株を学ぶ際に、混同しがちな用語としてPBRというものがある。BPSやPERなど、同じくアルファベット3文字のものがいくつもあり、慣れるまでは戸惑ってしまう方もいるかもしれない。

PBRをはじめとする用語は、すべて英語の頭文字を取った意味のあるものだ。その意味を理解し、迷った時には何の頭文字だったか英語で思い出せるようにしておけば、混同せずに済むだろう。それ以前に、利用頻度の高い指標なので「体で覚えている」という人も多いかもしれない。

今回は、その中でもPBR(株価純資産額倍率)について解説する。

目次

  1. PBR(株価純資産倍率)とは
  2. PBRの計算方法
  3. PBRを活用しよう
  4. 最低確認事項の一つ

PBR(株価純資産倍率)とは

PBRとは「Price Book-value Ratio」の頭文字を取ったもの。一言で言えば、1株あたりの純資産を表す倍率を表す指標で、株の「割安度」を表す指標だ。

株主は株式会社が解散した場合、持ち株数に応じて残りの資産が分配される。PBRが1の時には、株価と1株あたりの純資産が等しいことを表す。つまり、PBRが1の時に会社が解散した場合には、投資した金額がそのまま返ってくることになる。PBRは会社の資産内容、財務体質を判断する際、また投資金額のリスクを回避する上で、欠かせない指標の一つだ。

詳しい計算方法は次項で説明するが、PBRが低ければ低いほど株価が「割安」と判断できる。理論上は、1倍を下回らないことになっているが、1倍を下回っている割安な銘柄も存在する。PBRが1倍を下回っている企業が解散をした際は、株主は株価以上の金額を受け取ることになる。

業績が良いにもかかわらず、PBRが低い場合には下支えをする指標にもなる。PBRを理解すれば、割安の銘柄を見つける際に役立つことに加え、そうした株価の値動きに対する指標としても活用できるのだ。一般的にPBRは中長期での運用を前提としている人に適した指標とも言われている。

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PBRの計算方法

では、実際にPBRはどのように計算するのだろうか。計算式は非常にシンプルだ。

まず、1株あたりの純資産額を算出する必要がある。1株あたりの純資産額は「Book value Per Share」の頭文字を取り、BPS(純資産)と呼ばれる。BPSは、発行済株式総数に対しどれだけの純資産があるかを示し、企業の健全性を示す指標の一つとなっている。1株あたりのBPSは「純資産÷発行済株式数」で求めることができる。続いて、現在の株価をBPSで割ればPBRを求めることができる。

1株あたりの純資産額(BPS)=純資産÷発行済株数
PBR=株価÷1株あたりの純資産額(BPS)

具体例を挙げて説明していこう。1000万株を発行している企業の純資産が100億円の場合、1株あたりの純資産額は「100億÷1000万=1000円」となる。その企業の株価が500円だった場合は「500円÷1000円=0.5倍」と1を大きく下回ることになる。株価が1000円の場合には、1株あたりの純資産額と株価が同額で、PBRは1倍となる。株価が2000円だとすると「2000円÷1000円=2倍」となり、割高な銘柄だと判断できる。

これらの計算式からわかるように、純資産が多く発行株数が少ない企業はBPSが高くなり、純資産が少なく発行株数が多い場合にはBPSは低くなる。

PBRの計算に加え、チャートを見て株価の動向も当然チェックする必要がある。株価が下落し、PBRが1倍に近づいているようならば、反転する可能性があると見ることもできるのだ。

PBRを活用しよう

先ほど説明した通り、PBRは大きく2つの活用方法がある。一般的にはPBRが1倍に近づくほど、底値となる可能性が高い。もちろん、その他総合的な判断が必要になるが、それを一つの「買い」ポイントとして判断するのもいいだろう。

加えて、PBRが低い企業を見つけることができれば「割安」で株を保有することができるため、リスク回避の意味でも選択肢となりうる。

一見、これら2つのメリットからPBRだけを重視してしまう人もいるかもしれない。しかし、実際にはPBRだけを見て投資を行うことは難しいだろう。あくまでも指標の一つにすぎないということや、あまりにもPBRが低い銘柄は「倒産」の可能性があることを十分に考慮しなくてはならない。PBRだけに頼らず、財務分析など他の要素も総合的に判断してほしい。

また、PBRが高い、つまり割高な銘柄が必ずしも「ダメ」ということではない。株式投資はもともと、企業の将来性に投資することだ。将来的に、純資産が株価に見合ってくることもあるだろう。PBRだけではわからない要素はたくさんあるのだ。

最低確認事項の一つ

PBRは知らなくてはならない指標の一つだが、それだけに頼って投資をすることはできないだろう。もちろん、説明してきたようにPBRを活用した投資法も存在するが、最低限の知識をつけた上で「確認事項の一つ」と位置付けてほしい。PBRを気にするということは、企業の健全性を知るきっかけにもなるだろう。

スクリーニング機能を使い、PBRの範囲を指定して銘柄を検索することも可能だ。ぜひ、今後の銘柄選びの参考にしてほしい。

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