民が同額の保険料を納め、支給される額はその加入期間で決定される。一方、会社に勤務している人は、それに加え厚生年金にも加入することになる。厚生年金は、所得に応じた保険料を納めるため、納めている保険料と加入期間によって支給額が決定される。自営業などの場合には、貯蓄だけではなく国民年金基金の加入も検討してみてほしい。

個人によって、それぞれの年金の支給額は異なる。老後にどのような生活を送りたいのかも人それぞれだが、最大限に年金のメリットを受けるためにも、知識をつけておくことは重要だ。

老後貧困対策

老後貧困に陥らないためには、何よりも年金の保険料をしっかりと払い込んでおくことは基本だ。「自分が年金をもらう頃には、支給額が減ってしまう」と不安に思っている人も多いかもしれない。しかし、現状ではそれがまず優先すべき事項である。

それに加えて、着実な貯蓄も不可欠だ。老後に豊かな生活を送るためには、2人以上世帯で最低でも2000万円以上の貯蓄が欲しいところだ。年金の保険料を納めると同時に、自身である程度の貯蓄を築き上げていくことが必須である。単身世帯の場合は、その金額の半分程度でも良いが、老後のための貯蓄はいくらあっても困らないものだ。

2人以上世帯であれば、まずは配偶者と老後のライフプランを早いうちに話し合っておく必要がある。まだ先のことだとイメージが湧きにくいのも事実だが、老後は誰にでもやってくる未来だ。老後についてのライフプランを立てるのに、早すぎるということはない。

具体的なプランが立てられれば、自ずとその生活に必要な資金が見えてくる。それを逆算して貯蓄をしていくことになるが、単純に貯金をするだけでは間に合わないという場合もあるだろう。そうした場合には、資産運用の知識を身につけて、一定割合を「増やすための資金」に回すという方法もある。

貯蓄だけでは不十分

現在は5人に1人が相対的貧困層だが、今後高齢化が進むにつれさらに貧困化が進むことが予測される。その時に頼りになるのは、それまで培った知識や知恵である。

「資産運用はこわい。確実性がない」と言われる。しかし老後の生活をイメージした時に、今から貯蓄を始めて十分な資金を蓄えられるだろうか。可能だという人はそれでいいが、そうでない場合には、自分で資金を増やせるなら、それに越したことはない。高齢になってから知識を身につけるのは、想像以上に難しい作業になるだろう。リタイヤする前の現役でいるうちに、資産運用の知識と経験を積み、自分自身の力で老後の安心を手にしてみてはどうだろうか。(ZUU online 編集部)