シェアハウス,民泊,賃貸,不動産投資
(写真=PIXTA)

2016年は不動産投資という言葉が以前にも増して一般的になったのではないだろうか。書店の「投資・ビジネス」コーナーでは多くの成功本が平積みにされたことで目にした人も多いだろう。

そんな2016年に注目された不動産賃貸の特徴とそこから来年さらに発展しそうなものを検証してみよう。

ダントツは民泊運用、そこから発展のスペース賃貸

2016年はAirbnb(エアービエンビー)という言葉を聞かなかった人はいないだろう。しかし旅館業の許可必須の対象とされた民泊経営に「ヤミ民泊」も問題視されるようになり、いろんな意味で2016年は民泊大騒動の一年だったと言える。

そんな中、空室物件を活用した民泊以外への新しい貸し出しスタイルが登場した。それが「スペース貸し」である。空室を抱えるビルの1室や便利な1階の店舗物件などが適している。

用途はセミナー用、イベント用、撮影用、個展や展覧会用、そしてママ友会用等として活用されている。グレードや立地によって設定金額には差があるが、時間貸しで1500円から2500円、一日貸しで1万円前後。20日以上稼働できれば結構な収益になる。民泊に必要な許可や清掃などの管理も不要という理由で注目を集めはじめた転用方法だ。

シェアハウスが婚活ハウスに? 大型シェアハウスのその後

2016年のシェアハウス投資については、いったん落ち着きを見せた感がある。都市部では供給過多との見方も出ているほどだ。大規模シェアハウスが「婚活ハウス」と呼ばれるようになったこともあり、入居希望者が若干落ちついた年と言えるだろう。

今後のシェアハウスは、ハイブリッド型に転換していかなければ利回りの確保は難しくなると予想する。そこで来年新設予定の「民泊新法」による180日限定の民泊営業をシェアハウスと併設してしまうという考え。

来年施行予定の民泊新法の内容によると、既にシェアハウスに住んでいる人を在宅管理人として登録すれば、届出だけで民泊が経営できるようになる。年間180日ということは月平均15日。一泊約7000円から10,000円で民泊できれば空室部分だけのシェアハウス転用は充分アリだ。

辺ぴな土地に高額賃貸のガレージハウス。来年はどんなエリアに発展?

田舎や郊外の倉庫用地などに登場したガレージハウス賃貸。家賃は相場の1.2~1.5倍と決して安くはないのにその満室率はとても高い。

車離れと言われる近年だが、車好きがいなくなったわけではない。同じ趣味を持つご近所さん付き合いで盛り上がるタウンハウス的ガレージハウスでは郊外や地方の辺鄙なところでも常に満室になるという現象が起きている。

またバイクや自転車好きなら自宅用としてではなく、仲間と一緒に借りて、愛車の保管と語らいの場所にもなっているという。

少々不便なエリアであっても競争が激しくなったコインパーキング、コインランドリー投資よりもまだまだ参入の余地があるのかもしれない。

「遺体ホテル」が登場、稼働率は73%越え

都内ではご臨終から葬儀場を抑えるのに平均1週から10日かかっている。火葬場の数が死亡者の数に対応しきれていない。

神奈川県川崎市では葬儀待ちの遺体を預かる「遺体ホテル」が登場(2014年)し、話題を呼んでいる。近隣住民の反対がある中、説得を続け開業安定後の今は反対していた住民の親族も利用する側になっているという。日経によれば2015年の稼働率は73%だったという。

マンション住まいの多い都市部では管理規約でご遺体を専有部分に持ち込むことが禁止されていることが多い。葬儀が終わるまでの間、行き場のない故人を安置できる場所がないのだ。都市部のビルが納骨堂に変わる世の中。事故物件が遺体ホテルとして活用される日が来ても自然の流れなのかもしれない。

他にも「軒先賃貸」、「再建築不可地へのトレーラーハウス賃貸」など、新しい発想の賃貸がどんどん注目されている。

人の数より住居の数のほうが益々多くなっていく日本。従来の不動産投資に加え、2017年はこういった新賃貸経営の一つを分散投資として取り入れてみるのも悪くないかもしれない。(片岡美穂、行政書士、元土地家屋調査士)