API,銀行
(写真=Thinkstock/Getty Images)

現在、インターネットでは欠かせない仕組みとなっているAPI(Application Programming Interface)。現代社会ではこの仕組みなしには、サイトもアプリも開発することは難しいというまでになっている。

近年では、金融の分野でもAPIが積極的に用いられており、銀行でも他社製のアプリから自行の預金データを見ることができるサービスまである。自行のデータを外部に提供するなど一昔前ならあり得なかったことだが、APIを積極的に活用する動きは金融機関で活発になっているようだ。

これまで他社とのデータ連携に対しては内向きだった銀行が、何故APIを活用した積極的なサービスを展開しているのか。

銀行が注力するAPIとは

APIとはあるソフトウェアが別のソフトウェアの機能を呼び出す仕組みのことだ。この機能を使うことで、開発が容易になり他社サービスとの連携などを効率的に実施できるメリットがある。

このAPIを用いて、銀行でも様々な新しいサービスが提供され始めている。たとえば、国内銀行で初めてAPIを公開した住信SBIネット銀行は、家計簿や資産管理サービスを手掛けるマネーフォワードとの提携で新サービスを開始している。これは連携APIを解すことにより、提携サービスである「マネーフォワード」や「MFクラウドシリーズ」上で、住信SBIネット銀行の残高や入出金の照会が可能になるものだ。

他にもみずほ銀行では、LINE APIと連携し、LINE上で預金残高や入出金履歴を紹介可能な「LINEでかんたん残高照会」というサービスを提供している。海外ではさらに進んだプロジェクトもあり、シンガポールのOCBC BankではオープンAPIプラットフォームを立ち上げ、開発者が銀行の商品やサービスを自由に組み込めるようにしているのだ。

銀行はこれまでとは違って、API連携で積極的に自行データを外部に公開する方向に舵を切っている。今後もさらなるサービス展開が期待できるだろう。

銀行によるAPI連携がもたらす利便性

銀行がAPIを使って他社サービスと積極的に連携しているのはお分かりいただけたと思うが、これにはどのようなメリットがあるのだろうか。

・銀行側のメリット

銀行側がAPIを使う一般的なメリットは、開発コストの削減や、提携先との関係強化などが挙げられるだろう。しかし、今までは考えられなかったAPIの外部公開に踏み込んだ理由は他にある。

それは、ビジネスチャンス拡大がもたらす銀行の収益拡大である。これまでは存在しなかった銀行と他社サービスの連携が加速すれば、新しい金融サービスが必ず生まれてくるはずだ。APIを公開することで、金融業以外の小売りやサービスなどの他業種とも連携することができれば、新たな収益源を確保できることになる。

さらに、APIを公開することで新サービス立ち上げまでのスピード感が圧倒的に早くなったことも大きなメリットの一つだろう。これまでは、他社サービスと連携するにしても自行システムに大部分を組み込まなければならないため莫大な費用と時間を要していたが、APIを公開することでシステム連携は格段に容易になり、新サービス発足までのハードルはかなり低くなったと言える。

このように新サービスによってもたらされる収益源を確保することは、銀行が国内市場縮小の局面を打開するために必要な施策と言えるだろう。

・利用者側のメリット

現行のサービスで言うと、クラウド会計や個人資産管理などのFintechサービスと金融機関との連携において、強固なセキュリティの下でサービスを受けられるメリットがある。これまでは、Fintech側にIDとパスワードをいったん預けて金融機関にアクセスする必要があったためセキュリティ面で課題があった。しかし、API連携をすることでセキュアなデータ連携をすることができるようになったため、より安全な取引が可能となっている。

海外のサービスではモバイルバンキングを入り口として自動車の購入からローン、下取り、自動車保険の加入までワンストップでできるものまである。複数のサイトでやり取りする煩わしさがなくなり、利便性の面で大きなメリットがある。

銀行が外部APIを公開することで、今後も銀行と他業種間での連携サービスが増えることは間違いないだろう。今後どのような新サービスが誕生するのか、期待は膨らむばかりだ。( FinTech online編集部

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