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(写真=dotshock/Shutterstock.com)

「相続税対策に生命保険を活用するとよい」という話を聞いたことはないでしょうか。実は生命保険は、節税、相続税支払い、資産を分ける手段、いずれの点からも相続税対策にメリットを活かすことができます。これらをどのようにして利用することができるのでしょうか。

相続税について

財務省「相続税の課税状況の推移」によれば、2013年に亡くなった人数は126万8,436人。うち相続税がかかった人数は5万4,421人で、割合にすると4.3%になります。2015年に相続税の改正が行われているため、今後はさらに相続税がかかる人の割合は増加する見込みですが、それでも多くの方にとって相続税は縁のないものともいえます。

これは相続税には基礎控除があること、配偶者に対する税額軽減があるといった優遇制度があるためです。実際には相続人が何人いるか、誰がどのぐらいの資産を受け継ぐかで相続税の金額は異なってくるものの、相続税の基礎控除だけでも「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に該当する金額が課税されない仕組みとなっているのです。仮に法定相続人が2人の場合には、相続財産が4,200万円(3,000万+600万×2人)までであれば相続税はかからないことになります。

生命保険による相続税対策の仕組み

一方で、多くの資産を保有される方の場合、相続税が課税されると考えた方がよいでしょう。この場合には、生命保険を用いることで相続税の納税資金を確保・圧縮するといった手段を検討すべきです。特に、多くの資産が不動産である場合など、相続税の納付のための現預金を持ち合わせていない場合は、生命保険の加入を真剣に検討しましょう。

利用の仕方としては、定期保険や終身保険といった死亡保険に、被相続人(亡くなった人)を被保険者(保険の対象者)として生前に加入します。保険料は被相続人が支払い、保険金受取人を相続人とします。こうすることで、万が一の時には死亡保険金を相続人が受け取ることができ、この保険金をもとに相続税の支払いに充てることができます。

その他の利用の仕方として、生命保険料に相当する金額を被相続人が相続人に生前に贈与し、そのお金をもとに相続人が保険契約者・保険金受取人となり、被相続人が被保険者となる方法もあります。こうすることで、生前に被相続人の財産を減らしつつ保険金を納税支払いに充てることも可能です。

メリット、デメリットは?

生命保険による相続税対策のメリットは、資産に占める現預金の割合が低く、相続税の納税に困るようなケースでも、保険金で相続税の納税ができれば解決する点です。また、生命保険金は受取人の固有の財産とみなされるため、確実に渡したい人に保険金を渡すことができます。

そして、被相続人が保険料を支払い、死亡保険金を相続人が受け取る場合には、死亡保険金の非課税枠「500万円×法定相続人の数」を利用することもできます。この非課税枠に該当する金額分は、相続税の課税対象になりませんので、うまく利用すれば節税にもつながるのです。この他、保険金はすぐにキャッシュ化ができるため、相続税の他葬式代などの支払いにも適用可能です。

一方でデメリットも存在します。たとえば、一部の相続人にのみ保険金を支払うケースでは、不公平感が生まれると、その後の相続トラブルに勃発する可能性があります。また、必要以上の保険に加入すれば、生命保険料がむしろ生活を圧迫する事態にもなりかねません。

計画的な生命保険の活用を

利用の仕方を間違えないように、事前にプロに試算してもらいながら、計画的な生命保険の活用を行うことが大切です。そうすれば、残される家族に安心を遺してあげることができるでしょう。