JR,地方鉄道,四国経済
JR土讃線と徳島線が発着する徳島県三好市の阿波池田駅。人口減少もあり、乗降客の低迷が続く(写真=筆者)

目次

  1. 四国の鉄道網維持に向け有識者懇談会
  2. 懇談会初会合は「四国の鉄道網維持の方向性」で一致
  3. 急激な人口減少に伴い、利用の低迷が深刻
  4. JR四国は自治体の本格的な支援を期待

※2017年8月配信記事を再編集したものです。

四国の鉄道網維持に向け有識者懇談会

JR四国の鉄道網を維持する方策を考える有識者懇談会が昨年、設置された。懇談会は現在、中間の取りまとめを行っている最中で、今後、取りまとめに沿って四国4県の分科会で具体的な支援策を検討する方針だ。

JR四国は1987年の発足から鉄道事業の赤字が続いているが、四国の人口減少が深刻で、今後も利用客が大幅に減ると予想されている。ただちに路線廃止せざるを得ない状況ではないようだが、自助努力だけだと近い将来、路線の維持が困難になるとみられる。4県はどのような支援策を打ち出すのだろうか。

懇談会初会合は「四国の鉄道網維持の方向性」で一致

懇談会は日本交通学会会長の正司健一神戸大大学院教授を座長に、四国4県の知事、学者、経済界代表ら18人で構成された。

2017年8月の初会合は非公開で意見交換を進めたが、JR四国が厳しさを増す経営環境について説明。これに対し、鉄道網を維持する必要性で一致し、委員から訪日外国人観光客の誘致促進や公共交通全体のネットワークについて議論を求める声が出たという。

2回目の会合は翌年3月に開かれ、その後9月に中間の取りまとめを行う予定だったが、意見がまとまらず、作業は遅れている。中間取りまとめを公表した後は、各県ごとに分科会を設けて具体的な方策の検討に取り組むことになっているが、JR四国はダイヤ改正などによる利便性の向上だけでなく、自治体が線路や駅など施設を保有し、鉄道会社が運行に専念する上下分離方式の導入も視野に入れているもようだ。

同様の路線網見直しはJR北海道も沿線自治体との協議に入っている。全営業路線のほぼ半分を廃止も含めて見直す方向で、単独では維持できない経営状況に陥っている。

これに対し、JR四国はたちまちのうちに路線廃止を迫られる状況ではないとしているが、半井真司社長は懇談会後の記者会見で「さらなる経営努力を前提に公的支援の方向が出てくると解釈している」と4県の本格的な支援に期待をにじませた。