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(写真=PIXTA)

土地や家屋といった固定資産を取得すると、その評価額に応じて固定資産税が課されることとなる。だが、一定の要件を満たす場合においては、減免・減額といった措置の適用が認められているのだ。マイホームの新築等を検討している方は、ぜひこれら税負担軽減措置の利用についても考慮していただきたい。


固定資産税とは

固定資産税は固定資産(土地・家屋・償却資産)に対して課せられる地方税で、総務大臣の定める固定資産評価基準に基づいて各市町村(東京都23区内においては都)が税額を決定している。申告納税制度ではなく賦課課税制度を採用しており、納税義務者には納税時期の10日前までに各市町村より納付通知書が送付されることとなっている。

課税時期は毎年1月1日で、その時点において対象となる固定資産を所有している者に固定資産税の納税義務が発生する。年の中途で所有者に変更があったとしても、これは変わらない。また1月2日以後に家屋を新築した場合なども、固定資産税の納税義務が発生するのは翌年度からということになる。

新築の家屋を取得した際一定の要件を満たす住宅については、この翌年度より課せられる固定資産税額が1/2に減額されるのである。

固定資産税の新築住宅の減額を受ける条件

新築住宅について減額措置の適用を受けるためには、次の要件を満たさなければならない。

・専用住宅又は併用住宅であること

併用住宅については、居住部分の床面積部分の割合が1/2以上のものに限る。

・床面積の要件

一戸建て住宅……床面積が50平米以上280平米以下のもの。

住宅に店舗などが含まれている併用住宅……居住部分の床面積(全体の1/2以上であること)が50平米以上280平米以下のもの。

アパートなどの共同住宅……独立的に区画された居住部分ごとの床面積に、廊下や階段などの共用部分の面積を案分し加えた床面積が、50平米以上280平米以下のもの。貸家の場合は同床面積が40平米以上280平米以下のもの。

マンションなどの区分所有の住宅……専有部分のうち居住部分の床面積に、廊下や階段などの共用部分の面積を案分し加えた床面積(居住部分が専有部分の1/2以上であること)が、50平米以上280平米以下のもの。貸家の場合は同床面積が40平米以上280平米以下のもの。

・減額される範囲

減額の対象になるのは家屋の居住部分についてのみであり、またこれが120平米を超える場合は、120平米相当分が減額対象となる。

固定資産税の新築住宅の減額が適用される期間

この軽減措置は、新たに固定資産税が課税される年度から少なくとも3年度分適用され、最長では7年度分の適用が認められる。それぞれの要件と期間は、次の通りだ。

・認定長期優良住宅(平成30年3月31までに新築されたもの)

新たに固定資産税が課税される年度から5年度分(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は7年度分)。

・認定長期優良住宅以外の住宅

新たに固定資産税が課税される年度から3年度分(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年度分)。

認定長期優良住宅とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律第 10 条第 2 号」において規定されている長期優良構造を持った住宅を指す。長期優良構造を持った住宅とは、耐震性や維持管理の容易性、バリアフリー・省エネ改修などに対応し得るか否かなどを判定項目として、端的に長期的に住まうことのできる家と判断されたものだ。

認定長期優良住宅の軽減を受けるには申告が必要

さて、せっかく減額措置の適用を受けるのであればより長い方が良いことは明白だ。しかし、ここで2点注意しなければならない。

1点は、長期優良住宅の認定を受けるためには事前の申請等が必須であるということ。長期優良住宅は建築計画段階よりその打ち合わせ等にかかる時間が一般のものよりも長期になりやすいと言われている。また課税年(1月1日に建築した場合は当年)の1月31日までに長期優良住宅の認定を受けた旨を申告しなければ、肝心の減額措置を受けることができない。

もう1点は、長期優良住宅の認定には相応の費用がかかるということ。申請費用は自治体や申請方法等によっても異なるため一概には言えないが、場合によっては減額される税額よりも費用がかさんでしまう可能性さえあるのだ。

長期優良住宅の認定は慎重に

解説した通り、新築住宅の固定資産税にかかる減額措置は、長期優良住宅の認定を受けずとも適用されるものである。長期優良住宅そのものの、性能的なメリットを鑑みてこれを検討するならばともかく、固定資産税の減額措置が優遇されることだけを理由に安易に選択するべきものではない。新築住宅の取得に際しては、ぜひ慎重に判断していただきたい。