リボ払い
(写真= igorstevanovic / Shutterstock.com)

借金の返済方法には、一括払いや分割払い、ボーナス払いなどいくつか種類がある。中でも「リボ払い」は、各回の返済額は減るものの総支払額がかなり増えてしまうことがあるため、「望ましくない返済方法」とも言われるが、金融機関やカード会社はリボ払いを使ってもらおうといろいろな戦略をたてている。実は、一定の条件の下では、一括払いではなく、敢えてリボ払いを選択することで「支払額を増やすことなく」、さらに「オトク」になる方法があるという。

リボ払いとは――毎月の返済額を一律にすること

リボ払いは、正式にはリボルビング払いと言い、毎月の返済額の上限を定めて一律にする返済方法だ。分割払いとの違いは、着目している点が返済額なのか、それとも返済回数なのかだ。分割払いだと3回払いなど支払回数が決まっているが、返済額は購入した商品・サービスにより変化する。リボ払いでは返済額が一律になる点で違う。

リボ払いにもいくつかの種類がある。代表的なものが「元金定額リボルビング方式」と「元利定額リボルビング方式」の2つだ。これらの違いは元金定額では元金を一定にするため、徐々に毎月の返済額が減っていく。元利定額では返済額を一定にするので返済期間が延びる。この違いでも返済総額や返済期間に違いが発生するため、契約時には注意したいポイントだ。

リボ払いは毎月の返済額を一律にできるため、手元にお金がない時でも利用しやすい点に最大のメリットを持つ。こうした特徴から支払方法の中でも一定の人気をもつようになっている。

リボ払いが望ましくないと言われるワケ

リボ払いが望ましくない返済方法だとされる理由はいくつか指摘されている。

まずは「金利(手数料)」が発生する点だ。リボ払いは返済方法であり、返済の前には借入がある。借入と言えばクレジットカードやカードローンが代表格だろう。こうした借入には必ず金利が発生し、それは支払方法によって左右されるものではない。当然、リボ払いでも金利が発生する。結果として、返済総額が多くなり、家計を圧迫するなどの弊害を生じさせる。

返済総額が増えれば「返済期間」にも影響が出る。リボ払いでは毎月の返済額を一律にするので、返済総額が多くなれば返済期間も延びやすくなる。加えて、完済していないにもかかわらずカード決済をすれば返済総額はますます増える。結果として、なかなかリボ払いが終わらない状況が続いてしまうのだ。

さらに指摘をすると、利息分すら支払いがままならない状況になれば、借金の自転車操業が始まってしまう。こうなれば返済はほぼ困難であり、何かしらの法的手段を取る必要も出てくるだろう。これは最悪の事態だが、最悪な事態が起こらないとも言いきれないので恐ろしい点である。

以上の指摘から分かるとおり、一般的にはリボ払いはおすすめの返済方法とは言えない。よっぽどのことがない限りは別の返済方法を使った方がいいだろう。

金融機関はリボ払いを優遇している

貸し手の視点に立てば、リボ払いは優れた収入手段だと言えるかもしれない。実際、金融機関各社ではリボ払い利用者を増やしたくて、ポイント還元といった特典・キャンペーンを打ち出している。これはキャンペーンよりも、リボ払い利用の方が価値があると考えているからに違いない。

その理由は先に説明した危険性を裏返せば理解しやすいだろう。確実に手数料を上乗せでき、長期間にわたって借入を継続してくれる。ましてや、返済総額まで増えるのであれば、これほど確実で安全な収入手段はないと言える。金融機関がリボ払い利用者を優遇しているのも納得がいく。

金融機関も企業であり、決して慈善事業をしているわけではない。利益を上げなければ将来はないのだ。良い悪いは別にして、リボ払いが金融機関にとって優れた収益源になっていることには、他業界でも見習える点があるかもしれない。

特典・キャンペーンを賢く、おトクに使う方法

特典・キャンペーンをそのまま利用しても、最終的にメリットがあるのは金融機関のほうだ。もし利用者がこの特典・キャンペーンをおトクに使いたいのであれば工夫が必要になる。その工夫とは「リボ払いでありながら、一括払いと同じように支払う」というものだ。これによって特典やキャンペーンの利益を受けながら、リボ払いによる金利負担を回避できる。

具体的には10万円の買い物をしたとする。翌月一括払いであれば、翌月10万円を支払って終わりだ。クレジットカードごとの還元率でポイントはつくが、1%つけばいいほうだろう。

しかし金融機関の中には、リボ払いを使ってほしいところがキャンペーンをしていることがある。その場合に、リボの上限額を10万円のリボ払いにすれば、支払う金額は同じなのにキャンペーンの適用が受けられることがある。

注意すべき点は、全てのリボ払い特典・キャンペーンでこの方法ができるわけではないことだ。この方法は「次回支払日まで金利が発生しない」ことが前提条件にある。仮に金利が発生するのであれば、ポイント還元よりも金利負担が大きくなる可能性は高い。あらかじめ金利がどの期間から発生するのかを確認しておくのを忘れないようにすべきだ。

もう1つ注意しておくべきことは、必ず支払いを間に合わせることである。支払い遅れをすれば、遅延損害金が発生するのは当然だが、それに加えてリボ払いの金利を支払う可能性もある。必ず預金口座に十分な残高があることを確認しておき、返済日当日に引き落としできていないという事態を避けるようにしたい。また次回以降の支払いがすべてリボになってしまうことがあるので注意したい。

借金は決して悪いことではない。お金がない時に借入すること、借金できることは生活でもビジネスにおいても大事なことだ。忘れてはならないことが、借入には返済がつきものだと言うことである。「ご利用は計画的に!」とは、ある企業のキャッチフレーズだがまさにその通りだ。借入時には返済を見据えたうえで実施してほしい。(吉田昌弘、フリーライター)