米大統領選で劇的な勝利を飾り、世界を驚かせたドナルド・トランプ氏は、2017年1月の大統領就任を前に、政権を共に運営する閣僚の人選に取り組んでいる。連日、トランプ氏が居住し、安倍首相も会談のため訪れたトランプタワーに政財界の大物が出入りし、新閣僚人事にさまざまな憶測が飛び交う。トランプ政権を支える顔ぶれは、大手金融機関幹部から大物投資家まで、世界の超富裕層とされている面々だ。これまでに米メディアなどが報じた新閣僚と推定保有資産を紹介していこう。(参考:1ドル=118円で計算)

国務長官 レックス・ティラーソン氏
――エクソンモービルCEO 約2億4000万ドル(約283億円)

トランプ政権の要ともなり外交を担う国務長官に指名されたのは、石油大手エクソンモービルのレックス・ティラーソンCEOだ。外交の実務経験がないレックス氏だが、ロシアのプーチン大統領とも親交があり、冷え込んだ米露関係の改善に乗り出すことを期待されている。米経済誌「フォーブス」によると、ティラーソン氏は代表を務める石油会社の株式を時価総額で約2億4000万ドル(約283億円)保有するほか、2015年の報酬は2700万ドル(約32億円)を超えるという。

財務長官 スティーブン・ムニューチン氏
――元大手金融機関幹部 4000万ドル(約47億円)

1年ぶりに米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切り、好調な経済指標が続く米国経済。トンランプ次期大統領は1兆ドル規模のインフラ整備や巨額の減税を掲げているが、その政策を支える財務長官は、ウォール街出身のスティーブン・ムニューチン氏。父と同様に大手銀行のゴールドマン・サックスに務め、幹部まで上り詰めた。フォックスビジネスは、ムニューチン氏の資産は4000万ドル(約47億円)で、その大半は、ゴールドマンに在籍していた時期に形成されたという。

商務長官 ウィルバー・ロス氏
――投資家、アートの収集家 25億ドル(約2950億円)

商務長官には、投資家のウィルバー・ロス氏が指名された。ロス氏は2000年、当時の幸福銀行を買収するなど、知日派として知られる。安倍政権が肝煎りで進めてきた環太平洋連携協定(TPP)について、ロス氏は米テレビのインタビューで「ひどい内容」と言い放つなど、さっそく牙を剥き始めている。フォーブスによると、ロス氏の保有資産は25億ドル(約2950億円)に上り、アートの収集家としても知られる。

通商代表部代表 ダン・ディミッコ氏
――元大手鉄鋼メーカーCEO 329万ドル(約3億8800万円)

TPPを所管するトップに就任する予定なのが米大手鉄鋼メーカー・ニューコアのCEOを12年まで務めたディミッコ氏だ。同氏は中国からの安価な輸入品で米国内の鉄鋼業界が不利な競争にさらされているとして、制裁関税を中国に対し求めるなど、対中貿易で争いを繰り広げてきた。またTPP反対派としても知られ、日本にとっては手ごわい閣僚となりそうだ。フォーブスによると、ニューコアのCEOを務めていた際は、329万ドル(約3億8800万円)の報酬を受けていた。

国家経済会議(NEC)委員長 ゲーリー・コーン
――ゴールドマン・サックス社長兼COO 2億6600万ドル(約313億円)

大統領直属の組織で、経済政策の司令塔となる国家経済会議委員長に指名されたのは米証券大手のゴールドマン・サックスのゲーリー・コーン社長。財務長官に就任予定のムニューチン氏もゴールドマン出身ということもあり、政界での同社の影響力がますます強まりそうな人事といえるだろう。ブルームバーグによると、コーン氏は2億6600万ドル(約313億円)の株式を保有するとされる。

教育長官 ベッツィー・デボス氏
――慈善家 義父の資産は48億ドル(5664億円)

大統領選では、女性蔑視ともとられる発言が明らかになったトランプ次期大統領だが、教育長官には女性閣僚となるデボス氏を登用する予定。デボス氏は、民間が公的資金を受けて運営する特別認可校の促進に取り組んできた団体の代表だが、義理の父親は直販大手アムウェイの創業者で、その資産は48億ドル(5664億円)に上ると伝えている(ブルームバーグ)。

中小企業局(SBA)局長 リンダ・マクマホン
――元プロレス団体・トップ 夫の合わせて13億5000万ドル(約1600億円)

デボス氏に続き、女性としてトランプ政権入りする予定なのが、中小企業局長に指名されたリンダ・マクマホン氏だ。プロレス団体ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)の共同創業者で元CEOを務めたキャリアを持ち、異色の業界から白羽の矢が立った。ブルームバーグによるとマクマホン氏は、夫とともに少なくとも13億5000万ドル(約1600億円)の資産を持つとされる。

世界の富裕層を集結させたトランプ閣僚

大統領選挙戦では、対立候補のヒラリー・クリントン氏がウォール街と癒着していると激しく批判し、ラストベルトといわれる錆びた工業地帯の白人労働者に寄り添い、トランプ氏は勝利を掴んだ。

しかし、政権を支えるメンバーの資産は、これまで登用が明らかになった該当者だけでも120億ドル以上といわれ、最もリッチなメンバーを携えての船出となりそうだ。自らも億万長者であるトランプ氏、世界の富裕層を集結させたともいえる構成で、どのような政治を展開するか、世界が固唾をのんでその行方を注視する。(ZUU online 編集部)

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