贈与税,贈与とは
(写真=Thinkstock/Getty Images)

相続税を節税するための手段として、生前贈与を選択する方がいる。確かに生前贈与にはいくつかの控除や特例などがあり、これらをうまく活用することができるのであれば生前贈与は非常に有効な手段といえるだろう。

しかし、対象となる控除の要件や特例制度への理解がなければ、せっかくの生前贈与も節税効果を得られない可能性がある。いざ贈与を行う上では、そもそも贈与とはなんなのか、贈与税はいつ誰がどのようにして支払うものなのか、といった部分にも目を向けていただきたい。


贈与とは?

贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる、と民法549条で規定される契約の一種である。

一般的に、贈与は無償契約の典型といわれ、有償契約の典型である売買などとは全く異なる契約だ。贈与契約に必要とされるのは、贈与者(贈与する人)からの贈与しようという「意思表示」と、受贈者(贈与される人)の受け取るという「意思表示(受諾)」で、これ以外の情報は必ずしも必要とされるわけではない。

しかし、生前贈与のように贈与した内容を第三者へ証明しなければならないような状況においては、書面(贈与契約書など)でこの意思表示について明確にしておく必要がある。

もしも贈与契約書などによって生前贈与を証明することができない場合、各種控除の適用を受けることができず、その贈与は全くの無駄となってしまう可能性さえあるのだ。

贈与税とは?相続税と何が違う?

贈与税は、個人(贈与者)からの贈与によって財産を取得した人(受贈者)に、取得財産の価額に応じて課せられる税金である。これに対し相続税は、亡くなった人(被相続人)の財産を、相続や遺贈(死因贈与を含む)により取得した人(相続人など)に、取得財産の価額に応じて課せられる税金である。

贈与税と相続税はいずれも相続税法において規定されている税金であり、どちらも「財産を取得した人に課税する」「財産の価額に応じて課税する」など、共通点は多い。

それもそのはずで、相続税法において贈与税は相続税の補完税と位置づけられており、それぞれの税金が目的とするところが近しいため混同しがちなのである。

もしも贈与税がなかった場合、相続税を回避するためになんの制限等もなくいくらでも生前贈与が行えることになる。すると、生前贈与をした人としなかった人の間には大きな税負担の差が生じることとなる。

これを避けるために贈与には税金が課され、その税率や控除額は相続税よりも高く設定されているのである。

そもそも生前贈与は必要なのか?

相続税に比べ、贈与税は「控除額」が少なく、「税率(の累進度合)」も高い。にも関わらず、生前贈与を推奨するのはなぜか。それは当然、何も行わずに相続が開始してしまった場合よりも、生前贈与により対策をした場合の方がかかる税金を抑えられるからだ。

しかし、相続税と比べて贈与税の方が高額になるよう設定されているのも事実だ。だからこそ、適用すべき控除や特例への理解が不可欠なのである。

生前贈与をできるだけ税金をかけずに行う方法

贈与税(暦年課税制度)には、毎年110万円の基礎控除が認められている。この控除額内で行われた贈与については基本的に申告する必要はなく、控除が認められるための要件などもない。この基礎控除を利用した生前贈与は、非常に簡単でありながら節税効果も高く、どのようなケースにおいてもまずは検討すべきと言える方法だ。

注意点があるとすれば、贈与税は「受贈者」に課せられる税金であり、これは基礎控除の額についても同様であるという点だ。つまり、贈与者は年間どれだけ贈与したとしても税金は課せられないが、受贈者は何人から贈与を受けたとしても「合計110万円」が控除額なのである。

相続時精算課税制度の選択は慎重に

贈与税には暦年課税制度ともうひとつ、相続時精算課税制度という課税方式がある。こちらを選択すると高額な控除(2500万円)が受けられるものの、制度の対象となった贈与者からの贈与については以降、基礎控除の適用が認められなくなってしまう。

これらを合わせて活用したい場合は、基礎控除内で出来る限り贈与を行った上で当該制度を選択するなど前もって計画を立てておくと良いだろう。