地方創生,人口減少,過疎化,商店街,空洞化
(写真=PIXTA)

地方の人口減少が深刻さを増す中、各地の商店街組合解散がこのところ、全国で相次いでいる。売り上げ激減に伴い、加盟組合員が減少して組織運営が困難になっているためだ。法人組織が解散しても商店街自体は残るが、中心商店街はその都市の顔ともいえる存在だけに、地域に与える悪影響は計り知れない。

中心市街地の空洞化は大都市圏を除けば、ほとんどの地方都市に共通した悩み。商店街組合の解散は空洞化に一層拍車をかけかねないだけに、各自治体や地元商工会議所は対応に苦慮している。

財政破綻の夕張で本町商店街振興組合が解散

市の財政破綻で急激な人口減少が続く北海道夕張市。中心部の本町商店街振興組合が今春、解散した。地区内では新たに任意団体の振興会が設立されたが、中心商店街の法人組織解散に地元の経済界はショックを隠せない。

夕張市はかつて石狩炭田の中心都市として栄え、約12万人が暮らしていた。しかし、2006年に約353億円の財政赤字を抱えて財政破綻を表明、財政再建を続けている。廃坑後、観光、リゾート面で地域振興を図ろうと、無理な投資をしたのが原因だ。

市は超緊縮財政となり、住民負担を限度いっぱいまで引き上げる一方、公共施設の廃止と補助金の打ち切りを進めた。「最高の負担で最低の行政サービス」という状態を嫌がった住民は、相次いで市を離れ、今や人口1万人を下回っている。

これに伴い、商店街を訪れる買い物客も激減した。小売店は櫛の歯が抜けるように次々に営業を取りやめ、シャッター通りと化した。近くに市役所があるのに、平日の昼時も人影は見えない。市の財政破綻前、50店近くあった加盟店は10店ほどに減少、振興組合を維持できなくなった。

夕張商工会議所の担当者は「中心商店街だけに、何とかしたいが、これだけ人口が減ればどうしようもない」と表情を曇らせる。市も財政再建中のため、商店街の危機を救うことができなかった。

同じ北海道では、旭川市中心部にある平和通買物公園の商店街のうち、北側の旭川平和通三和商店街振興組合が2016年度中の解散を決めた。1970年代の最盛期に比べ、加盟店が半減し、組合運営が難しくなったという。

旭川商工会議所は「組合代表者のなり手がいないとも聞く。中心商店街の1つだけに、市とともに地域への支援を続けるつもりだが、時代の流れは厳しい」と肩を落とした。

振興組合の解散後、さらに遠のく客足

商店街が苦境に立たされているのは、郊外型ショッピングセンターやインターネット通販の登場、地方で急速に進む人口減少の影響が大きい。しかし、このトリプルパンチにあえぐのは北海道だけではない。

沖縄県第2の都市・沖縄市では2014年、沖縄市銀天街商店街振興組合が62年の歴史に幕を閉じた。数軒のバラックから市の経済を牽引するまでに育った中心商店街だったが、かつて120店を超えていた加盟店が40店足らずまで減り、組合費を支払えない店舗が増えていた。

沖縄市商工振興課は「組合と2人3脚で地域を立て直したかったが、顧客の減少に歯止めがかからなかった」と苦い口調。新規出店の初期費用に補助金を出すなどの対策を講じているものの、組合の解散後さらに客足が遠のいているという。

新潟県上越市の稲田商店街振興組合も2015年末で解散している。かつて50店舗が軒を連ねていたが、後継者不足などから10店ほどしか残っていない。任意団体の商店会はあるものの、法人組織の解散が地域の沈滞ムードに拍車をかけている。

上越商工会議所は「市がイベントなどに補助金を出しているが、店主の高齢化で元気を取り戻せていない。地方の商店街を取り巻く環境は年ごとに厳しさを増している」と厳しい見方を示した。

売り上げ減少と後継者不足で見えない明日

広島県尾道市瀬戸田町のせとだ本町商店街協同組合も2015年に解散した。尾道市と合併する前は瀬戸田町の中心商店街だったが、合併後は客足が大きく減少、加盟店の廃業が相次いでいた。

2001年に53店舗の加盟で「しおまち商店街」の愛称をつけ、協同組合方式で運営していたが、解散前には店舗が45に減少していた。解散後は任意団体の組織も作らず、それぞれの店舗が個人で活動しているだけだ。

解散時の理事長だった鹿田恭一さん(68)=土産物店経営=は「後継者もなく、高齢化した店主が多い。もう限界と感じ、早めに組合を解散した。解散から1年以上が過ぎたが、地域はますます元気がなくなっている」と視線を落とした。

商店街はいわばその地域の顔。そこが元気を失えば、地域全体の活力も乏しく見える。しかし、売り上げの減少と後継者不足から、店主が高齢になると店をたたんでいるのが実情。息子や娘に跡を継がせたくないと思うほど商店街の店舗経営に魅力がなくなっているわけだ。

そこへ人口減少が追い打ちをかけている。このまま人口減少と高齢化が進めば、多くの自治体が消滅の危機を迎えるといわれるが、それをひと足早く商店街が体現しているようにも見える。

もはや自治体や経済団体が手をつけられないほど衰退しきった地方の商店街に、明日の希望は感じられない。このまま消滅に向かうのを、指をくわえて眺めるしかないのだろうか。

高田泰 政治ジャーナリスト この筆者の記事一覧
関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆中。マンション管理士としても活動している。

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