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(写真=Phillip Maguire/Shutterstock.com)

夏と冬に毎年2回、開催されるコミックマーケット(コミケ)。2016年の冬コミ(C91)は12月29日から31日まで東京ビッグサイトで行われる。コミケは日本でも有数の一大イベントであり、その経済規模は数百億円ともいわれている。誰もが知る存在だろうが、行ったことがない人も多いのではないだろうか。

コミケとは――年2回開催される同人誌即売会

コミケはコミックマーケット準備会が主催する世界最大規模の同人誌即売会である。同人誌即売会は耳慣れない言葉だが、同人誌(同人雑誌)を配布・販売するイベントだと理解すればいいだろう。

コミケは主に3つの内容で構成されている。1つ目がサークルによる出展だ。同人雑誌やアニメ、ゲームといった作品を配布・販売している。同人誌には漫画もあれば文芸、図鑑や写真集などさまざまなものがある。約3万5000~3万6000の募集サークル数があり、来場者は自由に購入できる。

2つ目に「企業ブース」である。これは100を超える企業が自社製品などを販売する商業スペースだ。コミケでしか手に入れられないオリジナルアイテムも売られているため、これを目当てにコミケに訪れるファンも珍しくはない。

最後にコスプレだ。コミケでは自前のコスプレ衣装に着替えられる場所がある。こうしたコスプレイヤーの撮影を目的に参加する写真愛好家(カメコ)も少なくない。

冬コミ(C91)の開催時間はサークル・コスプレが10時から16時で、企業ブースは17時だ(最終日はコスプレ15時、企業ブース16時)。

経済規模は数百億円にものぼる?

ネットではコミケの経済規模は数百億円などと言われているが、信頼性の高いソースは少ない。多くのメディアでは、主催会社であるコミックマーケット準備会が公表している『コミックマーケット35周年 調査報告』を基に試算を試みている。

この調査報告は2010年8月の夏コミ(C78)時のサークル、スタッフ、来場者に対して行われたアンケート調査に対する報告書である。サークル調査は2010年2月に調査票とウェブで3万3347件、スタッフ調査は4~7月に調査票で1492件、来場者調査は調査票とウェブで5393件回収ものだ。

この調査によれば一般来場者の性別割合は男性が64.4%、女性が35.6%となっている。平均支出額を見ると男性が平均28,400円、女性が2万1865円となった。この要素をもとに来場者数約55万人(コミックマーケット88)とすると、約143億円と計算できる。

これは一般来場者のみの限定的な試算結果であり、正式なデータとは言えないだろう。けれども、多くのメディアが数百億円などという理由はこれにあるようだ。

東京五輪で夏コミが開催できない?

コミケは1975年に日本消防会館の会議室で第1回が開催された。当時は32サークルが出展し、来場者は約700人程度だったとされている。それから産業会館や東京流通センター、晴海などを経て1996年の夏コミ(C50)から、今の東京国際展示場に落ち着くことになる。

コミケは場所を転々と変えてきたが、そのたびに参加サークルを増やし、来場者数も増やしていった。その結果、今では1回3日間の開催で、50万人以上の参加者を呼べる一大イベントまで成長したのだ。

その一方でコミケは今、大きな問題を抱えている。それが東京五輪期間中には東京ビッグサイトが使用できない可能性があるというのだ。これは2015年10月に都が展示会関係会社への説明会にて分かっていることだ。

東京都もこの問題に対しては対応を取ろうとしており、2016年2月にビッグサイト拡張棟と東京テレポート駅近くに仮設棟の建設を発表している。こうした対応で問題が解決すればいいのだが、実際はスペースが小さすぎると懸念されているようだ。

2016年も年の瀬で、あと2年半程度しかないなか、出展者や参加者を納得させるだけの解決策を見つけなければならないだろう。

コミケ91(冬コミ)を楽しむためのアドバイス

もしコミケを楽しみたいと思っているのであれば、入念な準備が必要だ。

持ち物は「サークル見取図(カタログ)」は必須ではないが、持っていれば便利だ。これは会場の案内図になっているので、あらかじめ購入しておくとルール等を把握しておけるだろう。そのほか、冬なので防寒着やカイロなども持っていくとよい。もし、徹夜・始発組なら十分な食料と水分も持っていくべきだ。

また傘は禁止なので、雨ガッパを持参すべきだし、ブースで買い物するつもりなら、1万円札ではなく、1000円札や小銭を用意しておくべきだろう。企業ブースはともかくサークルは一般人による出展。お釣りを用意しきれないこともある。

時間帯は12時から15時くらいがオススメである。本当に狙いたい同人誌やオリジナル商品があるなら始発ないし、徹夜で行くべきだろうが、ただ楽しみたいのであればこの時間帯でも十分だ。この時間帯であれば、普通は待ち時間も短くて済む。

会場(東京国際展示場)の最寄り駅は、ゆりかもめ・国際展示場正門駅や有明駅、りんかい線・国際展示場駅だ。交通マネーに往復分のチャージをしておくと、スムーズに帰ることができるだろう。

コミックマーケットの経済規模は数百億円にものぼると考えられる。こうしたイベントから現在の消費者志向を考えてみるのもいいかもしれない。(吉田昌弘、フリーライター)