負債総額1000万円以上の全国企業倒産は7736件発生した――。

東京商工リサーチが調べたもので、2016年1月から11月末までが対象だ。例年よりもかなり少ないペースのようだ。たとえば前年2015年は11月末時点での倒産件数が8113件だった。同年は12月末まであわせても8812件で、90年以来25年ぶりに年間倒産件数が9000件を下回っている。同じ期間(1-11月)の比較でも、その2015年より377件少ない。

このところ月次の倒産件数が700件を下回っていることから見ても、通年でも2015年より件数が減少することはほぼ間違いないものと思われる。ここでは2016年に入ってから12月上旬にかけてのワースト10の事例を顧みることにしたい。

9位 シンワゴルフリゾート 実質的に休眠だった/伊豆ゴルフ開発 米ゴルフ誌に掲載 約100億円

1980年に信和ゴルフのグループ会社として設立されたシンワゴルフリゾートは、10月5日に大阪地裁から特別清算の開始決定を受けた。2004年にグループ中核の信和ゴルフほか関連会社が民事再生法を申請するなか、実質的に休眠状態となっていたもの。特別清算申請時の負債総額は約100億円。

またアメリカのゴルフ誌『世界のゴルフコースベスト100』に選ばれたこともある「伊豆ゴルフ倶楽部」を運営していた伊豆ゴルフ開発も、9月1日に東京地裁から特別清算開始決定を受けている。こちらも負債総額は約100億円で、これには会員約550人からの預託金が約30億円含まれている。

8位 リペアハウス 無登録で金商取引と警告受けた 114億円

香港法人に口座を開設させ、外国為替証拠金取引や株式などでの運用を勧誘していたリペアハウスは、10月21日東京地裁から破産の開始決定を受けた。1月に福岡財務支局から「無登録で金融商品取引業を行う者」として警告を受け、さらに7月には裁判所から業務の禁止および停止を命じられるなどして、事業継続が困難となっていた。負債総額は一般投資家約1万700人に対して約114億4600万円。

7位 芝管財 イトマンの関連会社として設立された食肉専門商社 140億円

かつての総合商社イトマンの関連会社として設立された、ブロイラーを主体とする食肉の専門商社の芝管財、旧サミオ食品は4月27日、東京地裁から特別清算開始決定を受けた。ブラジル、タイ、中国などからブロイラーや食肉加工品の輸入を手掛け、食肉専門商社としては国内でも有数の取扱高で知名度を有していたが、低い採算性や借入金の増加傾向に急速な円安による仕入れコストの上昇が追い打ちをかけた。このため2015年9月に同業の西原商会グループに事業を譲渡、同社は4月に存続期間の満了により解散し、現商号となっていた。負債総額は約140億円。

6位 道環 コープさっぽろの関連会社 141億円

コープさっぽろの関連会社である(株)道環、コープ協同開発(株)、コープ協同不動産(株)の3社は、2月26日、札幌地裁に特別清算を申請した。負債は道環が約141億円、コープ協同開発が約87億円、コープ協同不動産が約43億円で、3社の負債合計は約271億円になる。

3社で約30カ所の店舗など不動産をコープさっぽろに賃貸していたが、コープさっぽろの業績改善に伴い、バブル期に行ったグループでの不動産投資の損失を整理したもの。3社の負債はコープさっぽろに対するもので、コープさっぽろは引当を済ませている。

5位 関急不動産 バブル崩壊後に事業縮小 150億円

不動産業の関急不動産は3月1日、大阪地裁から破産開始決定を受けた。バブル期には不動産売買を手掛けていたが、バブル崩壊以降は不動産賃貸・管理業へと事業を縮小すると同時に不動産の売却を随時進めてきた。2006年頃には事業を停止、多額の金融債務を残した状態で2008年12月に株主総会の決議により解散していた。負債総額は約150億円。

4位 エンタープライズ自由ケ丘 大分市で大型団地など手がける 152億円

宅地造成・販売会社のエンタープライズ自由ケ丘は1月15日、大分地裁に民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。大分市松岡地区で1602区画の大型団地を手掛けていたが、販売開始から10年を経ても販売実績は約500区画にとどまり、地価下落のなか原価割れでの販売を強いられるなど厳しい運営が続いていた。負債総額は約152億円で、大分県内では史上7番目の規模となった。

3位 吉田ゴルフ開発 ゴールデンパームカントリークラブなど運営 166.9億円

「ゴールデンパームカントリークラブ」を運営していた吉田ゴルフ開発は8月29日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。2005年3月期には6億689万円の売上高をあげていたが、以降はゴルフ人口の減少や市況低迷の影響を受け、2015年3月期の売上高は3億7996万円にまで落ち込んでいた。預託金約54億円を含めた負債総額は、債権者2094人に対して約166億8700万円。

2位 公益財団法人山梨県林業公社 山梨県出資の三セク 261億円

山梨県の全額出資により設立された第三セクターの公益財団法人山梨県林業公社は7月15日、甲府地裁に民事再生法の適用を申請した。同公社は、個人では森林整備が困難な土地所有者に代わって人工林の造成や整備を行うほか、山村地域における就労の場も提供してきた。

しかし1980年以降は国産木材価格が低下する一方で労働単価の上昇等により経費が増大、借入金返済の見通しが立たなくなっていたことから、第三セクター等改革推進債を活用した民事再生手続による再生を選択したもの。負債総額は債権者15人に対して約261億2000万円。

1位 パナソニックプラズマディスプレイ パナソニックの子会社 5000億円

パナソニックプラズマディスプレイは11月1日、大阪地裁へ特別清算を申請した。 2016年10月末現在の負債総額は、親会社であるパナソニック <6752> 1社に対する約5000億円。同社は2000年7月にパナソニックの出資により、地上波デジタル放送の高精細な映像を再現するプラズマディスプレイ事業を手掛ける目的で設立され、ピーク時の2009年3月期には売上高約3137億1400万円を計上していた。

しかし、その後は液晶との競争激化や市場価格の大幅下落などの影響を受け、2014年3月期の売上高は約201億6700万円にまで落ち込んでいた。このため2014年3月末をもって事業活動を停止。以降は工場建物や生産設備などの資産の処分を進め、今回の措置となった。

なおパナソニックは個別決算において、2016年3月期末現在関係会社株式評価損残高525億円を計上。将来の損失見積額についても、関係会社事業損失引当金4943億円を計上済み。今回の特別清算申請に伴い取立不能となることが見込まれる追加の損失57億円については、2017年3月期に計上予定だという。(ZUU online 編集部)