夕張,旧産炭地,財政再建団体,地方創生
新夕張駅(写真=PIXTA)

北海道夕張市の財政再生計画で、高市早苗総務相は緊縮一辺倒から脱却し、借金返済と地域再生の両立を目指す市の新方針を特別交付税で支援する意向を明らかにした。特別交付税は自然災害などで緊急の財政需要が必要な市町村に交付しており、地域再生事業に活用するのは極めて異例。

総務省は市が3月に提出する財政再生計画の変更案を精査し、特別交付税の対象事業を決める方針で、2017年度から交付に入る。市は全国唯一の財政再生団体として緊縮財政を進める中、暗いムードばかりが漂っていたが、ようやく明るい兆しが見えてきた。

地域再生に向け、総務省が事業内容を精査

高市総務相は閣議後の記者会見で、抜本的に財政再生計画を見直す市に対し、「最大限支援する観点から、財政再生後を見据えた事業に特別交付税の措置を講じる」と述べ、市の地域再生策を財政支援する考えを明らかにした。

市は徹底した緊縮財政で353億円の借金のうち、2015年度末現在で約95億円を返済した。しかし、最高の負担で最低の住民サービスといわれる現状から市民の間に疲弊感が広がっているとして、財政再生計画を見直して地域再生事業を進める方針を打ち出している。

主な内容は若者の定住や子育ての支援、コンパクトシティの推進などで、総事業費は向こう10年間で100億円以上に及ぶ見通し。市はこの事業費の財源について、国の支援を求めていた。総務省は市が提出する具体的な事業内容を精査して特別交付税の対象事業を最終決定する。

総務省財務調査課は「3月中に対象事業を決め、新年度から特別交付税を措置したい。夕張の地域再生が進むようしっかりと精査する」と語った。

人口が急減、住民のほぼ半数が高齢者に

市は産炭地として栄え、1950~60年代には人口12万人近くを抱えたが、相次ぐ閉山で人口が急減。スキー場やテーマパークなど観光開発に方向転換したものの、無謀な投資から借金ばかりが膨らんで2006年に財政破綻が明らかになった。

353億円の借金は20年かけて返済する計画。財政再生に入ってからは住民税など住民負担を最大限に引き上げる一方で、公共施設や各種補助金の廃止、市職員の給与カットなど、考えられる限りの財政緊縮策を実施してきた。

しかし、住民サービスの低下から人口流出に拍車がかかり、市の人口は9000人を下回った。後に残ったのは行き場のない高齢者ばかりで、65歳以上の高齢者が市人口に占める割合を示す高齢化率は実に49%。国内の市部で最高の数字に跳ね上がっている。

市中心部にあった本町商店街は空き店舗で閑散とし、商店街振興組合が維持できずに2016年に解散した。一歩路地に入れば、今にも崩れそうな空き家が並び、ゴーストタウンのような様相も示している。

東京23区より広い763平方キロの市内に小中学校は1校ずつ。171床あった市民病院は規模縮小して診療所に変わり、わずか19床に。市民会館や図書館も消えた。

市役所は破綻前に263人いた職員が100人足らずに減った。給与は大幅カットにより全国自治体で最低水準だが、職員不足から深夜まで残業するのが当たり前。北海道や東京都などから応援を得てどうにか事務をこなしている状態だ。それでも地元の現状に悲嘆し、退職を希望する職員が後を絶たない。