離婚後に親が子供を引き渡すルールに付いて、法務省の法制審議会(法相の諮問機関)で議論が本格化する。これまでは強制執行するといったルールが明確にあったわけではない。親権の無い親が引き渡しに応じない場合は「間接強制金」の導入も視野に入れているという。2018年には民事執行法の改正案提出を目指すと報じられている。
子供が「動産」?
引き渡しルールはいわゆる「ハーグ条約」にならったものだが、仮に親権のない側の親が応じない場合は、その分だけ支払い金額が毎日加算される仕組みとなる。ただこれには、強制金さえ払えば引き渡しを無視しても良いと考える親もいるという問題がある。
民事執行法には子の引き渡しの強制執行に関する規定がなく、これまでは「動産」の引き渡し規定を類推適用してきた。
問題は子どもを「動産」として扱う事に対する福祉や人道上の倫理観に対する指摘だ。最高裁によれば2015年の申し立て件数は97件程だがその内で子供が引き渡された件数は実際には27件となっている。また民事執行法に具体的な規定がないため、執行官の運用に委ねられた格好になっているのも問題だ。