目次

  1. 歯止めが利かない過疎地の人口減少
  2. 人口20%以上の減少は全体の13.7%
  3. 四国は限界集落が全体の33.8%に
  4. 住民が行政サービスを担う地域も登場
  5. 有効な手立てはないのか

※2016年9月配信記事を再編集したものです。

歯止めが利かない過疎地の人口減少

2015年4月までの5年間で過疎地域にある全国99市町村の190集落が消滅していることが、国土交通、総務両省の過疎地域集落現況調査で明らかになった。2010年の前回調査と比較可能な集落のうち、81.2%に当たる5万2058集落で人口が減少、過疎地の苦境がさらに深刻化している状況も浮き彫りになった。

65歳以上の高齢者が過半数を占める限界集落を抱える自治体は、集落維持へ懸命の努力を続けているが、実を結んでいない。崩壊に向かうカウントダウンが過疎地域からはっきりと聞こえるようになってきた。

人口20%以上の減少は全体の13.7%

調査は国交、総務両省が過疎地域の実態を把握するため、おおむね5年おきに進めている。今回から過疎地域以外の離島、豪雪地帯の集落なども調査対象に加えた。対象地域を抱える1042市町村のうち、1028市町村から7万5662集落に関する回答を得た。

それによると、全国で消滅した190集落は、人口減少や高齢化などから自然消滅したケースが最も多く、全体の46.3%を占めた。東北(新潟県を含む)では、東日本大震災の津波被害による住民の分散転居で消滅する例が目立っている。

地域別にみると、東北が59集落と最も多かった。うち26集落を津波被災地が占めている。次いで九州29集落、四国27集落、中国25集落。いずれも山間部を中心に人口減少が著しく、限界集落を多く抱えている。

前回調査と比較可能な6万4130集落のうち、人口減少率が20%を超えたのは、13.7%に当たる8780集落。地域別にみると、北海道と四国の減少が特に目立った。逆に人口が増えたのは、13.6%に当たる8649集落にとどまっている。

市町村が「今後、消滅の可能性がある」と回答したのは、全体の4.9%に当たる3126集落を数えた。集落機能が低下し、維持困難な状況に陥っている消滅予備軍も、全体の4.4%に該当する2794集落に上っている。

限界集落は1万4375に達し、全体の22.4%を占めた。前回調査では1万91集落、15.6%だっただけに、拡大が続いている。地域で問題になっている事例としては、空き家の増加(82.9%)、商店やスーパーの閉鎖(64.0%)、耕作放棄地の増大(71.6%)などが挙がった。

国交省総合計画課は「過疎地域の人口減少は加速しているわけではないが、減速もしていない。人口減少と高齢化の進行が綿々と続き、地域の苦境が増大している」と分析している。