1月アノマリー

2016年の株式相場は、夏場に英国でEU離脱の国民投票結果を受けて日経平均が1200円以上下落したほか、米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選すると、大規模なインフラ事業などへの期待から株価は急ピッチで上昇を続けるなど値動きの大きな1年となった。そのトランプ氏は、17年1月に次期大統領就任を控えるが、1月は年間で最も株価が上昇しやすいといわれるが、その所以はどこからくるのか。

経験則に基づくアノマリー

「月曜日の株価は高い」「2日が取引開始の月は荒れた相場となる」など、株式相場には1月が年間で最も株価が上昇しやすいといわれる以外にも様々な言い伝えが存在する。しかし、これらの格言は、理論的な根拠で証明されたというわけではなく、これまでの経験則に基づいた傾向として「アノマリー(Anomaly)」と呼ばれる。

1月が最も株価が上がる月とされるアノマリーは、どのような経験則に基づいているのか。1つの要因として挙げられるのが、年末年始にかけて投資家による資金シフトだ。まず、年間の株式取引による利益に対して税金が課せられるが、国内投資家は節税対策として、損益通算の売りを出す傾向がある。また、東京株式市場の売買シェアのうち6-7割を占めるとされる海外投資家も税金対策に加え、クリスマス休暇に向けたポジションの調整をする傾向がある。

新しい年を迎えた1月には、節税対策などの売買資金や新規資金が株式相場に流れていく傾向がある。また、年初月にはマーケットに影響を及ぼすような大きなイベントがあまりなく、株価を押し下げる材料が限定的だ。一方で、1月末からは3月期決算の企業が、第3四半期決算の発表を控え、業績の上方修正などから、株価に対し強気の材料となることから、1月は年間で最も株が上がる月というアノマリーがささやかれるようになった。

アノマリーの的中率は50%