過疎化,市役所,商業施設,青森アウガ
(画像=Webサイトより)

青森市の複合商業施設「アウガ」が市役所の窓口機能を集約する形で生まれ変わることになった。11月の市長選で当選した小野寺晃彦新市長が市議会で明らかにしたもので、アウガの公共施設化に伴い、市庁舎の建て替え計画を従来の10階建てからから3階建て程度に見直す方針。

アウガはコンパクトシティ実現に向けた中核施設としてJR青森駅前にオープンしたが、営業不振が続いて経営破たんし、混乱の責任を取る形で鹿内博前市長が辞職していた。甘い収支見通しが重いつけを残したわけで、コンパクトシティの実現も出直しとなる。

1〜4階に市役所の窓口機能を集約

小野寺市長は12月定例市議会の所信表明で、アウガの1〜4階に市民が訪れる市役所の窓口機能を集約し、ワンストップサービスを実現する考えを示した。これに伴い、新市庁舎の設計は10階から3階程度に改め、「事業費を大幅に減らす」と明言した。

アウガに入居するのは市民課や健康福祉部門など市民の来訪が多い部署になる見込み。本庁舎から約2キロ離れた柳川庁舎に入居中の環境部や市教育委員会もアウガに移す方向だ。新庁舎には総務部、都市整備部、財務部などが入居する。この方針はアウガの地権者らで構成するアウガ店舗共有者協議会の理事会でも示され、特に異論は出なかったという。

アウガの公共施設化は小野寺市長の選挙公約で、アウガに入居するテナントには周辺商店街の空き店舗をあっせんすることも検討する。アウガの閉店や第三セクターの「青森駅前再開発ビル」解散時期については、春をめどに関係者と慎重に協議を進める。

小野寺市長はアウガの公共施設化とともに、市庁舎建設、青森駅周辺整備推進事業を一体で進める考えを示してきた。中心市街地再生支援課、庁舎建設課、都市拠点整備室に所属する職員16人で構成する市長直属のプロジェクトチームで事業に当たる。

青森市中心市街地再生支援課は「市長の方針に沿い、関係者とよく協議しながら、アウガの公共施設化を進めていく」と述べた。

売り上げが予測を下回り、経営破たん

アウガは青森駅前に立つ鉄筋コンクリート地下1階、地上9階建てで、2001年にオープンした。空洞化が進む中心市街地の活性化を図り、都市機能の郊外拡大を抑制するコンパクトシティの中核施設と位置づけられていた。運営は市の三セク会社青森駅前再開発ビルが受け持っている。

地下は食料品売り場と飲食店、1〜4階に若者向け衣料や雑貨などの商業テナント、4階の一部から9階までに市民図書館など公共施設が入っている。総事業費は185億円。地方都市にしては巨大なその姿は、まさに駅前にそびえるランドマークのような存在だ。

建設当初はコンパクトシティの優等生ともてはやされ、全国から視察が相次ぐなど注目を集めた。しかし、初年度から売り上げは予測を下回り、賃貸料収入も伸び悩んだ。やがて慢性的な資金不足に陥り、問題が表面化する。

市が金融機関の債権を買い取るなどして三セク会社の金利負担を軽減する一方、2010年には2億円の融資をして会社を維持してきた。経営改善の試みはその後も続けられたが、それでも状況は変わらず、2015年度決算では約24億円の債務超過となっていた。

この間、鹿内前市長はアウガの公共施設化を打ち出したものの、発言が二転三転したこともあり、市議会との対立が深刻化。経営責任を取って2人の副市長が相次いで辞職したのに続き、鹿内前市長も10月に辞表を提出していた。

市は当初、老朽化した市庁舎を現在地で建て替えることにし、10階建ての新庁舎を建築する方針を打ち出していた。既に基本設計を終え、2016年度中にも着工、19年度に完成させる計画だった。総事業費は約100億円と見込まれていた。

市はアウガへの一部移転で新庁舎建設の総事業費を3分の1ほどに抑えたい意向。だが、2019年度中の完成は合併特例債の適用を受けられる期限ぎりぎりだっただけに、新計画の財源をどうするかはまだ流動的な面があるという。

全国で増える商業施設跡への市役所入居

中心市街地の商業施設跡へ地方自治体が入居する例は全国で増えている。主に閉店した百貨店跡が対象で、北海道北見市や宮城県石巻市、栃木県栃木市、山口県周南市などが市庁舎入居に踏み切った。

人口減少が続く地方都市で後継店はなかなか見つからない。閉店したまま放置するより、一定の利用者が見込める市庁舎を入居させ、中心市街地からのにぎわい減少に少しでも歯止めをかけようとする苦肉の策だ。

青森市の場合も公共施設化によって、中心市街地に一定の人数が足を運ぶことになるが、コンパクトシティ実現のため買い物客を集めるという本来の目的は達成できない。人口減少が深刻さを増す中、コンパクトシティの実現は急務だが、1から出直すことになる。

市の人口は減少を続け、中心市街地のにぎわいも薄れている。中心市街地の空洞化対策と活性化策は、アウガが決着すればすぐに乗り出さなければならない課題だ。新市長に課せられた責任は重い。

高田泰 政治ジャーナリスト この筆者の記事一覧
関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆中。マンション管理士としても活動している。

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