テンバガー,逆テンバガー,株式投資
(写真=PIXTA)

株式投資家にとって、株価が10倍になる夢のような銘柄を「テンバガー銘柄」と呼ぶ。テンバガーというと新興市場や仕手株がイメージされるがそればかりではない。東証1部でも10倍になる銘柄はいくらでもある。

たとえば過去10年で最安値からその後の高値で10倍以上になった銘柄では、富士重 <7270> 、良品計画 <7453> 、エイチ・アイ・エス <9603> 、ファーストリテイリング <9983> といった誰でも知っている企業も多い。投資家としてはそれを短期で達成したいものだ。ただ気をつけてほしい。新興市場には逆テンバガー銘柄という10分の1になるような銘柄も数多く存在する。今年はまだ終ったわけではないが、執筆時点(12月8日)での「テンバガー銘柄」、「逆テンバガー銘柄」をご紹介していこう。

2016年のテンバガー達成銘柄は?

まずは、テンバガー銘柄から振り返ろう。個別銘柄で、16年の年初来安値から直近12月8日までの上昇率ランキングでは、残念ながらテンバガーは存在しない。

6倍を超えているのはフライト <3753> (東証2部)、5倍を超えているのがイグニス <3689> (マザーズ)、安川情報システム <2354> (東証2部)、4倍超がジースリー <3647> (東証2部)、TOKYO BASE <3415> 、ウェッジ <2388> (JQ)、モブキャスト <3664> (マザーズ)、トリケミカル <4369> (JQ)、アライドアーキテクツ <6081> (マザーズ)などだ。今年は東証2部の出遅れ銘柄にスター株が目立っているが、それ以外はやはり新興市場が中心だ。

現在は高値から下がっているため上昇率リストにはでてこないが、ブランジスタ <6176> (マザーズ)は、今年の2月安値1130円から5月高値の15850円まで3ヶ月でテンバガーを達成している。

2016年の逆テンバガー的銘柄振り返り

2016年の個別銘柄の年初来高値から12月8日までの下落率ランキング、いわば逆テンバガー銘柄を見てみると、やはり10分の1になった銘柄は存在しない。

12月8日時点で高値から80%以上下げている銘柄はブランジスタ <6176> (マザーズ)、中村超硬 <6166> (マザーズ)、アクセルマーク <3624> (マザーズ)の3銘柄。

同70%以上の下落が、JIG-SAW <3914> (マザーズ)、グローバルウェイ <3936> (マザーズ)、MRT <6034> (マザーズ)、アルファポリス <9467> (マザーズ)、アンジェスMG <4563> (マザーズ)、フード・プラネット <7853> (東証2部)、フジタコーポレーション <3370> (JQ)、メドレックス <4586> (マザーズ)、グリーンペプダイド <4594> (マザーズ)、アカツキ <3932> (マザーズ)、アクサス <3536> (JQ)の11銘柄。

この14銘柄はほぼ逆テンバガー銘柄に等しい大幅下落だ。

下落率トップのブランジスタはなんと2月安値1130円から5月高値15850円まで3ヶ月でテンバガーになった後、5月高値から9月安値1481円まで4ヶ月で逆テンバガーという一年で両方を経験するという離れ業を演じた。

逆テンバガーの傾向と対策 「4つのキーワード」

逆テンバガーのほとんどの銘柄が新興市場銘柄だ。新興市場銘柄は時価総額が小さいものが多く、流動性も低いため株価は需給動向により一方通行になりやすい。ボラティリティも激しいため、上がるときは早いが下げるときも強烈だ。

もし、新興市場に投資するのならロスカットのレベルだけはきちっと決めて塩漬けにしないことを心がけよう。さらに逆テンバガーの傾向を絞り込むと、キーワードは、「大幅下方修正、赤字、急騰後、直近IPO」の4つのカテゴリーに大きく分類される。複数のカテゴリーにあてはまる銘柄を見ていこう。

【大幅下方修正企業】
◯中村超硬 <6166>
太陽光発電パネル用ウエハーなどの製造に使うダイヤモンドワイヤ大手。ショックが走ったのは今年の8月5日だ。16年第1四半期(4−6月)の同社の売上が31%減となり、経常利益が赤字に転落という大幅下方修正をした。通期予想も、売上94億円から73億円に、経常利益を17億円から4.6億円に下方修正した。中国の特定の顧客一社に対する売上依存度が高く、その顧客との価格交渉が決裂したため大幅下方修正となった。中村超硬は、好業績に支えられて上場後株価が安値から3倍以上になっていた。新興市場の銘柄ではいくら業績がよくても、単品経営でないか?特定の顧客依存度が高すぎないかは良く調査する必要がある。

アクセルマーク <3624>
コンンテンツ配信、広告、モバイルゲームの3本柱。前15年9月期に最終赤字に転落。16年11月8日に発表した16年9月期の最終利益も予想の3.7億円の赤字から4.6億円の赤字に下方修正された。株価は4月に、子会社のアクセルゲームエンターテインメントがサービスを始めた対戦RPG「ワールドクロスサーガ ―時と少女の鏡の扉―」が5日間で50万ダウンロードを突破したことで、2月の586円から4月28日には4710円と8倍になっていた。この銘柄も赤字、下方修正、株価急騰後という条件に当てはまっている。

◯アルファポリス <9467>
14年12月IPO銘柄。初値は公募価格の93%高。11月に17年3月期業績予想の下方修正を発表している。第2四半期累計の営業利益は83.0%減の0.8億円となり、従来予想の3.7億円を下回った。通期営業利益見通しについても、従来の9.2億円から1.5億円へと大きく下方修正した。

【赤字企業】
◯アンジェスMG <4563>
◯メドレックス <4586>
◯グリーンペプダイド <4594>

マザーズ市場は赤字でもビジネスモデルがユニークで成長の可能性が高いなら上場が可能な市場だ。ただ赤字企業はバリュエーションで評価しづらいのは確かだ。株価が下げ出すとPERやPBRといった黒字企業であればバリエーションで割安感からサポートとなるポイントがないので下げ止まりにくい。

アンジェスMGやメドレックス、グリーンペプダイドは創薬企業で基本的には赤字上場群だ。今年4月のそーせい <4565> を中心としたバイオ祭りでこういった銘柄が大きく上げた後、なかなか下げ止まらなかった。創薬の場合は、研究開発型の企業であまり売上はたたず、開発中の薬品が成功すれば大きな売上となるというビジネスモデルなので仕方がないのだが、下げはじめたときは気を付けたい。

◯フード・プラネット <7853>
経営不振の中、事業の買収・売却などが続き赤字体質を脱せない。大きく下げたといっても一時40円まで上げた株価が10円まで下がったというレベルだ。

【急騰企業】
◯ブランジスタ <6176>
◯JIG-SAW <3914>
◯MRT <6034>

今年前半に大化けした代表的な銘柄だ。ブランジスタは、秋元康プロデュースのAKBのオンラインクレーンゲーム「神の手」が話題となり、2月安値1130円から5月高値15850円まで15倍になった後、なかなか下げ止まることはなく逆テンバガーになった。

ジグソーは、IoT関連銘柄の本命として売上が6億円程度の会社でありながら4月のマザーズ市場の上げの中心銘柄となり年初来の安値から3ヶ月で6倍になった。ただ売上6億円の会社の時価総額が1500億円を超えるまで買ったのはいくらなんでも行き過ぎだった。その後、会社に対する怪文書なども流れ株価は2ヶ月で80%ほど下げた。

MRTは、インターネットを活用した医師紹介サイトを運営しているが、遠隔医療、バイオ祭りといったマザーズのテーマに乗っかった。1月安値から4月高値まで9.8倍とほぼテンバガー銘柄だった。その後5ヶ月で70%以上下げることになる。MRTも通期予想は変更していないが上期の業績は減益だった。

【直近IPO銘柄】
◯グローバルウェイ <3936>
◯アカツキ <3932>
◯アクサス <3536>

直近IPOの銘柄も大化けする銘柄がある一方、大きく下げる銘柄も出てくる。IPO時に評価が高すぎた場合がとくに下げ止まらない。

グローバルウェイは16年4月IPO。働く人のキャリア育成「キャリコネ」を展開している。初値は公募価格に対し4.7倍だった。

アカツキは、スマフォゲームの企画・開発・運営会社。16年3月IPO。初値は売り気配で始まり、公募価格を8%下回る値段だった。アカツキは安く始まったものの、ブランジスタ等ゲーム株がマザーズで物色されたために連れ高。IPO後の安値から2ヶ月で5倍弱になった。その後、ゲーム株のプレミアムがはげるとともに下げている。

アクサスは、16年3月に雑貨屋ブルドッグとアクサスの経営統合によって設立された。2月に上場廃止となった雑貨屋ブルドッグの最終日の気配から始まっため、3月の再上場後短期間で倍になってしまい。その後大きく下げることになる。

新興市場は確かに夢のある市場だ。企業業績も株価も一変する可能性のある原石がたくさんある。2016年の逆テンバガーを教訓にしながら新興市場銘柄には十分な注意をもって投資をして行くべきだろう。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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