年金手帳に記されている基礎年金番号は、何を意味し、どのようなときに必要になるのだろうか。また、基礎年金番号の確認方法や、年金番号を利用して受けられるサービスについても紹介する。
基礎年金番号とは
基礎年金番号は、国民年金と厚生年金、共済組合などのすべての公的年金制度で共通して使用する番号のことだ。マイナンバーと同じく「1人に1つ」の番号だが、マイナンバーとは相関がなく、独立した番号として加入者に割り振られている。
基礎年金番号は10桁の数字で表され、「4桁‐6桁」の組み合わせとなっている。1996年12月までは、国民年金または厚生年金の「年金手帳の記号番号」、共済組合の「組合員番号」と、それぞれの制度ごとに番号が割り振られていたため、転職などで加入制度が移り変わった場合、1人で複数の年金番号を有することもあった。そのため、年金請求の際に、年金制度ごとに番号照会が必要となり、調査や手続きに時間がかかっていた。
しかし、正確確実な年金の支払いとより良いサービスの提供を目指し、1997年1月に基礎年金番号が導入されたことにより、複数の年金に関するデータを番号1つで照会できるようになったのだ。
どのようなときに必要か
国民年金や厚生年金、共済組合の保険料・受け取り額について調べるときだけでなく、以下のときにも必要になる。年金手帳や基礎年金番号通知書は大切に保管しておくようにしたい。
- 結婚もしくはその他の理由で姓や名を変更したとき
- 引越し等の理由で住民票の住所を変更したとき
- 国民年金や厚生年金等の保険料・受け取り額をインターネットで調べる「 ねんきんネット 」サービスに申し込むとき
- 就職して厚生年金保険に加入するとき
- 会社を退職し、国民年金に加入するとき
- 障害年金や遺族年金、老齢年金の受給手続きをするとき
- 障害年金や遺族年金、老齢年金に関して年金事務所等で相談するとき
「ねんきんネット」とは
日本年金機構が運営する、自分の年金情報を調べることができるサイトが「 ねんきんネット 」だ。年金に関して気になることがあったときは24時間365日、パソコンからでもスマートフォンからでもアクセスして確かめることができる。
ただし、利用するためには基礎年金番号とメールアドレスが必要になる。そのため、基礎年金番号がない1986年4月以前に年金受給権が発生した老齢年金受給者は利用することができない。
なお、ねんきんネットでできる主なことは次のとおりだ。
- 自分自身の年金記録の確認
- 将来受給できると予想される年金見込み額の確認
- 電子版「ねんきん定期便」の閲覧
- 日本年金機構から自宅に郵送された各種通知書の確認
「ねんきん定期便」とは
年に1回誕生月に、国民年金と厚生年金の加入者に送付されるハガキもしくは封書が「ねんきん定期便」だ。年金被保険者に、年金加入記録や保険料納付の実績、将来の年金給付に関する情報を知らせ、年金制度に対する理解と信頼を深めることを目的としている。なお、通常はハガキで送付されるが、35歳と45歳、59歳の誕生月には封書で送付される。
とくに50歳以上の加入者には、現在の年金制度に60歳まで同じ条件で加入し続けたと仮定して計算した老齢年金の見込み額が表示されるため、間近に迫った老後のライフプラン設計に役立てることも可能だ。
基礎年金番号の確認方法
自分の基礎年金番号は、以下の書類で確認することができる。
- 青色の表紙の年金手帳
- 基礎年金番号通知書
- 年金証書
- 国民年金保険料の納付書もしくは領収書
- 国民年金保険料の口座振替額通知書
- 各種通知書(年金額改定通知書、年金振込通知書、等)
- 定期的に自宅に郵送される「ねんきん定期便」
どうしても番号が分からないとき
基礎年金番号は、重要性の高い個人情報であるので、年金事務所等に電話やメールなどで問い合わせても、教えてもらうことはできない。上述したいずれかの方法で基礎年金番号が確認できない場合は、次の手段で確認することができる。
- 会社員の場合は、勤務先の総務課等の部署に問い合わせる。
- 「ねんきんネット」「ねんきん定期便」の専用ダイヤル(0570‐058‐555)に電話し、後日、基礎年金番号が記載された書類を自宅に郵送してもらう。
- 年金事務所窓口に本人確認できる書類を持って出向き、担当者に相談する。
1人に1つの基礎年金番号
リタイア後のライフプランを立てるためにも、年金の受給額を把握しておくことは大切だ。そのためにはまず自分の基礎年金番号を大切に保管し、ねんきんネット等を活用して正確な情報を入手しよう。(ZUU online 編集部)