年金,年金 支給
(写真=Thinkstock/Getty Images)

年金は、受け取ることができる年齢に達すると自動的に支給されるものではない。年金が受給可能な年齢になったときに、受給予定者自らが年金を受けるための手続き(年金請求)を行うことで初めて支給されるのだ。

どのような手続きなのか、手続きする際にどのようなことに注意する必要があるのか、そして年金請求を忘れた場合はどうすればよいのかについて解説する。


年金制度をおさらい

以前の日本の公的年金制度は3階建て構造になっていた。1階には20歳以上の国民全員が加入する国民年金があり、2階には事業所から給与を受けている人が加入する厚生年金があり、3階には国家公務員や地方公務員、私立学校の教員などの共済組合があった。

年金受給年齢になると国民年金被保険者は老齢基礎年金を受け取り、厚生年金被保険者は老齢厚生年金と老齢基礎年金を合わせて受け取り、共済組合被保険者は老齢基礎年金と老齢厚生年金、退職共済年金を合わせて受け取っていた。

2015年10月から厚生年金と共済組合は一元化されたため、現在は2階建て構造になっている。国民年金被保険者は今までと同じく老齢基礎年金を受け取り、厚生年金被保険者と旧共済組合被保険者は老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせて受け取ることになる。

公的年金では国民年金、厚生年金保険、共済組合などから2つ以上の年金を受けられるようになったときは、いずれか1つの年金を選択することになる。だが、老齢基礎年金と老齢厚生年金は同じ事由で支払われるため1つの年金とみなされ、合わせて受け取ることができる。つまり、原則として国民1人が1年金を受け取るのが、日本の年金制度なのだ。

年金請求をする前の注意点

年金は基本的には満65歳から受け取ることになっているが、希望によっては満60歳から受け取ることもできるし、反対に満70歳に受け取り開始を遅らせることもできる。

もちろん年金開始時期を変更すると、受け取る額も異なってくる。1年早くすると年金受給額は6%減り、逆に年金受給開始を1年遅くすると年金受給額は6%増えることになるのだ。

また、それとは別に1941年4月2日以降に生まれた男性と1946年4月2日以降に生まれた女性は、年金受給額が減額されずに受給開始年齢が60歳まで引き上げられることがある。いずれも手続きをしないと受け取れないので、忘れずに年金事務所に行くようにしたい。

年金請求の方法

年金受給の資格が発生する3カ月前に、基礎年金番号と氏名、生年月日、性別、住所、対象者の年金加入記録を記した事前送付用の「年金請求書」と年金請求手続きの案内が日本年金機構から対象者あてに郵送されてくる。

年金請求の受け付けは支給開始年齢になってからなので、発生する開始年の誕生日後は速やかに年金事務所に出向こう。請求の際には、以下の書類が必要になる。

・年金請求者すべてに必要な書類
年金請求書
年金受給権発生日以降かつ年金請求日の6カ月以内に発行された戸籍謄本、住民票、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明のいずれか
年金受け取りを希望する金融機関の通帳もしくはキャッシュカード(ただし、受取人本人名義のもの)
印鑑(認印でも可)

・厚生年金に20年以上加入し、配偶者もしくは18歳未満の子供がいる場合に必要な書類
戸籍謄本(記載事項証明書)
世帯全員の住民票
配偶者の収入が確認できる書類
子供の収入が確認できる書類(義務教育卒業前は不要。高校生の場合は在学証明書もしくは学生証など)

・厚生年金加入期間が20年未満かつ配偶者の厚生年金加入期間が20年以上の場合に必要な書類
戸籍謄本(記載事項証明書)
世帯全員の住民票
本人の収入が確認できる書類

・本人の状況によって必要な書類
基礎年金番号以外の年金を持っている場合は年金手帳
雇用保険に加入したことがある場合は雇用保険被保険者証
配偶者を含め他の公的年金を受けている場合は年金証書
1級もしくは2級の障害を抱える子供がいる場合は医師か歯科医師の診断書
国民年金に任意加入しなかった期間がある場合、もしくは任意加入を行ったが保険料を納付しなかった期間がある場合は、それを証明する書類

請求の期限はあるのか

年金受給には時効があり、5年を超えた分の年金は受け取れなくなる。ただし、やむをえない状況で時効発生前に年金受給手続きができなかった場合は、書面で理由を申し立てることで受給権が消滅しないようにすることができる。

60歳を過ぎたら常に年金を意識しよう

60歳から64歳で始まる年金の特別支給や、65歳で始まる老齢年金は、いずれも年金受給者自らが手続きをしなければ受け取れない。60歳を過ぎたら常に年金を意識し、受け取れるはずの年金が受け取れなくならないように注意したい。