地方創生,人口減少,過疎化,商店街,空洞化
(写真=PIXTA)

目次

  1. 中心市街地の空洞化招く商店街の衰退
  2. 財政破綻した北海道夕張市では
  3. 振興組合の解散で沈滞ムードに拍車が
  4. 売り上げ減少と後継者不足で見えない展望

※2016年11月配信記事を再編集したものです。

中心市街地の空洞化招く商店街の衰退

地方の人口減少が深刻さを増す中、各地の商店街組合解散が、全国で相次いでいる。売り上げ激減に伴い、加盟組合員が減少して組織運営が困難になっているためだ。法人組織が解散しても商店街自体は残るが、中心商店街はその都市の顔ともいえる存在だけに、地域に与える悪影響は計り知れない。

中心市街地の空洞化は大都市圏を除けば、ほとんどの地方都市に共通した悩み。商店街組合の解散は空洞化に一層拍車をかけかねないだけに、各自治体や地元商工会議所は対応に苦慮している。

財政破綻した北海道夕張市では

市の財政破綻で急激な人口減少が続く北海道夕張市。中心部の本町商店街振興組合が2016年春、解散した。地区内では新たに任意団体の振興会が設立されたが、地元の経済界のショックは大きかった。 夕張市はかつて石狩炭田の中心都市として栄え、約12万人が暮らしていた。しかし、2006年に約353億円の財政赤字を抱えて財政破綻を表明、財政再建を続けている。廃坑後、観光、リゾート面で地域振興を図ろうと、無理な投資をしたのが原因だった。

市は超緊縮財政となり、住民負担を限度いっぱいまで引き上げる一方、公共施設の廃止と補助金の打ち切りを進めた。「最高の負担で最低の行政サービス」という状態を嫌がった住民は、相次いで市を離れ、今や人口1万人を下回っている。

これに伴い、商店街を訪れる買い物客も激減した。小売店は櫛の歯が抜けるように次々に営業を取りやめ、シャッター通りと化した。近くに市役所があるのに、平日の昼時も人影は見えない。市の財政破綻前、50店近くあった加盟店は10店ほどに減少、振興組合を維持できなくなった。

夕張商工会議所の担当者は「中心商店街だけに、何とかしたいが、これだけ人口が減ればどうしようもない」と表情を曇らせる。市も財政再建中のため、商店街の危機を救うことができなかった。

同じ北海道では、旭川市中心部にある平和通買物公園の商店街のうち、北側の旭川平和通三和商店街振興組合が解散を決め、手続きに入った。1970年代の最盛期に比べ、加盟店が半減し、組合運営が難しくなったという。

旭川商工会議所は「組合代表者のなり手がいないとも聞く。中心商店街の1つだけに、市とともに地域への支援を続けるつもりだが、時代の流れは厳しい」と肩を落とした。